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GXリーグ戦略?

GXリーグについては、noteで何度かご案内してきています。
賛同及び参画している立場から、「民間主導」で「2050年カーボンニュートラルと社会変革」を実現しようという取組には期待していました。

もちろん、今でも期待していますし、貢献しようと思っていますが、「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けたカーボンフットプリントの算定・検証等に関する検討会」に対するGXリーグの関与の仕方から、少しその立ち位置、役割について「?」となり始めていました。

そもそも、ETS自体、今まで何度も議論を重ね、「叩いて叩いて叩き壊して渡らな」かったとも言えるスキーム。試行はしたものの、日の目を見なかった過去に学び、「官主導ではダメだ。民主導だ」と立ち上げたのが「GXリーグ」と見ていました。

異論はありつつも、民に根回しをしているような形になっていますし、「ボランタリー」なこともあり、大きな反発もなく、静かな船出を迎えたように感じています。

「排出量取引」についての黒歴史は、以前のnoteを参照下さい。

このような背景の下に、出てきたのが「削減実績量」でした。

この指標は、GXリーグの「グリーン商材の付加価値付け検討WG」にて「グリーン価値の新指標」として提案されたものであり、それが、経産省の「産業競争力強化及び排出削減の実現に向けた需要創出に資するGX製品市場に関する研究会 」に引き継がれました。

noteで紹介した時は第3回が終了した段階でしたが、第4回会合を経て、翌月3月に「中間整理」としてとりまとめられています。つまり、「案」ではなく「決定」になったのですね。

産業競争力強化及び排出削減の実現に向けた需要創出に資するGX製品市場に関する研究会
中間整理(別紙)11ページより(著者追記)

そして、5月13日に行われた「GX実行会議第11回会合」です。

武藤経産相のレジュメ、P2には「排出量取引制度の26年度本格導入に向け、一定規模以上の排出を行う企業の参加義務化や個社の削減目標の認証制度の創設等を視野に法定化を検討」とあります。

資料1 我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて (齋藤GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)P2より(著者追記)

P10にも同様に「排出量取引制度を法定化(26年度から参加義務化)」との表現が見られます。

資料1 我が国のグリーントランスフォーメーションの加速に向けて (齋藤GX実行推進担当大臣兼経済産業大臣提出資料)P10より(著者追記)

経産省は、5月15日の基本政策分科会で、第7次エネルギー基本計画の策定作業に着手しましたが、別の会合で進めるカーボンプライシングの議論も踏まえて内容を詰めていくとしていますので、計画にしっかりと盛り込まれるのでしょう。

さて、レジュメの表現からは「GXリーグ参加は義務」としか読めません。
GXリーグにおける自社の削減目標は任意なので「自主目標」のはず。
「だから大丈夫」とタカをくくっていると、泣きを見るかもしれません。

「削減目標の認証制度」を受ける必要があり、それが「法定化」されるのであれば、「ほぼ義務化」でしょう。

国内クレジット創設時には、経団連の自主行動計画が利用されました。
自分たちで決めた目標だから、守るのは当然でしょうと。
加えて、日本国のインベントリとしてカウントしているから、必達ですと。

ただ、達成できなかったとしても、「国内クレジット」を購入してオフセットしてもよい、という経緯で生まれたのがこの制度。クレジット収益は中小企業に環流するため、既に自前で省エネを推進していた大企業だけでなく中小まで含めて、取組が進むと見込んだんですね。

国内クレジットの時は、法的裏付けに乏しく(温対法における、京都議定書目標達成計画など)、東日本大震災でガラガラポン状態になりました。

ですが、今回は全く違います。
国民や企業間において、一定程度のコンセンサスも得られています。
とはいえ、やはり、官主導の施策は紆余曲折が懸念されるし、国際社会から求められているスピードで推進できるかは甚だ疑問。

以上を踏まえて、思い至りました。

「合意を得るのが難しい施策の推進」に対するソリューション。
それが「GXリーグ戦略なのではないか」と。

GX-ETSをベースに「GX実現に向けた排出量取引制度の検討に資する法的課題研究会」において「排出量取引制度を2026年度より本格稼働し、今後大企業の参加義務化や排出削減目標の認証制度の創設を視野に法定化を検討していく」そうです。

第1回会合が5月17日。
座長は、様々な小委やWGに引っ張りだこの、高村先生。
委員の意見を丁寧に拾いながら議事を進行をされるので、期待しています。

クレジットとETSは、ライフワークでもあります。
タイムリーにご案内していきたいと思います。
ご期待下さい。


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