SSBJオープンセミナー(1)
3月7日に開催されたSSBJのオープンセミナー、参加してきました。
3月末に、日本版S1・S2の公開草案発表を控え注目が集まっていたことに加え、リアルのみの開催だったこともあり、300人の枠はあっという間に埋まったとか。後日アーカイブ配信を予定とのことですが、やはり、いち早く情報を入したいですよね。
これについては、冒頭の川西SSBJ委員長の趣旨説明で「人数を読み違えた」と謝罪されていました。いずれにせよ、これから毎年、この時期に開催されるとのこと。来年は、確定基準の公開ですので、心してかかる必要がありそうです(笑)
さて、初開催にあたり、当日の資料が事前にサイトにアップされたのは、良かったですね。先に申し上げておくと、事前資料以上の情報はありませんでした。草案の前出しがあった訳ではありませんので、ご安心下さい。
ですが、それにしては「サステナビリティ開示基準アップデート」の時間が約3時間も取られていることに疑問を感じますよね。
noteでもご案内していますが、SSBJが日本版S1・S2の適用対象企業を「上場企業」として開発していたところ、金融庁から「プライム上場企業又はその一部」を想定するとの説明がされました。
ですので、前提が変わったために、本来であれば議論をやり直すべきところ。というのも、上場企業には中小企業も含まれていることに鑑み、一部ISSBの基準案を緩和したり修正していたりしていたからです。
それがスケジュール上困難ということから、審議の過程で意見が分かれた主な項目を開示すると共に、それについての代替案を示し、7月末までコンサルテーションを行うという手段をとったものと思います。
もちろん、公開草案の公表はそのためにあることは重々承知していますが、「プライム上場企業又はその一部」が開示をするという前提でフィードバックをしてくれとのこと。
つまり、「中小企業」ができるできないでは無く「大企業」ができるできないの視点で意見を出してくれ、というのであれば、「なるほど」と思いませんか?
中小企業を想定してISSBから変更した点の妥当性を、パブコメを通じて判断し、議論のやり直しを避けたのかな、というのが私の考えです。
ですので、皆さんも、「サステナビリティ開示基準アップデート」セクションの2つ目「ご意見をいただきたい主な項目」をご覧になって下さい。
ここで示されている、9つの基準案と代替案の背景及びその理由について、委員長及び主要メンバーが説明し、意見を求めた。それが、約3時間かかったということです。
その説明は資料にありません。なので、今後公開されるアーカイブを視聴する必要があるのですが、noteで、簡単に紹介していきたいと思います。
はっきり言って、3時間の長丁場で疲れましたが、これを後からアーカイブで、というのも苦痛かと思いますので、お役に立てればと思います。
最後に、good newsをひとつ。
金融庁は、ワーキンググループを設置し、サステナビリティ開示基準について検討する予定にしています。
SSBJとしては、日本版S1・S2の確定基準を作るのだけれど、法定開示化される内容については、ワーキンググループでの議論に任せる、という立場のようです。
つまり、これから1年間掛けて、金融庁の意向をくみ取りながら、確定基準を作り込んでいくということ。金融庁が、対象企業を限定する決断をしたのは、相当のロビーイングがあったのではないでしょうか。
コンサルテーションも、賛成・反対だけではなく、その理由と代替案の提出まで求めています。従来のような「ガス抜き」では無いと思います。
利用者側の意見を反映させた日本版S1・S2にすべく、是非とも、多数の具体的で現実的なフィードバックを返しましょう。
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