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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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2022年12月の記事一覧

EU-ETS2030年目標、大幅削減で合意

EU理事会と欧州議会は、12月18日、EU-ETSの改正指令案の暫定的な政治合意に達したと発表しました。 今回の改正は、欧州気候法において設定された「Fit for 55(1990年比で2030年に最低55%削減)」の達成に向け、現行のEU-ETSの削減目標を引き上げるもの。合意を受けて、改正指令案は、EU理事会と欧州議会の採択を経て、施行される見込みです。 欧州委員会は、EU-ETS開始年の2005年比で2030年までに61%削減とする改正案を提案(2021年7月)、E

CBAMが導入が事実上決定

13日、欧州議会とEU理事会がCBAMの導入について合意に達したことは、日経メディアでも報道されているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。 まだ「暫定的かつ条件付きの合意(provisional and conditional agreement)」であり、最終決定に至るには、EU各国及び欧州議会において「採択(adoption)」される必要があります。 とはいえ、暫定合意内容にあるように、23年10月以降に運用が開始されることは間違い無いでしょう。初期は移行期間の位

非化石価値取引市場取引結果斜め読み

JEPX(日本卸電力取引所)は、22年度第2回目の取引結果を公表しました。 取り引きはオークション形式で行われ、年度内に4回(8月・11月・2月・5月)実施されます。 この「非化石価値取引市場」および「高度化法義務達成市場」とからなり、取り扱っている証書は、それぞれ次のようになっています。 一般の事業者が、省エネ法の報告において、他者から購入した電力による排出量(間接排出量)を削減するために購入する証書は「FIT証書」です。 他方非FIT証書は、いずれも、高度化法の規