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加藤和彦・小山龍介『プラットフォームの構想力  仕組みを作り、動かすための設計思想』

小山龍介(以下「小山」) 今回は『プラットフォームの構想力 仕組みを作り、動かすための設計思想』と題しまして名古屋商科大学の加藤和彦先生をお迎えして、プラットフォームについて議論していきたいと思っています。

普段、いろんなところでプラットフォームというものに接する場面があります。それがどんなふうに作られていったのか。プラットフォームを作っていくにあたっては、事業構想ネットワークでテーマにしている「構想力」が重要になってるんじゃないかというころから、今回このテーマを選びました。

早速ですけれどもお呼びしたいと思います。加藤先生、よろしくお願いします。

加藤和彦(以下「加藤」) よろしくお願いします。

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小山 私と加藤先生とやりとりをしながら、プラットフォームについて理解を深めていきたいと思っています。

早速、素人的な質問で恐縮なんですけれども、プラットフォームという言葉をいろいろな場面で耳にするんですけれども、具体的にどういうものなのか、そこからスタートしてもよろしいでしょうか。

プラットフォームとはなにか

加藤 プラットフォームという言葉って、便利に使われてると思うんです。例えば、先日もこの近くで選挙があったんですけども、選挙演説の人が「県内すみずみの人にサービスを届けるために、住民サービスのプラットフォームを築きたいと思います」というふうに演説されてるわけです。

かと思うと、駅に行けばプラットフォームが何本も走ってますしね。非常に使いやすい言葉なんだと思うんですよね。

小山 専門用語ですけども、車体の規格もプラットフォームと呼ばれて、共通のプラットフォームを採用して、なんて言い方もしますよね。

加藤 そうですね。製品プラットフォームと呼んでるようなものだと思うんですけど、ひとつの型を作ってそれを発展させることによって、ゼロから作らなくてもいいというものです。いわゆるコスト削減の意味もあると思うんですけども、そういった意味で使うプラットフォームという言葉もありますね。

最近騒がれているのが、GAFAに象徴されるITジャイアントが提供するプラットフォーム。あとシェアリングエコノミーなんかで、例えばUberとか Airbnb みたいに既存の遊休資産を生かすプラットフォームです。

いろいろな場面で、プラットフォームという言葉が使われて、ちょっと丸め込むには使いやすい言葉みたいな部分があるんですよね。

小山 選挙なんかでもちょっと丸め込むというね。今日ちょっと議論しようとしているプラットフォームは、GAFAを想像すればよろしいですかね。

加藤 そうですね。ビジネス上の(産業)プラットフォームと考えていただくのが、わかりやすいと思います。

もともとプラットフォームっていう言葉が今のように流行る前から、こういう仕事はあったんですよね。要するに仲介事業です。例えば不動産仲介業とか、仲介ってつくビジネスっていうのは、もともとプラットホームなんですね。

昔からあったんだけれども、インターネットが普及することによって、プラットフォームを費用をかけず急速に広げることができるので、改めて注目されています。

小山 地域の不動産屋さんとか、限られたエリアを専門に扱う不動産屋さんが多い中で、例えば、HOME’Sとか、新しいインターネット上のプラットフォームだと、広くいろんなエリアの方ものが全部見つかるようになりました。その昔ながらの不動産仲介業と今のネットの仲介業とやっぱり……。

加藤 かなり違いがあります。ネットとかITの力を借りなければ、プラットフォームがここまで大きくならなかったんです。なので、ネットの発展とプラットフォームビジネスの拡大は非常に関連しています。

インターネットを使ってみればわかりますけども、世界中で、例えば日本の裏側のブラジルでも、何かコンテンツをアップしてもらえれば、それを見ることができます。世界中のいろんな物件とか案件が、手元で見れるようになるんです。

地域を超えたものにできるところが、このビジネスの醍醐味というか、恐ろしいところでもあるんでしょうけど、非常に便利なところです。

小山 今聞いててちょっと思い出したのが、商人と商業の違いです。昔の商人のビジネスでは、ものを仲介、転売して利ざやで稼ぐとき、物理的な制約がありました。商人ビジネスはエリアが限られている、自分のテリトリーがある。近江商人は出かけていくけれど、せいぜいそれぐらいです。

それが商業となって、国家間を超える物流システムになると、途端にスケールが大きくなる。商人を縛っていた物理的制約から、仲介ビジネスを解き放ったんです。

需要側のスケールメリットを目指す

加藤 地理的や物理的な制約を取っ払って規模が大きくなるスケールメリットっていうところが、現在のプラットフォームの特徴なんでしょうね。日本語で訳せば、「規模の経済」ということになります。

