GHG排出量の検証について
2月10日に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されたことを受け、嫌がおうにも盛り上がりを見せています。今国会に提出される法案は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の促進に関する法律案(GX推進法)という、とても覚えられない名称ですね。
排出量算定支援に携わる人間としては、その中でも、GX-ETSが一番関心が高いところでしょう。算定はもちろんのこと、算定結果について要求される「第三者検証」についても気になるのではないでしょうか
まずは、さらっとおさらいしていきましょう。
GX-ETS参加にあたり求められるのは、基本的には、この4ステップ。
2.実績報告のステップにおいて「排出量の算定結果につき、第三者検証が必要」となっています。」
なお、直接排出量の量によって、Group G(大企業)及びGroup X(中小企業)と区別されており、目標設定における要求項目が異なっています。
「第三者検証」については、「必須」か「任意」かという違いがあります。
ここでもう一点、検討会の中でも論点になった事項があります。
「合理的保証」か「限定的保証」かという点です。
会計監査やISO審査のご経験のある方であれば当然かもしれませんが、受審の難易度及び費用の面から、委員の皆さんからも意見が出ておりました。
簡単に言うと、受審企業から提出された証憑類のみに基づいて判断するか、検証機関がこれまでの知見等を元に、さらに必要な証憑類の提出を求め、それらを総合して判断するかの違いです。
性善説か性悪説か、みたいなイメージでしょうか。
結局は、このように、取引市場で取り引きできる超過排出枠を創出する場合には、「合理的保証」が必要と整理されました。超過排出枠は金銭的価値を有することになるので、当然と言えるでしょう。
それでは、どのような「第三者検証機関」から検証を受ける必要があるのでしょうか。これについても、ルールがあります。
つまり、GXリーグ事務局が、上記要件に基づいて登録された「第三者検証機関」から受審することになります。なお、「限定的保証」であれば、要件がないとされています。記載はありませんが、登録の有無は問わないということでしょう。
ここで、詳しい方は気になる点があるかもしれません。
「第三者検証機関は14065認定を受けている必要があるか」です。
これについては、認定を行っているJAB(日本適合性認定協会)のサイトに説明があります。
ISOの審査機関と同じように、GHGの検証を行う機関についても、認定を行っているのです。ただ、JABから認定を受けているのは、以下の7機関。
とはいえ、ISOのように、認定を受けていなければ検証できないということはありません。(もちろん、ISOでも審査できますが、プライベート審査という形になります=ISOのマークは使用できない)
前述したように、GX-ETSは、GXリーグ事務局への登録は要求していますが、65認定は要求していませんので、問題にはならないと思います。ただ、企業によっては対外的な面から、あるいは、ステークホルダーの要求等により、機関を限定することはあるかもしれません。
今回お話しした、「保証内容に種類があること」及び「第三者検証機関にもISOと同じようなJABによる認定のシステムがあること」は、検証に携わる人にとっては、知っておくべき内容です。
ISOのシステムと併せて、覚えておくとよいでしょう。
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