CBAM in motion(2)
2023年10月より導入が事実上確定したEUの炭素国境調整措置(CBAM)について、EY新日本有限責任監査法人が開催したウェビナーの資料を用いながら、内容について見ています。
1回目では概略の説明をしたところです。
2回目は、CBAMが及ぼす影響を、自分なりに考えたいと思います。
何と言っても「輸出業務が変わる」ことですね。
「当たり前だろ」と思われるでしょうが、当該業務に従事する方にとって「CO2排出量の算定」って未知の世界だと思います。
脱炭素に関する人材育成についてはこれまでも述べてきておりますが、まだまだ緒にも就いていない段階です。算定ができる人間は、サステナビリティ部門の担当者くらいでしょう。
それでは、申告の実際のフローを見てみましょう。
大まかには、以下の6つのステップがあるようです。
「認定申告書類」は、以下の3つを指します
これだけではないですよ。その前に、算定作業があります。
さらっと書きましたが、そもそも「対象品目の特定」が難しい。
暫定として公表されているアルミニウムのCNコードがこちらです。
「7616」は「Other articles of aluminium」となってます。
となると、素材あるいは半製品で対象となるか否かは、厳密にいうと、当局へ逐一確認をとる必要があるのではないでしょうか?
その他の区分も、詳しいようで大雑把の感じ。すると、担当者は、まず自社製品を熟知していないと始まらない。何と言っても「法律」です、罰則があるのです。疎かになんてしてられません。
ようやく「特定」できたとしても、次に待ち構えるのが「算定」です。
素材レベルですので、上流に遡るのはそこまで難しくは無いですが、困ったことに、CBAMは「一次データの使用」を要求しています。
サプライヤーの協力無しでは到底なし得ません。
これが、「年ベース」でなく「四半期ベース」でやってくるのです。
加えて、自社製品については常にウォッチして、新たな対象品が含まれることになっていないか確認しなければなりません。当局とのコミュニケーションも必要です。
もちろん、「CBAM証書」を購入する費用も発生します。
なお、CNコードで確認して算定して申告しても、判断するのは「当局」。
違うCNコードに割り振られて、勝手に登録されることもあるらしいです。
となれば、EUの輸入業者とも常にコミュニケーションしておく必要がありますね。
私自身、ウェビナーを視聴しながら、空恐ろしくなりました。
次回は、もう1点、「検証業務が変わる」について話したいと思います。
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