今まで、例えば製造業なり、物を作って売るとかっていうときには、大量生産大量販売によってコストを下げていました。これは作る側、供給する側ですよね。供給する側のスケールメリットっていうのが、差別化の源泉でした。規模が大きい方が有利で、より低価格でよい品質のものを作るということが、市場をある意味支配したわけですよ。

一方、このプラットフォームっていうのは実は、顧客との接点を中心にして、需要側、製品を求める側のスケールメリット、規模の経済が働くってことなんですよ。

なので、作る方のスケールメリットは同じなんだけれども、顧客サイドの方、買ってくれる方のサイドがスケールメリットがあって、いわゆる「ネットワーク効果」と呼ばれる、ユーザーが増えれば増えるほど利便性が増すっていう状態が生まれてきて、これによってプラットフォームの大きさが測られてしまう。ユーザーの数によって決められてしまうんです。

こいうことが起きてくると、プラットフォームのユーザーの数だけで差別化ができてしまうっていうことが起きてくるのが、このビジネスの良いところでもあり悪いとこでもあるんです。

GAFAになれなかった日本企業

加藤 GAFAですけれど残念なのは、そのGAFAのどれ一つにとっても、日本発のものは入ってないわけですよ。

そうなると、日本、または中部地区が強いとしている製造業が今、いわゆる GAFA みたいなIT を非常に得意とするような会社とパートナーを組むという状況になってきているんですよね。組まなくて自分たち製造業界だけでやっていくことが、成り立たなくなってきているわけです。

製品(ハードウェア)を利用する、ちゃんとした価値に落とすためには、その上位の階層でサービスに変えるようなアプリケーションだったりソフトウェアだったりが必要になります。そのとき、GAFAと組むほうが、ユーザーにとって好ましいかたちのものが提供できるものだから、そちらと組まざるをえない状態になってきています。

小山 日本企業って自分たちが持っているリソースをコアコンピタンスにして勝ち抜いていこうと思っているところがありますよね。

GAFA も自分たちのリソース、技術を持ってますが、基本的には、需要側のスケールメリットで勝っているから、一見すると何のコアコンピタンスもない。ただ早くユーザーをつかまえただけで、大したことないんで思いがちなんですよね。

ところが、よくよく見たら、めちゃくちゃ大したことあった。ここに誤算があったんですよね。

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GAFAを生み出したアメリカの国家戦略

加藤 国の生い立ちとも言えるのですけども、製造業がアメリカなんかで日本よりもずっと前に、自動車を中心として大変な目にあってるわけですよ。

作っても品質のいいものができないし、アメリカ人ですら日本車を買うようになって、彼らはある意味、製造業を諦めたと思うんですよね。そこで、シリコンバレーというところに新しい産業の礎を作って、そこでは徹底的に IT をやりましょうということで、そこで ITを育てていった。

育てていくっていっても、なんてことはない、既存のアメリカの人たちが育てているのではなくて、H-1Bビザによって世界中から集められた技術者がそこでやっているんです。

だからよく、「アメリカの」シリコンバレーっていうけど、アメリカはそれを凝縮する力を持っていただけで、技術者を世界中から集めているんですよ。彼らの力で育てて、一大産業をつくってしまったわけです。

今はもうそこからさらに先に進んで、例えばGAFAのなかの3社はシリコンバレーをベースにしているんですけども、イノベーションを生む、起業を創発するシステムをうまく使って、データをベースにいろいろなことをやり始めているんです。

日本においては、その製造業が駄目な状態にはならなくて、それなりにうまく続いてきた。それがゆえに、データとかシステムとかということに特段注意を払うような機会がなかったものだから、その点ですっかりシリコンバレーの IT ジャイアントに先を越されました。

今からだともうキャッチアップするのは、難しい。どうやって彼らと手を結ぶか、どうやって手を結べば、自分たちがいわゆる下請けモデルと言われているような状況に陥らずにビジネスを進めていけるかということが、課題になってきています。

アメリカのダイナミックな構想

小山 ちょっと話はそれてしまうんですけれども、アメリカって国策で産業を立ち上げていくときのダイナミックさはすごくて、私が専門にしている芸術、アートの世界でも20世紀、抽象絵画の登場によって、アメリカはアートの中心地なったんですけれども、実はあのブームを支えていたのが、アメリカ政府、CIA なんですよ。

