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第三者検証〜はじめの一歩(6)

温室効果ガス排出量算定結果の第三者検証を受審するに当たって、躓きやすいポイントをご案内していく「はじめの一歩」6回目。

5回目では、検証を受けるに当たって、受審企業が準備をしておく必要があることについてご説明しました。

JIS Q 14064-1:2010(ISO 14064-1:2006)より

具体的には、上記のa)〜g)の作業を行うのでした。

今回は、契約を交わした検証機関が行う作業についてです。
受審企業の皆様としても気になるところでしょう。

でもその前に、4回目に頭出しだけした「ISO14065」の認定を受けた検証機関について説明させて下さい。

GHG排出量の算定及び検証に関わるISOは、このようなシリーズになっており、「ISO14065」は「検証機関」に対する要求事項を規定しています。

ちなみに、「ISO14064−1」は組織の排出量の算定方法ですので、自社の排出量(直接・間接)を算定する際に使用し、「ISO14064-2」はプロジェクト排出量の算定方法ですので、例えば、J-クレジットのような削減クレジットなどを創出する際に使用するものとなります。

また、「ISO14064-3」は検証方法を定めたものですので、検証機関はこれに則って「検証業務」を行うこととなります。

ということで、ISO14065が規定する要求事項を満足している検証機関が、「ISO14065」の認定を受けた検証機関とうことになります。

では、どこが「認定」するのでしょうか。

「ISO」及び「認定」とくると「はは〜ん」と来る方も多いと思います。
そう、「日本適合性認定協会(Japan Accreditation Board:JAB)です。

平成22年度「企業・組織が行う温室効果ガス排出量の算定と検証に関する自治体等向け説明会」資料(環境省)より

ISO9001(QMS)やISO14001(EMS)、ISO27001(ISMS)のようなマネジメントシステムの審査を行う審査機関は、JABの認定を受けて「審査業務」を行いますよね。それと同じ仕組みになっています。

JAB→認定→認定検証機関→検証業務
JAB→認定→認定審査機関→審査業務

ところが、認定審査機関はあまた存在しますが、認定検証期間は、2023年4月28日現在、たった6機関しかありません。

JABウェブサイトより

じゃあ、認定を受けている検証機関しか、第三者検証業務ができないのかというと、そうではありません。であれば、この6機関に依頼が殺到し、とてもじゃないですが対応しきれないでしょう。

なので、ご安心下さい。

CDPやSBTi等のイニシアチブも15065認定まで求めていませんし、これから始まるGXリーグも同様です。さらに言えば、「限定的保証」までで良いとする場合が一般的であることも、既にご案内しましたよね。

他方、環境省のSHIFT事業のようにスキームオーナーが規定している場合には従わなければなりません。また、組織の定める規格で認定を必須とすることも可能です。

まぁ、検証業務を行う機関は、ほぼほぼISO審査業務も行っている機関ですので、認定を受けていないから適当な検証しかできないということは、まずありません。

ただ、今後は分かりません。非財務情報が財務情報と同等の扱いを受けるようになりますので、機関投資家の判断基準に使用されるようになります。金融庁や米国証券取引委員会(SEC)、欧EFRAGなどが関与してきますので、環境がいきなり変わることも、なきにしもあらずかも。

とはいえ、今は気にすることはありません。

まずは、しっかり算定の知見を身につけ、透明性のある開示ができるようになることが先決。このnoteで、バックアップ、サポートしていきますので、ご期待下さい。

ということで、次回は、今度こそ、検証期間の作業を具体的にご紹介したいと思います。

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