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素朴な疑問シリーズ〜ダブルカウント

算定しているときにぶち当たる、素朴な疑問。ありますよね。
(というか、そういうことばかりだったりしますが)
スコープ3でのFAQでも上位に位置するのは、ダブルカウントだと思います。

サプライチェーン排出量算定の考え方(環境省)

例えば、メーカーのカテゴリー9(輸送・配送:下流)は、小売店のカテゴリー4(輸送・配送:上流)ですよね。

メーカーのカテゴリー11(製品の使用)であれば、ユーザーのスコープ1もしくはスコープ2だったりします。

これについては、プロコトルで明確に言及されています。

この種の重複算定は、ス コープ3に内在する部分である。バリュー・チェーンの各事業者は、排出量および削減量にある 程度の影響力を持つ。スコープ 3 の算定は、多数の事業者の同昷行動を緩和し、社会全体の排出量を削減する。

企業のバリューチェーン(スコープ3)算定と報告の標準

「スコープ3に内在する」と言い切ってますよね。当然発生するんです。だけど、それが「社会全体の排出量を削減する」と言ってます。

ダブルカウントされる部分を減らすことができれば、両者のバリューチェーンの排出量を減らすことができますよね。どちらも、ハッピーになる訳です。だから、もしかしたら、協力して削減活動をするかもしれない。ひいては、「社会全体の排出量の削減」につながるかもしれないということです。

輸送であれば、燃費のいい車を使ったり、なるべく積載率を向上させるように協業したり、適切な場所に共同のデリバリーセンターを設けたり。

「企業のバリューチェーン(スコープ3)算定と報告の標準」には、「スコープ3排出量を削減する行動の例」がカテゴリー毎に紹介されています。

企業のバリューチェーン(スコープ3)算定と報告の標準

そうです、ダブルカウントは許容されるのです。

ですが、例えば、持ち株会社において、個々の事業会社の排出量算定を行いつつ、持ち株会社としての排出量算定を行いたい場合もあるでしょう。

もしくは、グループ間で調達を行っている場合、グループ外から調達する場合と分けて算定したい要望もあるかもしれません。

グループや持ち株会社で公表しつつ、事業会社や拠点毎、子会社単位などなどで、削減目標を立てる場合などは悩ましいですよね。対外的に出す数字は小さい方がよいですし。

とはいえ、ここで認識していて頂きたいのは、基本的に「バリューチェーン排出量は他社比較できない」ということです。

バウンダリー、カバー率、算定方法、排出係数、シナリオなど、様々な条件が異なります。自動車メーカーが、小数点以下の燃費性能を競うよりも、無意味なのです。

以前もご案内しましたがCDPは「継続的な削減に向けた方向性を示す」ことを求めていることを鑑みると、基準年排出量にダブルカウントを許容したものを用い、目標や毎年のアップデートも、同じ基準で算定したものを発表すれば良いのでは無いでしょうか。

自社比較ですし、確実に削減が進んでいることを示すことができます。なお、その旨の説明はした方がよいでしょう。

難しくし過ぎて、継続できなければ意味がありません。
まずは、しっかりと自社の方法論を確立させましょう。


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