見出し画像

断るべき案件について

今回は私の失敗談についてお話したいと思います。何が何でも実績が欲しい、どんな案件でも受注したい!と思っている方もいるはず。それでも、時には断る勇気も必要です。

ある方に紹介いただいて社内インタビューのライティングの取材記事の案件をいただきました。取材と執筆と伺っていましたが、担当者に聞いてみるとその方が結構前にインタビューをしているのでその時の取材メモから書き起こしてほしいということでした。書くべき内容が書かれていれば文章にリライトできるので「大丈夫ですよ」と答えました。

取材メモを見てビックリ。断片的な単語が並んでいるだけ、そして録音データもありませんでした。私は取材は録音するものだと思っていました。(一般的にはそうだと思いますが)録音データはあって当然だと思っていました。そしてメモ書き。まさか本当に、電話を受けた後のようなメモだったのです。

200文字あるかないかの単語から、どうやって4000文字程度のインタビュー記事を書くの?もはやインタビューでもないし、何書いてあるのかわかりません。

「録音データは……」
「とっていないんです」
「ちょっとこれだけだと難しく……」
「分からないことは聞いてください。これ参考に書いてください。それをもとに直していきたいと思います」

全部、空想でインタビュー記事を書くんですか……?

インタビュー記事は、取材対象者が話した内容以外は書かないが鉄則です。どう考えても無理です。でも、知人からの紹介だったので「この情報では書けません」と言えませんでした。言えなかったけれど、ライターとしてこのときにNOを言うべきだったのです。

メモ書きにあること以上のことはかけません。そして参考にいただいたものを見てなんとか苦慮して書いたもの。どうしても2000字が限界でした。担当者は、私が難しいと話したときに「質問しながら書いていただければ大丈夫です」と言い、「書けるところまでで一旦見せていただき、FBしつつすすめたい」というような話をされて。その時点でおかしいと気がつくべきだったのですが、その言葉通りに進めたところ2週間くらい音信不通になりました。そしてやっと連絡がついたと思ったところ、イメージと違う、無理があった、指示と違うなどなど、私の手元にあった情報以外の、そして指示内容とは違う辛辣なFBが返ってきました。

担当者が求めていたものと違うのは事実でしょうが、私にはそれを実現するだけの情報も何もなかったのです。私はこの案件をお断りすべきだったのです。だからこれは私の間違いです。とはいえ、難しいと伝えたときに、聞きながら書いてもらえればという謎の説得みたいなものもあったので、理不尽だな…と思いました。空想で書くことを"求められた"のだと思いますが、どうしてもインタビュー記事なのに空想で書くということはできませんでした。

断ることで不利益を被る場面も中にはあるかもしれませんが、そして知人が絡むことで断りにくいこともあるかもしれません。ですが、結果的にお互いに不幸になってしまうので、できないと分かった時点で、自分には無理だと思った時点で断る勇気も必要です。

ちなみに、何故こんなことになったかというと、ヒアリングしたときには(音源があればかける、質問表と回答があればそこからおこせますよ)という話をしていて、あるという前提でした。

しかし担当者が来ると、私がヒアリングしたときと条件が違うのです。いまだったら、条件が違うから書けないよって言えますが、その時はどうしても言えなかったんですよね。

毎週月曜日は過去を振り返りながら私がライターになった話をまとめています。


最期までお読みいただきありがとうございました!