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排出量算定〜スコープ2 間接排出 ③

「削減系クレジットは使えない」

これまでも、何度かご案内してきました。

「既存のものから置き換えるのであれば、このレベルの機種を選択しますよね」という機種を選ぶでしょ?だけど、それよりも、遥かに効率がよい機種を導入するので、さらに削減できます。

いやいや、全く新しい技術を使った最先端の製品を導入するので、圧倒的に削減できます。

な〜んて言って、従来品(BAU:Business As Usual)との差分を「削減量」としてクレジット化したものが、「削減系クレジット」でしたね。

結局「排出」していることには変わりはないので、使えないのでした。
ですので、直接排出あるいは間接排出として算定することになります。

SBTiの、2050年に排出量ゼロを目指す取組でも、10%程度はどうしても残ってしまうと認めています。そのための手段はGHGプロコトルで検討中です。

Net-Zero Criteria Draft for Public Consultation

他方、遅くとも2050年までに、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする取組「RE100」は、有無を言わせず「100%」です。このイニシアチブでは、達成に当たって「再エネ電力証書」の利用を認めています。

再生可能エネルギーによる発電は、電力という2次エネルギーを生産するに当たっては、CO2を排出していません。この電力は、エネルギー価値としての「電力」と「CO2ゼロという価値」を有しており、「CO2ゼロという価値」を切り離して流通させたものが「再エネ電力証書」です。

従って、「再エネ電力証書」を購入することにより、別の事業者から購入した電力による間接排出量を減じて算定することができるんですね。

その際の算定の方法については、前回ご案内しています。
こちらを参照下さい。

前置きが長くなって申し訳ありません。
今日は、どんな「再エネ電力証書」が調達できるのか。
何に使えるのか、使えないのかをご案内します。

とはいえ、非常に複雑です。
頭がこんがらがります。
私も、時折「???」となることもあります。
何とかなら無いものかと思っていたところ、救世主。

牧村さんが、Twitterで非常に分かりやすく整理されていました。
これを見ると、各制度の考え方も分かって興味深いです。
なお「○○証書」となっているものが「再エネ電力証書」とお考え下さい。

牧村直樹さんTwitterより

ひとつひとつ説明すると長くなってしまうのですが、現在仲介業者や需要家が購入できるのは、JEPXという卸電力市場からの「FIT証書」のみです。
ですので、「どこの発電所で発電された電力なのか」が証明されているもの、トラッキングがついている物かそうでないかの2択です。

証書を購入したいという事業者は、RE100達成のためでしょうから、「FIT証書のトラッキング付き」一択でしょう。このような国際的なイニシアチブで、FITなのか非FITなのかといった、国内事情は関係ありません。

他方、高度化法の義務を果たすために証書を購入したい小売電気事業者は、非FIT証書を選択するしかありません。(一般の事業者には関係ないですね)

したがって、RE100達成のためには、自社で発電したり、再エネメニューを契約したり、という従来の方法に加え、JEPXからFIT証書のトラッキング付きを購入するという選択肢ができたと言うことになります。

まぁ、実際は、仲介事業者から購入する方が現実的でしょう。
JEPXの会員になる必要もありますし、追加的な費用が発生しますから。

国内で達成が難しいから海外へ脱出せざるを得ない。

そんな、国内企業が不利益にならないよう、グローバルスタンダードな制度を導入していってほしいものです。

次回からは、スコープ3に入っていきますね。
通り一遍で無い、腑に落ちる説明ができるよう、頑張ります。
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