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改正省エネ法を使いこなそう

2022年5月13日、エネルギー関係束ね法が参議院本会議で可決、成立しました。2050年カーボンニュートラル、温室効果ガスの30年2013年比46%減達成に向け、エネルギー需給構造の転換を後押しするものです。

「束ね」ですから、いくつかの改正がまとめられたものですが、GHG削減という観点からすると、何と言っても「改正省エネ法」です。

まず、名称が変更になりました。

旧:エネルギーの使用の合理化等に関する法律
新:エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律

これまで何度となく「改正」は行われてきました。ですが、はっきり言って小手先ばかりの、小出しのものばかりでした。

2013年の改正は笑えました。

旧「エネルギーの使用の合理化に関する法律」
新「エネルギーの使用の合理化に関する法律」

最初「何が変わったの?」って思いましたね。

この「等」は、このとき新しく法律の目的に追加した「電気の需要の平準化」の推進を表しているんですね。「電気の需要の標準化」とは、電気の需要量の季節または時間帯による変動を縮小させることです。(法2条3項)

今回は、相当気合いが入っています。
名称に新しい目的が明確に表されています。何が違うか明確です。
非化石エネルギーへの転換を促す内容になっているんですね。

改正のポイントは以下の3点

1.エネルギーの使用の合理化の対象に非化石エネルギーを追加
2.工場等で使用するエネルギーについて、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換を求める
3.再エネ出力制御時への電気需要のシフトや、現行の「電気の需要の平準化」を「電気の需要の最適化」に見直し、指針を整備

電気管理、エネルギー管理を本業とする私からすると、劇的な変化です。

これまで、省エネ法は「化石燃料を効率的に使用して、使用量を削減しましょう」と言う法律でした。ですので、全てのエネルギーを「原油換算」していました。

とすると、再エネで発電した電気も原油換算しないといけないのです。

また、太陽光の導入量が系統の限界値を超えたため、2018年から九州電力では出力抑制を実施しています。なので、ここで抑制量を少なくするために上げDRを実施すると、やはり原油換算されてしまう。

結局、再エネの導入量を増やそうと協力する行為が、旧省エネ法では全く評価されない訳なのです。

それどころか、特定事業者は、中長期目標で、原油換算使用量を年率1%以上削減しなければならず、達成度合いによって、S・A・B・Cの4段階で評価する「事業者クラス分け評価制度」により、C判定されると「指導」される可能性もあるんです。

これでは、アクセルとブレーキを一緒に踏んでいるようなもの。
良かれと思ってやっていることが、裏目に出るようなもの。

そこで今回の改正です。いろんな効果が期待できます。

  • コーポレートPPAの普及加速

  • 非化石証書売札増加

  • 非FIT太陽光設置拡大

  • エネマネのバリエーションの広がり

  • 再エネ製品の選択肢増大

排出量削減、脱炭素化に資する商品・サービスを提供する側、利用する側双方にとって、享受できるメリットは計り知れない。

この市場、常にウォッチングしています。
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