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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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世界銀行のCPレポート 斜め読み(1)

世界銀行(世銀)は、こちらのダッシュボードを通じて、世界のカーボン・プライシング(CP)の情報を発信しています。 説明をしておくと、CPには次の3つの種類に区分されます。 排出量取引(Emisssion Trading Scheme:ETS)のみであれば、ICAP(International Carbon Action Partnership)も重要な情報源です。 導入されている国・地域がマップやリストで示されますし、排出権価格(Allowance Price)のチャー

インドネシアのカーボン・クレジット市場(1)

ウェブ上で完結するカーボン・クレジット市場を提供しているACX。 毎週発行されるマーケットレポートでお世話になっており、noteでご紹介したことがあります。ご関心のある方は、こちらを参照下さい。 そのACXは隔月で、国・地域のクレジット市場を深掘りしたレポートをリリースしているのですが、今回は「インドネシア」でした。 昨年より、アジア、特にASEANのカーボン・クレジット及びサスティナビリティ情報開示熱が高まっていることから個人的にも注目し、noteでもご案内していまし

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(3)

BeZero Carbonのレポートを、簡単な説明と、個人的見解を交えてご案内しているシリーズ、3回目。 前回までで1〜3は紹介済み、今回は、4〜6をご案内。 よろしければ、1回目、2回目もご参照下さい。 10のイノベーションはこちらでした。 4. Regulators & initiatives - from theory to practice ESG開示フレームワークは、2000年一桁台はGRIスタンダードのみだったところ、2013年にIIRCが国際統合報告フレ

VCMのプラットフォーム〜ACX

VCMの動向をチェックするのにお世話になっているのが「ACX」 カーボン・クレジットの取引が全てウェブ上で完結するマーケットを提供する企業です。安全で信頼性が高く、堅牢なプラットフォームを提供、透明な価格設定、効率的な取引、決済リスクの軽減、低い手数料を謳っています。 皆さんご存じのように、ボランタリークレジットは、まだまだ相対取引がほとんどを占めているため、いくらで取引されたのかは分かりません。そこに、ACXのような、クレジット価格がウェブ上で確認できる市場の存在価値は

CORSIA適格ユニットの動き

毎週届く、ACXのメルマガ。 世界のカーボン・クレジット市場動向がわかるので、重宝しています。 ACXとは、2023年1月に設立された、シンガポール拠点のカーボン・クレジット取引市場で、全ての取引がオンラインで完結する完全ウェブベース市場です。ブロックチェーンを活用して取引の透明性と信頼性を担保しており、様々な種類のクレジット取引が可能です。 加えて、UNFCCCによる承認を受けているため、CERを取引できるという利点があります。世界で2番目、アジアでは初の取引所であり、