ソビエトの書記長が抽象絵画はクズだ、具象でいくんだ、リアリズムだ、と言ったのを時代遅れだと見せるために、実は CIA が仕組んで、抽象絵画の価格をつりあげているんですよ。

日本が日が出ずる国みたいなこと言われていてたときに、日本へのものづくりの遅れをどうやって回復するか、そのためには起業が起こりやすい環境を作らなくてはならない。1980年代にそういった計画がドキュメントに残っているんですよね。

そのあたりのダイナミックさが、アメリカはすごいですよね。構想力っていうところにむすびつけていくと、確かに Facebook はマーク・ザッカーバーグが大学生のときに作りましたが、あの逸話の中で、学生の思いつきであったように見えているけれども、実は大きな流れとしては、かなり国としての構想が働いているとみて間違いないと思うんですよ。

Windows などの OS が寡占状態になったところがラーニングのポイントだったと思うんですけども、そういうふうにやっぱり、構想があったんだと思います。

加藤 そうですね、あの Facebook なんかだと、最初ナスダック上場するときに、特に日本の人たちが口にしたのは、そんな人をつなげただけのものに、何の価値があるんですかって、高値で取引される意味がわからないというようなことを言われていたわけですよ。

それで、その人と人とをつなぐということが、どれだけの価値をもたらすかっていうことが、日本人に理解できてきたのは実は最近だと思っています。つなげるいう発想の構想の点においては、アメリカが何年もというか何十年も、先を行っているっていう印象があります。

私自身、日本人としてそういったものに触れながら、でも半信半疑で、つなげるぐらいで何の価値があるんだろうなっていうふうに思っていました。

結局、GAFAが目指すところが、人と人をつなげるでも物を売るでも、人々のアクセス履歴や売った先の多くの顧客のデータを集めて、その傾向を見て次に生かすというフィードバックを繰り返すことによって、さらに精度を上げていくってことにGAFA が集中してきています。

GAFAにはそれぞれ提供する製品やサービスがあり、入口はいろいろ違うんだけれども、そのポイントとしては、結局その顧客がいろいろものを迷いながら悩んで、ウェブで調べたりして最終的にお客で買う。そして、買った後もこういうふうに使うとか、その一連の流れを徹底的にデータとして集めて、どういう顧客にはどういうものを売ったらいいかというのを分析して、もう逃げられないぐらい、プロアクティブに潜在需要に訴求している。

それを一番よく感じるのが、アメリカじゃないんだけれども、tiktok。それとかNetflixのリコメンド(おすすめ)システムなどです。検索レス(検索不要)な世界がやって来てて、その人の嗜好に合わせて、その人が気づかない潜在ニーズみたいなものまで、提供するみたいなふうになってくると顧客としては逃げられないわけですよ。しっかりロックインにされた状態になってきています。

そのあたりの発想の構想力っていうのは、他社よりも優れた技術で高品質なものを作ることをよしとするみたいな日本の状況とは、かなり違うレベルでの構想力があったというふうに考えるべきだと思いますよね。

プラットフォームを育てていくステップ

小山 日本はやっぱりキャッチアップできないもんですかね。

加藤 そうですね。これはね、ビジネスモデル的にどうかっていうことも、考えていかかなきゃいけないんでしょうね。今日のためにというわけじゃないんですけれどもスライドを用意してますので、シェアしますね。

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時計が真ん中に置いてあって、4象限に分けています。始発点は12時のところにあるプラットフォーム。売り手と回答を結びつける仲介業から始まったというところを始発点にしています。

2時のところにトランザクション・プラットフォームというのとイノベーション・プラットフォームというものがあります。その両方を持ち合わせているものをハイブリッドと呼んでいます。なんとGAFAは全部、このハイブリッドに入っています。

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この2時のところの図にあるプラットフォームの定義を学術理論として提唱されているマイケル・クスマノ教授は、プラットフォームを育てていくには、次のようなステップが必要だということを言っています。

ひとつはユーザー・サイドを決めなさい(設定しなさい)ということです。

その次は、ちょうどこの3時のところにところに書いてあるチキン・エッグ問題。鶏が先か卵が先か。仕組みは作ったけども機能しないっていうことが、プラットフォーム提供者としては悲しいことだから、それが起きないように、その仕組みを作ったらちゃんとそれで動くようにしなさい、というようなことを言っています。

