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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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2024年3月の記事一覧

ブラジルのVCMが熱い?!

昨年、「アジアのカーボン・マーケットが熱い」というお話をしました。 既に稼働している中国や韓国はもとより、台湾やインドネシア、ベトナムで取引市場設立が予定され、インドでも模索しているというものでした。 また、気候変動だけでなく、サスティナビリティ情報開示のインフラを共通化し、統一したESG指標を導入するといった動きも出ていました。 個人的にも、台湾でブルーを創生しようと青図を描いていたところなのですが、地球の反対側、ブラジルでも「カーボン・マーケットが熱い」というお話をお

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(4)

BeZero Carbonのレポートを、簡単な説明と、個人的見解を交えてご案内しているシリーズ、最終回。 前回までで1〜6まで紹介しましたので、今回は、残りの7〜10です。 よろしければ、こちらもご参照下さい。 10のイノベーションはこちらでした。 7. Insurance - giving the risk to people who want it クレジットを買う側からすると、これまでは、プロジェクトが実現するか、イニシャルのリスクが大きかったように思います。つ

クレジットと証書の違いを押さえておこう(2)

前回は、カーボン・クレジットと証書違いの、根本的なところをご案内しました。「まずは違うと言うことを知っておいて下さいね」と。 1回目はこちらです。 ただ、理屈ではそうだと思うのですが、個人的には、「高品質なクレジット」であれば、積極的に購入してほしいと思っています。 というのも、バリューチェーン内であれば、製品開発や購買行動、取引先へのエンゲージメント等を通じて、全体の排出削減を図ることができます。 しかしながら、バリューチェーン外では影響力を及ぼすことができないとこ

非化石価値取引結果 23年度第3回

23年度3回目となる非化石価値取引市場の取引結果が、2月29日までに全て出揃いました。(約定日は、非FIT(再エネ指定無し)、非FIT(再エネ指定)、FITがそれぞれ、27日、28日、29日) 取引結果が公表される度にご案内しています。 前回の結果は、こちらを参照下さい。 まずは、約定量から見ていきましょう。 FITは継続的な需要があるところ、非FITは前回喪失した需要が戻らず。 従前この市場では、2つの異なる価値の調達のために証書が取引されていました。一つが小売電力事

VCMに革命をもたらす10のイノベーション(3)

BeZero Carbonのレポートを、簡単な説明と、個人的見解を交えてご案内しているシリーズ、3回目。 前回までで1〜3は紹介済み、今回は、4〜6をご案内。 よろしければ、1回目、2回目もご参照下さい。 10のイノベーションはこちらでした。 4. Regulators & initiatives - from theory to practice ESG開示フレームワークは、2000年一桁台はGRIスタンダードのみだったところ、2013年にIIRCが国際統合報告フレ