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SSBJオープンセミナー(8)

3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナーで紹介された、「審議の過程で意見が分かれた主な項目」に対する基準案及び代替案の紹介と理由について、ご案内しており、今回が8回目です。

こちらのサイトから、当日の資料はダウンロードできますので、noteと併せて参照ください。

当日説明があったのは、次の「主な9点」です。

ご意見をいただきたい主な項目 3ページ

前回は、5つ目の論点までご紹介しました。

長くなっており、恐縮です。
今回は、6つ目の論点に移って参ります。

この論点をひと言で言うと、こうなります。

算定対象カテゴリの判断に、特段の定めるを設けるか否か

で、論点となるのは、論点3でもご案内したように、「スコープ3算定が困難かつ曖昧である」からです。

スコープ1・2とスコープ3では、そもそもデータの種類・質が異なっており、それを合計してしまうのはいかがなものか?との疑念から、論点3が取りだたされました。

論点6については、スコープ3全体の排出量に対する各カテゴリ毎の排出量比率や事業に対する影響の程度は異なることに加え、算定の粒度も異なるところ、算定対象とするか否かを決める「重要性の判断基準」を一律に決めるのはナンセンスではないか?ということです。

論点3同様、論点6でも「数字の独り歩き」懸念から、データの性質や算定の背景などを無視して、他社比較材料として使用されることが危惧されるため、委員会で論点となったものです。

このような背景の下、示された基準案はこちら。

ご意見をいただきたい主な項目 40ページ

一般論として、スコープ 3排出量の算定実務は、現在もなお発展途上であるため、進展に併せて段階的に開示を拡充するアプローチを採用することが適切と判断したようです。IFRS S2においても定められていませんし。

この論点については、第23回会合で検討されており、その際に事務局から提案されたレジュメに以下の記述があるので、今後、何らかのガイダンスが出るかもしれません。

代替案の方は、2案説明がありました。

ご意見をいただきたい主な項目 41ページ

カテゴリーによっては、カテゴリー6 の「出張」やカテゴリー7 の「従業員の通勤」のように、全体に対する排出量が少なく、対策しがたいものがある一方、産業別ガイダンスで、スコープ3は重要と判断されていることを考慮すると、何らかの定めが必要であろうとの立場です。

「財務諸表と同じような基準が非財務情報できれば別だが」とも仰っていましたが、これは勘弁でしょう。

両者の違いは、スコープ1・2とスコープ3のデータの種類・質の違いどころではありません。これを包括するような基準を作ろうというのは、やはり、会計側の視点が多分に入っていると感じてしまいます。

続いて、代替案2です。

ご意見をいただきたい主な項目 42ページ

定量的閾値を設けては、業種・カテゴリによっては、重要性が無いものも開示しなければならなくなるのでは、との懸念からの提案でした。

とはいえ、IFRS S2 号のおいて、算定するにあたり従うものとされているGHGプロトコルのスコープ3基準には、重要性の判断基準が示されていることからも、何らかの定めは必要という判断に至ったそうです。

検証を行っている立場からすると、少量排出源として算定対象外にしている場合などは、その根拠を求めます。その場合は、事業者毎に「任意」に定めたルールを用いて説明してもらうことが殆どです。

つまり、恣意的に除外されたものでなく、かつ、担当者によって判断が異ならない体制になっているかを確認するのです。

ですので、第三者検証を受けるのであれば、代替案1がお奨めではあります。

ということで、いかがだったでしょうか。
自社の、算定ルールを振り返りながら、考えて見て下さい。

ご意見をいただきたい主な項目 43ページ

繰り返しですが、「グローバル企業だったら」という視点での意見募集ということをお忘れ無く。

次回は、7つ目の論点です。
終わりが見えてきました。もう少しです。では〜

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