その次が、小山先生も専門のビジネスモデルということになります。ビジネスモデルと言ったときに、収益のモデルのことが取り沙汰されたりするんだけれども、小山先生が授業でもやられているキャンバスみたいなものも含めて、どういうふうにその顧客との接点を持って、価値を提供しながらビジネスを進めていくかという一連の流れを定義します。

その中で、プラットフォームの参加や運用のルールをしっかり決めてあげないと、誰でもが参加できるようにするとプラットフォームって荒れてしまうのですよね。荒らしみたいな人がいてですね、荒らしちゃうんですよね。

なので、そうならないようなルールを作って、最終的には、5時ぐらいのとこに書いてあります。エコシステム、補完製品を含めた、その産業に携わる人たちが食べていけるようになるというか、みなさんがWin な状態になることを目指して産業生態系を作っていくかたちを、クスマノ教授がプラットフォームの構想の段階としてのステップを提示されているわけです。

次に、6時からのところですねシェアリングエコノミーとか、最近、車業界のCASEのこととかスマートシティ、都市OSのようなことが発展型として出てくるんですけども、その12時から6時までの部分を引き継いで、実際今、世の中で起こっていることが現象として出てきます。いわゆる流行り言葉でいうとデジタル・トランスフォーメーション(DX)ですね。

次に9時から12時、これで一通り時計がぐるっとめぐります。今後の拡張性としてはIoT、すべてのものがインターネットプロトコルを持つような形になると、プラットフォームとしてますます巨大化していって、そこにAI、人工知能のほかシリコンバレーの得意分野が加わり、GAFAの存在が避けて通れないようになってきます。

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小山 これは発展の図っていうふうに捉えてもいいんですか

加藤 もちろん発展の図として考えていただいてもいいんですけども、どこから入ってもどこかに結び付けられるっていうために作った図です。

つまりAI に入っても、ビジネスモデルとかエコシステムにつながっていくし、エコシステムからプラットフォームの定義のところにもつながるし、というふうにですね、全体をこのひとつの図に表しています。

どこがスタートで、どこがゴールかということはなくて、プラットフォームとして繁栄しているものが出てくると、それがずっと続くわけではなくて、影の部分ってのが必ず存在して、すべてバランスでもって成立します。ちょうど真ん中に出てるようなYin & Yangのような形でバランスをとりながら進んでいるということを表現したくて、この図を作ってみたんです。

小山 プラットフォームというテーマを掲げましたけど、ものすごく多面的でとても1時間では語り尽くせないですね。

加藤 これを1時間で話すとなると、新幹線の窓から通り過ぎる駅を見ていく感じになるかもしれないですね。一瞬、シャーッと通ったっていうふうに。それぞれが内容が奥深いです。

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個人情報をめぐるふたつの構想

小山 切り口をどこにするかによって展開は全然、変わってきますね。

ひとつ、私が個人的に気になってるところで、もしかしたら構想とつながってくると思っているのが、個人情報をめぐるものです。 iPhone の iOS の最新版だと、個人情報をFacebookやGoogleとかAmazon に握られないように、アプリにトラッキングさせるかさせないか選べるようになりました。

個人情報渡さなくてもよくなって、安心する。なぜ個人情報渡してはいけないというふうに感じるかというと、まさに加藤先生がおっしゃったTikTokで、なぜか自分が見たいと思うような動画を次々に見せてくれる。これが気持ち悪いって思うってなってくるわけですよね。

哲学的な問いの立て方だと、自由意志があるのかっていう議論になるんですよ。我々は外からの反応を反射してやってるだけで、例えば有名な脳科学の実験であるんですけども、水を飲もうと自分が決断したよりも0.何秒か前に、脳は水を飲むって指令を出してるんですね。それで、指令を出した時よりもタイミングが遅れて自分は水を飲みたいと思い、腕を動かそうと決断していてそこには時差があって、しかも因果関係が逆なんです。

無意識のうちに水を飲みたいと思って手を動かし、手が動いているのを見て、あ、今自分は水を飲もうと決断したと、あとづけで意思があるように振る舞っていた のが人間だってことがわかってきたわけです。

例えばアマゾンで買い物するときって、実はクリックする前にもう頭が買うことを決めているんですね。それで、あとづけで今、買おうと意思決定したと思っているんですよ。この無意識、自由意志のなさをうまく利用するために必要なのが、個人情報なんですね。

だから、究極の個人情報の活用法は、本人には意思決定したつもりに思わせておいて実は全部、システム側でコントロールされているという世界がありうるっていうことが脳科学の実験でわかってくるなかで、それをどこで阻止するかっていうと
Appleみたいな方法しかないですね。こちらの情報を渡さないっていうことになる。

