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排出権取引の現在地

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カーボンプライシングの1つ、排出権取引。世界を見渡すと、EUや中国、韓国、ニュージーランドなど、幅広い国で実施され、着実な効果を上げています。日本で検討されているGX-ETSはど…
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2022年11月の記事一覧

6条8項の議論

これまで、6条2項及び6条4項について、どんな議論がされる予定なのか、どんな議論が進んでいるのかをご案内してきました。 ですが、6条にはもう1つ、8項という条項があり、これもCOP27で議論される予定になっています。2項及び4項の陰に隠れて目立ちませんが、「非市場アプローチ」を規程するものです。 対となる「市場アプローチ」というのは、6条2項及び4項で扱っている「市場メカニズム」のことです。 CO2の削減・除去・吸収量という環境価値を「カーボン・クレジット」という金銭価

6条交渉の進捗状況

COPで気になる気になる〜はカーボン・クレジット。 開幕時にも、ご案内しておりました。 第2週は、大臣レベルが終結して交渉テキストを作成する段階に入ります。ですので、第1週最終日に予定されている補助機関会合の閉会プレナリーまでに、各項目の審議を終わらせる必要がありました。 その内容はもちろんクレジットだけでなく、緑の気候基金(GCF)や地球環境ファシリティ(GEF)、気候変動の悪影響に伴う損失損害資金制度(ロスダメ)などもあります。いやぁ、各国の交渉官の皆様大変ですねぇ。

Energy Transition Accelerator (ETA)

ケリー米国気候問題担当大統領特使、ロックフェラー財団及びベゾス・アース・ファンドが11/9、Energy Transition Accelerator (ETA)という仕組みを発表しました。話題になっているようで、プレスリリースを確認してみました。 1.5℃目標を達成し、世界中で発生している気候変動による極端現象を回避するためには、再生可能エネルギーに対する前例の無い規模の投資が必要であるとの認識の下、特に途上国におけるエネルギー転換を加速させるための民間投資を促進させるこ

パリ協定6条4項の議論内容は?

今回のCOPで着目している、カーボン・クレジット関係の議論。 何が決定されるべきかについては、UNFCCCが10月25日に発表した、非公式文書(決定用素案)に記載があります。 なお、「6条4項」とは「京都議定書におけるクリーン開発メカニズム(CDM) の後継版となる、新たな国連管理下のクレジット制度」について規定している条項です。 UNFCCCがパリ協定における「市場メカニズム」として正式に認め、自らが管理している「カーボン・クレジット」のことで、京都議定書の下ではCDM