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隠さずとも、曝け出さずとも。

今回使った写真は、金継ぎされている器です。


割れてしまった箇所を漆で継いで、
その継いだ箇所に金属粉をかけて装飾する。

敢えて修復した箇所を見せる修復の技法。

これも最近よく聞く、アップサイクルの一つですね。

こういう方法もあるけれど、
そこまでして使いたい場合にだけ、
こういった手間をかけるのではないでしょうか。

身の回りの普段使っているものも、
手入れをしながらなるべく長く使えるものは使いますが、
消耗品の方が多いのかと思います。

消耗品でなくとも、
長年使って修復せずお別れすることもありますね。

幾らまだ修復すれば使える、
といっても長年使用した損傷は覆い隠せないので、
もう使わないと判断することもあります。

すべてを修復して使う必要はないと思います。
こういう時代だから、
まだ使えるのにという考えが過りますね。
ですが、無理することもないと思います。

それは人も同じですね。
ある程度、
年齢を重ねていけば色々な経験をしますね。
劣等感や心の傷に繋がる体験も
してきているのではないでしょうか。
その劣等感や心の傷は、
あまり誰かに知られたくない。

知られたくないから、
隠すことに労力を使ってしまう。
隠すことに自分のすべての労力を使うと、
本当に自分が労力を注ぐべきことに
注げなくなってしまいます。

そうはいっても、
心の傷を癒すのには時間ががかります。
まずは、隠すことをやめるところからでいいと思います。



隠すことをやめるのは、
曝け出すことと違います。


その傷があることは認めるけれど、
意識する時間を短くしていく。


人に会ってるときに自分の服のシミに気がついちゃったら、
気が気でなくなっちゃって、全く集中できないですよね。


とりあえず目の前の人との会話に集中して、
あとでお手洗いにでも行ったときに落ち着いて、
服のシミ取りをしたらいいです。


それと一緒です。


有ることは忘れていないけれど、
今、目の前のことに集中して意識を反らしていく。

時々思い出すかもしれないけれど、
余裕が出てきたら傷の修復をしたらいいです。

そして、
修復した傷を落ち着いて眺められるようになったら、
写真の食器みたいにその傷は、
人を魅せられるものに出来ると思います。
誰かの心の傷を癒せるかもしれません。


心の傷は、
必死に隠さなくてもいいですし、
かといって、
無理に曝け出さずとも良い、
そんな風に思います。



『傷跡を隠しちゃいけない。
その傷が君を君らしくしているんだ。』
        フランク・シナトラ

このお方と言えば、この曲。

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