今日、その意味で加藤先生に伺いたいのは、Appleの構想が勝つのか、それとも Facebook やGoogle、 アマゾンが言っているように個人情報をもらった方が便利な世界くるんですよ、こっちの構想が勝つのか。

どちらだと思いますか。

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力の源泉となるデータをどう扱うか

加藤 なるほど、なるほど。プラットフォーム提供者、GAFA は典型的なプレイヤーですけども、ここまで大きくなってきたのは、紛れもなくそのデータをうまく活用しているからに他ならないわけですよね。

逆に言うと、プラットフォームのビジネスの成否を決める要ところって結局、データなんですよ。

なので、そのデータ自体の使い方、使い勝手を制限されてしまうと、プラットフォーム提供者自体がそのビジネスをやりにくくなってしまう。一番のその根本のところのビジネスがやりにくくなってしまう状態が起きるのは明らかなんですよね。

データや情報の部分ではいろいろな問題が起こっていますね。例えばFacebook の情報漏えいの問題ですとか、Amazonなんかでも不当競争の自分のところが作っている製品と類似なものは、Amazonのweb に出てこないにするとかですね、マーケットに出さないようにするとかですね、嫌がらせみたいなこともしたりとかです。

データは、プラットフォーム提供者の力の源泉の部分なので、その部分を、Apple がその自ら自粛と言うか自制みたいにしたということは、多分やむにやまれずやったんだといういうふうに思います。

というのは、このまま放っておくと全部独占、データを取り放題データを使い放題という状態が続けば、GAFA がどんどん大きくなっていってしまうからです。進み続けると最終的には独占禁止法に触れて解体させられるとか、そういったところまで行くということを見据えて、今自分でその予防線を張るみたいなことをやっているような気がしています。

彼らは、いわゆるハードウェアとかを作ってるところとか、あと不採算部門みたいな事業をあえて作ってコングロマリット化してます。昔の多くの企業のコングロマリット化はシナジー効果を出したり資源の分配よくしたり、人の効率よくするとかリアルな世界でのメリットを追求することが目的でした。

しかしGAFA たちのコングロマリット化の目的はデータの収集一点に絞られていて、これは赤字でもいいから、とにかくデータを集める、その顧客の購買に至るカスタマージャーニーにおけるデータを、全部押さえてしまう。

そうすると、さっきのTikTokみたいに、「これ俺が欲しがってて、今度給料入った買おうと思っていたのがリコメンドに出てる」みたいなことが平気で起きてくる。それなりに居心地いいやっていうと変ですけれども、こちらが探しに行く前にむこうから提供してくれるわけです。基本的に脳は怠けたがっていると思いますから、考えなくても与えられるものが来れば、渡りに船とばかりに乗っちゃったりするわけですよね。

なのでこの傾向がどんどんエスカレートしていって、本当にそのGAFA がその市場のデータの部分やユーザーの使い勝手の部分をシステムで押さえてしまって、あとのハードメーカーや関連するところは全部下請けモデルみたいな、日本の製造業全体を日本ブランチ(単なる日本支社)にしてしまうってことを考えると、それを止める動きがアメリカ国内でも州単位で裁判とか起きていて、まあ自制せざるをえないような状態にこのGAFAがなってきているんじゃないかと思います。

ものづくりに再び脚光があたるのか

小山 なぜ、Appleのことをいったかと言うと、Appleによる個人情報取得の制限は、加藤先生のいうようにやむにやまれずということもあると思うんですけれども、そこにはものづくりも行うメーカーとしての戦略があると思うです。

やっぱり Apple はメーカーなんですよね、このGAFAの中では。唯一メーカーとしてものづくりを基盤としているということにいうと日本企業と立ち位置が似ていると思うんですよね。

もしApple の構想が有効であれば、まだ日本のモノづくりの会社に勝機がありそうだって思っているんです。そういうことで考えていくと、このAppleが勝つか勝たないか、この制限にユーザが乗るのか乗らないのかは非常に重要だと思っています。

調査ではトラッキングを許可しない人の割合が7割ぐらいいたそうです。個人情報を自分でコントロールする世界が来たときに、日本企業のものづくりが再び脚光を浴びることがあるんじゃないかっていうことも思ったりもするんですけど、ちょっとこれは見込みが甘すぎますかね

