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第6章(5)「オーガニック」とは生き方だ

 オーガニックという言葉はだいぶ一般的になったが、世界中探してもこれがオーガニックだという統一された定義はない。

別に統一する必要もないだろう。

 もちろん第一の意味は、自然の営みにさからわないこと。

有機肥料を与えるという時点で、すでに人間的なケミカルが加わったことになる。

肥料は植物が吸うのではない。土の中の微生物にエサを与えるということであり、つまりケミカルということになる。

うまく循環している大地には一定数の微生物が存在し、窒素が供給されているので、肥料はいらない。酸素と水と光合成、さらに月の引力があればいい。

要するに、自然のままの土地であれば、肥料なんか撒かなくても植物はちゃんと育つということ。それが、オーガニックなのだ。

昔の百姓は、宇宙を感じていたんだよね。

人間も同じだ。オーガニックマーケットに参加するのは、自然にさからわず、有機的な営みにかかわっている人たち。農産物に限らず、大量生産されないものを作り、育てている当事者であることを大切にしている。

俺にとってのオーガニックとは、そうした個人の特性が生かされるということだ。

これからの生き方で一番大切なのは、ひとり一人が自立するコト。雇ったり雇われたり、給料を払ったり払われたりはもうやめないか。

都会から脱出し、農業にたずさわることは、まさに責任を負う当事者となり、個人として自立することなのだ。

 持続可能な社会というが、資本主義における「持続」は非常に危険だ。みなが、マーケットを拡大するために競争している。何かを排除してしのぎあいになっている。

誰かを蹴落としてのし上がっていくとか、もううんざりだ。

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