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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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#ICVCM

ICVCMの目指す「Additional」とは?(2)

前回から、特定の再エネクレジットがCCPラベル認証対象外となった理由である「Additionality」について考えています。 前回はこちら。 対象外とされたのは、再エネクレジットが8種類と、SF6排出削減クレジットが1種類。 根拠資料としているのが、ICVCMが公開した「カテゴリー評価に関する見 再生可能エネルギー」という文書なので、再エネクレジットについてのみの説明になります。 この文書で議論しているのは、「再生可能エネルギープロジェクト」が「クレジットによる支援

Additionalityに基づくICVCMの判断

ICVCMが、既存の再生可能エネルギー方法論に基づいて発行されたクレジットに対して、CCPラベルを付与しないことを発表しました。 CCPラベルとは、「高品質なクレジット」の証左とも言えるラベルで、次の2つのレベルで認証が行われます。 簡単に言うと、CCP-Eligibleは、クレジットプログラム(VCS、GS、ARTのようなボラクレスキーム)を認証するものであり、CCP-Approvedは、方法論(森林吸収やバイオ炭などのプロジェクト)を認証するものです。 詳細について

クレジットを安心して購入したい

これまで、何度か、クレジットが一般の商品になってきたという話を、noteでご案内してきました。 ここで、クレジットの普及へ向けて、開発・導入されているサービスをまとめておこうと思います。具体的には、次の5つかなと。 それぞれ説明していきますね。 「1.レーティング」はクレジットの「格付会社」。 例えば、「BeZero Carbon」が挙げられます。 株式と同じで、詳細な情報を入手するには契約が必要ですが、後ほど説明するACXとコラボしていているので、ACXが毎週リリー

米国から目が離せない?!

4月9日、SBTiによるスコープ3削減に当たってクレジットの利用を認める旨の声明を発端として、サステナ界隈がざわつき始めたのは、皆さんご承知の通りでしょう。 実際問い合わせも多く、取り急ぎ、個人的な見解をご案内しました。 もしご覧になっておられないようでしたら、是非。 これに至る伏線は複数あり、さほど驚きではありませんでしたが、やはり、足元で起きている現象を俯瞰して、今何が起きているかを把握する「Insight」と、これらを解釈して将来何が起こりそうかを予測する「Fore

クレジット化、必要ですか?

「カーボン・クレジット」という概念が、環境に携わる方々の間では浸透し始めてきていることは、私も含め、皆さんも実感されていることでしょう。 noteでは、その意味・意義や活用については繰り返しご案内しているという自負があり、喜ばしいとは思っています。 しかしながら、普及するに従い、問題が発生することは世の常。いつまでも、スタートアップで居続けられるとは限らないのです。 それを痛感するのが「クレジット作りたいんですけど」という問合せ。 noteでは、ブルーカーボンを推して

GSがCCP(プログラムレベル)評価を申請

こちらのnoteで、しつこいくらいにお届けしている「高品質なクレジット」 その共通ルールとなるべく、ICVCMが「Core Carbon Principles:CCPs」の第一弾を3月に公開、第二弾を7月に公開して「完全体」になった旨も、いち早くお届けしました。 CCP認証は次の2種類の認証がありますが、ICVCMが行う認証は「1.プログラムレベル」のみです。 「プログラム」とは、例えば、Verraの「VCS」やゴールドスタンダードの「GS」などの「カーボン・クレジット

Energy Transition Accelerator (ETA)

ケリー米国気候問題担当大統領特使、ロックフェラー財団及びベゾス・アース・ファンドが11/9、Energy Transition Accelerator (ETA)という仕組みを発表しました。話題になっているようで、プレスリリースを確認してみました。 1.5℃目標を達成し、世界中で発生している気候変動による極端現象を回避するためには、再生可能エネルギーに対する前例の無い規模の投資が必要であるとの認識の下、特に途上国におけるエネルギー転換を加速させるための民間投資を促進させるこ