加藤 いや、大丈夫じゃないですか。大丈夫という言い方は変ですけれども、データを渡す渡さないってことに関して言うならば、データが発生しているところがどこかってことを考えればハードウェアなんです。今後、IoT がどんどん普及していってセンサー等が出てきて、カメラも多く出てきます。そして実際にそのデータが取れるところが、ハードウェアを主体としてるところで取れるのであればそれをわざわざ、いわゆる IT ジャイアントに渡すっていうことをしないで、自分たちでそれを囲い込むようなことをすればいいわけですよ。

今 GAFA が強くなれている理由は、扱いやすいデータだけを扱ってるからですよね。扱いやすいデータっていうのは、顧客が全部インプットしてくれたものがデジタルで並んでれば、それを使いやすいから使ってるだけのことであって、今後爆発的にIoTでやり取りされるデータが増えて、そちらの方の割合が大きくなれば、そちらの方が主流を占めてきてその部分をどうするかがポイントになってきます。

そこはいわゆるGAFA モデル、Appleはスマートフォンでは鴻海からハードウェアのOEM提供を受けてますけども、おいしいところ、上澄み液っていうんですかね、ミルクを遠心分離機にかけて上の方に分離された美味しいところだけを吸い取るようなビジネスモデルをとっています。今後、それが自動車まで広がっていくとしても、決して細かいハードウェアの、例えば車でいったらタイヤを作るとか、車体を作るとかっていうところまでは、GAFAは基本的には降りてこない。降りてこれないというべきかもしれませんけれども。

上澄みのところだけで先行しているかたちなので、今後そこと製造業が手を組んでいくときに、彼らの思惑というのももう透けて見えているわけですから、その思惑に乗らないようなかたちを取ればいいというふうには思います。

ただですね、口で言うほど簡単ではないんとも思います。たぶん。なぜかというと、製造業ももう日本だけの話ではないですよね。いわゆる途上国とか、例えばインドとかね、ハードウェアの性能や品質があまりよくないところが、GAFAみたいなところと組んで、より価値のあるものを提供してきてたときに、最初は日本の製造業にとっては競合相手にならないようなちゃちなものかもしれません。けれどもだんだん性能や品質が高まってきて、やがて日本が今いるようなポジションまで登ってきたときに、以前、液晶テレビで起きたことが起きるわけですよ。

どこかのクローズドな場所に建てた工場で、技術を集結して開発した高額なハイエンド液晶画面なんかよりも、汎用部品だけで組み立てられコモディティ化してですね、値段はガンガンガン落ちて、ちょっと赤の色が落ちるとか精度が悪くて構わない、それでも顧客はどんどん使いたがるという、いわゆるイノベーションのジレンマみたいことが起きてくる。

最高にいいものをつくったんだけれども、そこまでのものをお客は求めてない。もっと低いレベルのものでも十分(good enough)だよっていうことが起きてくると、また競争原理が難しくなってくるんで、今言ったような形で、すんなりいかないかもしれないですけど。みすみすGAFAに全部やれてしまうってことに、ならないようにしなければいけないかなというふうには思います。

Appleの構想が勝利する世界

小山 Appleが勝利する世界っていうのがどういう世界かっていうと、現状はApple以外のGoogle、Facebook、Amazonが、個人情報を牛耳って持っているわけですよね。

欧州では動きが出ているように個人情報を個人がコントロールできて、そこで使っていいかどうかの許諾を個人がやる世界にAppleとしては持っていきたいわけですよね。

そうすると主導権がハードに戻ってくる。Apple 的な世界観の中で安心安全なところに戻ってくる。そのときに公共のプラットフォームに個人情報が載っていて、
それを Google や Facebook 、Amazonが許可をもらって、取りに行く世界になってくると思うんです。

その公共的なプラットフォームっていうのを、Appleが多分作ろうとしてるんですよね。

加藤 なるほど。

小山 今回ですね、実はこの前、面白いカンファレンス(WWDC2021)があったんですけれども、興味深いのが、Apple が新しい技術として、どのウェブサイトを見に行ったかというのがインターネット上に残らない「プライベートリレー」という仕組みを発表したんです。

どういうことかというと、例えば google.com というサイトに行きたいっていうとgoogle.com の IP アドレスをDNS に聞きに行くんですよ。それで聞きに行ったに瞬間にこいつ、 google.com に行こうとしているなって、バレちゃうんですよね。

かつその後ですね google . com の IP がわかって情報を取りに行ったら、 google にも残るんです。こいつこういうキーワードで検索でかけてきたなということが今のインターネットって IP に紐付いていろんな情報がだだ漏れしている状態です。

