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Eugenの備忘録その24-オケの魔術師降臨!!6/25 デュトワ指揮新日フィル定期

シャルル・デュトワ指揮新日フィルサントリー定期演奏会(6/25 14時より、於サントリーホール)

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《火の鳥》組曲(1919年版)
ベルリオーズ:幻想交響曲

 とにかくデュトワが若く、ブロムシュテットに次ぐ「レジェンド枠」になるのではないかと確信する生命力と集中力。《幻想》は初っ端や第3楽章などの緩徐部分はかなり緩やかで加齢を少し感じるもじっくりゆったりとした広がりを持った進行に円熟味を感じた。Cb.の鋭いアクセントやVa.のPizz.をはじめ弦の扱いが非常に緻密。管楽器からも一切の力みを排した軽やかな音を引き出し、第1楽章中間部や第3楽章冒頭などで非常に表情的なパフォーマンスが聴けた。最後2楽章での打楽器も含めたメリハリ効果は言うまでもない。
《幻想》でのこうした丹念なオケの錬磨による表情的なドラマに加え、前半の《火の鳥》の陶酔感も実に見事だった。《ロンド》《子守唄》はゆったりした佇まいで旋律を香ばしく歌わせており白眉。《カスチェイ》《終曲》での煌びやかなオケの狂騒に息つく暇もない。
 大規模な編成での音絵巻は勿論、小編成の《牧神》における室内楽的で静的なアンサンブルの妙もまたデュトワの特色。ここでは透明で淡いまさに水のようなオケのサウンドに酔いしれた。
さておき87歳のデュトワはまさに矍鑠たる様子で肩の力の抜けた指揮姿が実に凛々しかった。

追記

2030年(幻想交響曲作曲200周年)に94歳のデュトワがまた幻想を振っている様子が目に浮かぶくらいには今日のデュトワは若い。しかし、無駄のない指揮フォームやオケが少しとちった時の指示を見ていると流石はオケの魔術師と思わされます。ご自身の人生経験もあるだろうけど、《幻想》はやはり似合う!

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