見出し画像

これから10年間コミットします

4月6日〜7日の1泊2日で、熊本県山都町で開催された、Present Tree 主催の植樹イベントに参加してきました。

同僚に誘われて、何をやっている団体なのか全然知らない状態での参加だったのですが、人生観が変わりました。これまで、10年以上森林吸収系クレジットに携わってきていながら、恥ずかしい限り。やっぱり、practitionerであるべきですね。

詳しくは、公式サイトを参照頂きたいのですが、ひと言で言うと、日本の森林の未来を照らすプラットフォーム、OSかな。

事業自体は植林なのですが、その背景と目的に共感しました。

戦後の日本は、燃料として皆伐された伐採跡地に、成長の早い杉・桧を政策として植樹しました。その後、エネルギーが化石燃料にシフトしたため、利用が進まず、伐期を迎える森が大量に現れました。

成長期の森林は吸収源となるため、クレジットという環境価値を生み出すことができるのですが、この時期になると、逆に排出源となることは皆さんご承知かと思います。

なので、伐採して再植林が必要なところ、日本の構造的問題が横たわります。林業従事者の高齢化と後継者問題です。

前述したように、戦後のはげ山に一気に植林したので、一気に皆伐期となります。現在、国産林の需要も高まっていることもあり、幸い、収益を上げることが出来ます。ですが、次の50年まで面倒見切れないので、再植林されない。結果、はげ山が至る所に見られるようになったのです。

ここに、寄付を募って、植林しているのが、Present Treeです。
里親になってくださいね、ということです。

ここまでなら「あるある」なのですが、政策として杉・桧が植林されていなければ、どのような樹種が存在していたかを調査し、落葉樹・常緑樹織り交ぜて、複数の樹種の苗を植えているのです。つまり、自然の森を再生させようという訳です。

このようにして、生まれた森がこちらです。

Present Treeの森

今回私が参加したのが、九州山地という、九州の背骨をなしている山地、脊梁山地と呼んでいますが、その麓の町である山都町。九州在住なので、山に登るときは何度も通ったことがありながら、恥ずかしながら、よく存じ上げませんでした。

SDGs未来都市の指定を受けていますが、これは後付け論。
SDGsという言葉が人口に膾炙する前から実践している町です。
こちらはあまりにも、ひと言では表現できませんので、是非こちらのパンフレットをご覧になってください。

山の都はワンダーランド(ダウンロードサイトへ移行します)

今回、アテンドして頂いたのは、脊梁山地の登山ガイドをされている町の超有名人、寺崎さん。役場の職員から、一転、独立されたストーリーも、パンフレットに詳述されてます。

お世話になった寺崎さん

今回、植林する前に立ち寄ったのが、町のシンボル「通潤橋」。
山都町は知らなくても、こちらをご存知の方も多いのでは?
昨年、何と国宝に指定されたそうです。

今年初の通潤橋の放水

これから植林を行う、白糸台地の棚田を潤しているのが、通潤橋を通してもたらされる山の水です。その、山の恵みを後世に残すために不可欠な森を守る取り組みに貢献できると考えると、感慨深かったです。

さて、植林を翌日に控え、一足先に山の恵みを頂きました。
お世話になった、ごかせ温泉木地屋の夕食は、どこまでも地のもの尽くし。
こちらは、五ヶ瀬ワイナリーを経営されているということで、絶品のワインも堪能できました。

木地屋の夕食

前置きが長くなりましたが、植林当日。昨晩から降り続いていた雨も何とか上がり、地権者でいらっしゃる、下田さんの案内で植林地へ。

最初に訪れたのは、前回の植林地。
3年でこの程度育つとのこと。
根付かなかったものもあるそうですが、だからこそ、継続的に実施していかなければならないのですね。

斜面に拡がる再植林地

今回の植林地に着くと、目の前には素敵な菜の花畑。
自然に咲いているのかと思いきや、今日のために、準備してきたとのこと。
(美しさを伝えきれず、すみません)

一面の菜の花

同僚によると、いつもは20名程度とのことでしたが、今回は、ツアー参加者が40名、地元の高校生、役場の方、指導役の森林組合の方々、そして地権者の方総勢約70名の、一大イベントとなっていました。

挨拶をされる役場の方(左:すみません お名前失念しました)と地権者 山村さん

ですので、20名では死ぬような作業も、この人数ではあっという間。
「あと、どこに植えればいいの?」という催促の声が飛び交う始末。
家族で参加された方も多く、子供達にはよい体験になったことでしょう。

植林を終えて後片付けに入った所で、雨が降り出すなど、点も味方してくれたイベントになりました。(晴れ男・晴れ女の面目躍如?)

分かりにくいですが、ピンクやオレンジのテープのところに植えています

作業の後は、お楽しみの腹ごなし。

こちらもまた、地のもの尽くしのランチ。
下田さん曰く「ちらし寿司の酢以外は、全て山都町」
さすが、食糧自給率300%。

植林の意義を語る下田さんと、お手製のランチ

ランチの後は、セミナー。
町内には、絶滅危惧種や準絶滅危惧種が多数棲息しているとか。
ですが、口外すると、業者が入ってきてしまうのでオフレコで。
そんな、貴重な森を守る取り組みに参加できて幸せでした。

希少な動植物を育む森の説明

とまぁ、こんな体験をしたら、里親になるしかないじゃないですか。
ということで、現在募集中の、7つの森に寄付させて頂きました。

これから10年以上、育てていくことを、ここにコミットします。
7つの「里」があると考えると、楽しいですよね。
Present  Tree さんと一緒に、日本を元気にしていきたいと思います。

もしよろしければ、是非ともサポートをお願いします! 頂いたサポートは、継続的に皆さんに情報をお届けする活動費に使わせて頂きます。