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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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#中国

中国版S1・S2? ESRS? したたかな戦略

上海・深圳・北京という、中国の主要証券取引所が、サスティナビリティ情報開示ルールのドラフトを公表、コンサルテーションを実施しています。 noteでも繰り返しご案内しているように、昨年ISSBがIFRS S1・S2基準をリリースして以降、各国・地域の規制当局が、それぞれの事情を反映させたS1・S2基準を策定してきています。 日本版は、昨年度末日にSSBJが公開したことが、記憶に新しいところ。 上記に記載がありませんが、香港政府も2024年度から段階的に導入開始し、2026

中国のETSとVCMの現在(2)

みずほ銀行のレポートを情報源に、中国のETSとVCMの現状をキャッチアップしております。前回は、イントロだけで終わってしまいましたので、今回は、中身に入っていきたいと思います。 ETSとVCMとは何ぞや、について簡単に説明していますので、ご関心のある方は、参考になさって下さい。 さて、前回説明したCCER(China Certified Emission Reduction)から話を始めましょう。中国が温室効果ガスの排出量を削減し、環境保護目標を達成するために設計されたも

中国のETSとVCMの現在(1)

JPXにおけるカーボン・クレジット市場が試行期間を経て、2023年10月11日、華々しくオープンしたことは、皆さんも記憶に新しいところでしょう。 GXリーグも、2022年度の「構想」から実行段階に移りましたし、政府はGX推進法案を採択するなど、2023年は「カーボン・プライシング」元年と言ってよい年だったかもしれません。 GX戦略とカーボン・プライシングについては、noteでも詳しく説明しましたので、詳しくはこちらを参照ください。 さて、そんな2023年も過去のものとな

中国の排出権取引市場について

先に世界の排出権取引市場の現状をお伝えしました。 ここで、読者の方から、中国の排出権取引市場について教えて欲しいというリクエストがありました。とはいえ、「注目ですよ」と言っておきながら中国語がまるっきりな私。「up to date」な情報を入手するのに苦労しているのが現状。 そんなとき、気候変動対策や炭素市場などについて、いつも非常に有用な情報を提供されているIGESさんが、非常に分かりやすいレポートを出してくれていました。 今回は、そのレポートから、皆さんが知りたいと