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算定担当必須データ~エネルギー需給実績(2)

GHG排出量の算定を担当しているのであれば、抑えておきたい3つのデータがあり、そのうちの一つ、エネ庁による「2022年度エネルギー(速報)」が公表されたので、内容をご紹介しようとしておりました。

1.温室効果ガス排出量
2.温室効果ガスインベントリ
3.エネルギー需給実績

前回では、3つのデータの説明で終わってしまいましたので、今回からは、その内容に入っていきます。

データはこちらのサイトにアップされていますので、各自参照ください。

分かりにくい単位や単語が並んでいますが、下記5点をチェックすればOK。

1.最終エネルギー消費
2.部門別最終エネルギー消費
3.電源構成と最終エネルギー消費、再エネ発電比率
4.エネルギー自給率
5.化石エネルギー依存度

まずは、全体を抑えておきましょう。
2021年度比-2.9%。
2020年度から2021年度にかけて増加した石炭も、減少に転じていますね。
「漸減傾向」にあるものの、十分か否かは別の議論かと。

個人的に一番注目しており、皆さんにも馴染み深いのが、部門別消費量でしょう。

政府としては、工場やオフィスビルが含まれる「企業・事業所他部門」や運輸部門は、省エネ法などの法制度や業界団体の自主的努力を利用する形で「締め付け」できるのですが、「家庭部門」はいかんともし難い。

京都議定書が始まって以来苦労し続けているセクターですが、ご覧のように、他2セクターがわずかながらも減少傾向を示す中、依然として「定常飛行」なのです。

東日本大震災でも3.8%のマイナスで、翌年にはプラス転換。コロナ禍の際には、リモートワークの浸透もあり、逆に増加するなど、根絶治療は難しい。

基本的には、このような場合、機器の更新など、意識することなく削減できる施策を繰り出すことが重要ではありますが、市場ストックをどうするかという課題も。GX経済移行債が特効薬になりますでしょうか。

続いては、電源構成。
どの程度再エネ化が進んだか、化石エネルギーの退場が進展したかが分かります。

原子力と石炭の代替として、ガス火力が存在感を示しています。
バイオマスの導入が進んでいるのは、原料調達が廻るようになったのでしょうか?
風力や太陽光の動向については、政策関連の要因が大きいかと。

再エネ発電比率は、こちらの表で分かります。

水力を除いたシェアは、7.4%。昨年比+2.8%。
一昨年までは、+15.5%、+9.9%、+8.9%、+6.5%なので鈍化してますね。

ここで見るべきは、石炭の比率です。
昨年比-1.9%とはいえ、国内消費エネルギーの1/4を占めるという現実。

なので、このように、化石エネルギー依存度は、83.5%、
わずかとは言え、増加しています。
加えて、エネルギー自給率も、-0.7%ですが、それでも12.6%。

まぁ、原子力を稼働されれば一挙解決という議論には与しませんが、使用できるエネルギーオプションについては、広く有しておくべきという立場ではあります。

ということで、算定の実務をしていらっしゃる方にとっては、おさらいだったかもしれませんが、このような「エビデンス」を直接自分が確認して、自分なりの考え方、スタンスを確立しておくことが重要だと考えています。

人任せにせず、自分の、家族の、子孫の、さらに地球全体の将来は、自分たちで切り拓いていきたいものですね。


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