Appleはそこに今回メスを入れてAppleのサーバーともう一つサーバを介すことによって、完全匿名で情報を取れるようにしたんです。

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僕がまず思ったのは中国のグレートウォールみたいなものから解放される。あれも何検索したかってことがバレちゃうわけですけれどもそういうことからAppleは個人を自由にしようとしてるし、そういうふうに個人情報の残らない匿名のアクセスっていうことを実現することによって、Google、Facebook、Amazonが今やってるような追跡をさせないようにしている。

ここはガチンコの主戦場になっていて、僕はその主戦場がまだ多くの人に見えてないんだけども、けっこう重要なイシューで、僕は日本企業として Apple が勝利したときのシナリオを用意しておく必要があると思っているんです。

完全匿名に安心安全って日本は得意分野だから、Appleと同じような設計思想で個人情報がGoogle、Facebook、Amazonに行きませんよ、っていうモノづくりをしたら、意外とアンチプラットフォーム・プラットフォームで、いけるんじゃないかと思ってるんです。

加藤 なるほど。以前、トヨタのプリウスがエコだからということで好まれたように、どこかに情報を取られないということでユーザーが選択するというところを、Appleなりなんなりがその受け皿となって顧客を集めていくというシナリオですよね。

小山 そうですね。Googleの車なんか乗ったら、全部行き先とか記録されるんですよ、これはきつくないですか。もちろん便利なことありますよ、過去に1年前に来ましたねっていって、それって便利なことよりもやっぱり怖いこともすごく多いわけですよね。全部把握されている。

そういうことを一切やらない車っていうことで安心を届けるみたいな世界に、データがこれだけ価値を生み出す世界になったがゆえ生まれてくる。

これってなんかで変な話ですよね 。日本企業がデータ活用が下手だったんで一周遅れみたいになったんだけれども、一週遅れてみたら、あれかえってデータ悪用しない最先端にいたって。

加藤 なるほど。結果オーライみたいな。

小山 そういう逆転劇の中で、日本のデータを取らないものづくりみたいなものがいけるのかなっていう。

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日本企業の勝ち筋

加藤 なるほど。その日本の製造業が、先行している IT ジャイアントに対抗しながら、そういったデータををきちんと扱えるようなことができるかどうかっていうのも大きな課題なんですよね。

ユーザーから見てみると、少なくともデータのこと意識しないのであれば、例えば車にしても何にしても、Android でもってスマホと連携していろんなサービスを受けられるほうが便利なんですよ。

自動車会社が一からつくって、ユーザーインターフェイスの悪いものを提供されてもですね、ユーザーは求めてないんですよねって話になって、企業のエゴでしょって話になるのですよね。

そこのところが難しい問題で、ユーザーがそういうUX/UIの部分ではなくて、データを勝手に吸い取られてしまうところを懸念してあえてそれを使わないっていう知恵を、蓄えてくれるかどうかというのが課題になりますよね。

小山 だから自由意志を手放してしまった方が楽だっていう世界が来るのか、いやそこは意思を持ってやるのかみたいな。こういう世界観の違いみたいなところが
からんでくるのかなと思っています。

加藤 とはいえ、Facebook がデータを取らせてくれないんだったら加入やめてくださいって言われちゃうと困っちゃうんですよ。ゼミ全部 Facebook でやってますから、結局トレードオフなんですよね。

データ渡してもその分の価値を提供されていれば、まあそれはいいかというかたちで今使ってるわけですよ。最初にサインアップするときに細かい要件なんか読まないんですけど、あれにあなたから得たデータを利用することもありますということも書いてあるんだろうけども、あまり気にしないで契約しちゃって実は利用されている。

データ渡すから安く買えるとか、データを出すから使えるっていう形のことが今、しょうがないかたちで行われているんだけども、データを渡してくれなかったら、もうサービス提供しませんっていうようなことを言われたときに、それをポチッとやめて他に代替するものがあれば、そっちに行きたいというふうには思いますよね。

小山 そうなんですよね。その代替するサービスを 日本のメーカーが作れるかというと、残念ながら作れないんですけど。ユーザーインターフェースも酷いし。

でももし仮にですよ、ユーザーインターフェイスとかがすごく優れていて安心だっていうものをもし仮に日本が作れたなら、まだ勝機あるんですけど、残念ながらグローバルなユーザインターフェースの設計能力っていうのはちょっと低いので。

