CBAMは「危機」なのか
ここまで引っ張るつもりがなかった、CBAMネタ。
書き出したら長くなって、3回目。
最後に、日本企業への影響について考えたいと思います。
まず、First Stageでの5セクターでは、影響は軽微だと思います。
CBAM導入に当たっては、保護主義的でない、国際ルールに反しないことに最大限の配慮を払う姿勢を見せています。
そのためには、製造における排出量が明確に区別され、対象となる製品に帰属される必要があります。それに基づき、CBAM certificate を納付することになるからです。
これが正確でないと、保護的でない、差別的でないことが担保されません。
ですから、First Stageでは、殆どが素材あるいは素材に近い製品が対象になっています。対象4セクターのトップテンに、日本のの影は皆無です。
特殊鋼などの鉄鋼分野では、影響があるかもしれませんが。
じゃぁ、素材関連の日本からの輸出は限られているので、安泰でしょうか。
違いますよね。欧州委員会も、難しいものの、25年までの間に試行状況を評価し、適用拡大を検討するとしています。
Second Stageの対象分野を占うことは困難ですが、このような書きぶりを見ると、サプライチェーンの下流部、つまり消費者が直接使用する製品が検討されているように思います。具体的な製品名はありませんが、例えば、自動車や精密機器、食品等が入ってくると、俄然影響度合いが飛躍的に高まりそうです。
算定を担当されている方であれば、最終製品を輸出していなくても、枠組に含まれてしまうことは、容易に予測がつくでしょう。サプライチェーンですから。気がつけば、取引先からの質問書が届いているかもです。
でも、これって「危機」なのでしょうか?
もう、既に皆さんの中には、製品単位の排出量や、組織の排出量、あるいは、取引先の要望を受けて、原料・中間材としての排出量を算定されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、バウンダリーを確定させて、仕訳を行い、必要な活動量を収集し、妥当な原単位を選択或いは作成する。データを収集する仕組みづくりも行わなければならない。目的によっては、短期、長期の目標を設定し、適切に公開する必要がある。
しかし、全てはつながっています。目的に合致したデータ収集及び整理をしていれば、活用、使い回しができます。
加えて、政府も重々承知していて、日本企業が不利にならないよう、検討を重ねてきています。個人的には、これを契機として、カーボン・プライシングの大本営、排出量取引市場の早期実現を図って欲しい。
排出量取引市場を設けている国、地域が参加しているICAPは、東京都や埼玉の取引市場が域内の排出量削減に寄与していることを評価しています。
スタートを失敗しなければ、同業他社に対し優位なポジションに立つことも可能でしょう。
「危機」が「機会」に変わるのです。
とはいえ、やればやるほど沼にハマるのが、算定業務。
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