第6章(2)遊牧農民ワリヤさんの挑戦
しばらく平原を走ると、遠くに森? 林? 確かに木が並んでいるのが見えてきた。
近づくと、いかにも植樹されたように見える一列に並んだ並木が砂漠の中に忽然と姿を現した。その樹木の間に、おっ、畑らしき緑のジュータンが見えるではないか? 人影もちらほら。
「シェンバイノウ(こんにちは)」
そこにいたのが、探していた遊牧農民ワリヤさんファミリーだった。
握手したワリヤさんの手は、確かに農民の手だった。
一家はワリヤさんを筆頭に、奥さん、娘さん、娘さんの旦那のソガロさん、そして孫たちの大家族。
ちょうど作物の収穫をしていたので、ワリヤさんにいろいろ話を聞いた。
代々、生まれてからもずっと遊牧していたコト。
近年、砂漠化が進んで遊牧が難しくなってきたコト。家畜の数も減ったコト。
中国から、安価だけど危険な野菜がモンゴルに入ってきているコト。
六十歳になり一念発起して、水源から手掘りで水のパイプラインを敷き、砂漠化を食い止めるために植樹を始めたコト。そこで家畜の糞を堆肥に畑を始めたコト・・・・・・を聞いた。
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