加藤 そうですね。日本語ですからね。市場を相手にするときに共通言語で勝負してるかどうかっていうところも、大きく関係してくると思います。

日本の市場規模は知れていますからね。中国だって中国語だけの市場だけとっていたら知れてるわけで、英語圏を対象にしているプラットフォームが強くなるのはいろんな部分で整合性があるということですね。我々はそういった意味では第一言語が英語ではないということで、グローバルな市場での戦いにおいては、いろいろなことにおいてハンディを負っている部分というのは否めないと思いますね。

構想を生み出すための思考法

小山 ですよね。同じステージに立てていないというのは、ちょっと残念なところであるんですけど。

それで、ちょっとまた少し話をちょっと変えてみたいと思っています。たぶん最後の話題になるんですけれど、今日のテーマである構想力に紐付けていきたいと思います。

私がAppleを出したのも、Appleが実現したいセキュリティの世界って、確固たるものがあると思うんです。

単純に今回 iOS でトラッキングさせるかどうかのメニューを出してみましたという思いつきじゃないんですよ、彼らがやろうとしているのは。インターネットも匿名でサイトを見に行ける仕組みをWWDC2021で出してきたというところからも、本気度がうかがえます。Apple 絡みでいろんな開発しているディベロッパーの人には、Appleの本気度合いや構想が伝わってるように思います。

こういうその構想力みたいなものが、Appleの 戦略をドライブさせているものとしてあったりするんなあと思うんです。そういう構想を生み出すための思考法って、どういうものなのかなっていうふうに、つくづく思うんですね。

日本ってお客さまの言うことを聞くんですけども、近視眼的なニーズ対応に、どうしても収まっちゃって、お客さんが使いづらいっていうと、これでいいと思っていても、すぐ引っ込めちゃったりしますよね。それで、多機能になってどんどんボタンが増える。

ああいうポリシーのなさはプラットフォームを作るに当たっては、やはりすごいネガティブな気がするんですよね。どうやってそこを突破できるのかなっていうところを最後に伺えたらと思います。

加藤 日本企業がグローバルなプラットフォーム提供者になるためには、どうすればいいかということと非常に近い質問のような気もします。

小山 そうですね、はい。

加藤 構想力という観点であれば、日本人の構想力がそんなに他と劣ってるとは思ってないんですよ。ただ私はシリコンバレー外資系って言われるITの会社に勤めていたので、そこで日頃感じていたことがあります。それは思考する自由度が日本企業とシリコンバレーの企業とはちょっと違うということです。

よい思いつきをする人は、米国に限らずどの世界にも、日本の企業の中にも、例えば居酒屋で話したりタバコ部屋で話したりするときとかに気付かされたのですが、結構いるにはいるんですけど、それを日本の場合は、組織の中で温めたり、そういう人材を引き続き雇うのが難しいということです。

シリコンバレーの企業の例では、そういう人ってちょっと変わっていたり、既存の会社のルールには従えなかったりとか、午後から会社に来てマイペースだったりするわけです。そういった人たちを日本の企業のルールの中に入れてしまうと、あいつは怠け者だとか、適応できないやつとかっていうようなかたちで、組織にいられなくなってしまうんですよね。

私がシリコンバレーの企業で感じたのは、そこまでひどくないかもしれないんだけど、組織の中にいわゆる遊び、車のハンドルでいう「遊び」みたいな部分があって、組織になじめないけれども、ここ一発のすごい閃き(ひらめき)をするような奴が10人20人ぐらい、フェローっていうような肩書で、ちゃんと朝9時に来て5時に帰る勤務体系ではない人が一定数いるわけです。

日本の組織だとその人たちはなじまず、ちゃんとやっている人たちの迷惑になるし目障りだから排除しちゃうんですけど、そういうのを受け入れる土壌がシリコンバレーの企業にはあるんですよね。

構想力に直接結びつくかどうかはわからないんだけど、いいアイデアを持っていても、それに資金をつけて事業化し、儲かったお金で再投資のサイクルを回していくっていうことが組織としてできない。いいアイデアをきちんと組織の中で捉えて育てていくっていう土壌が、日本企業の場合は少ないのではないかと思います。

だから構想力そのものというよりは、その構想を持った人に任せて事業化させるだけの度量、サポート力、組織力というものが、あまり足りていないと思います。

これは別に何か厳密な研究をして、そういうふうに思ったわけではなく肌感覚みたいなところから言っているだけなので、かなりふわっとした話なんですけど。

リーダーの器が問われている

小山 そうなんですよね。私も日本企業の組織にいたときにすごく思ったのは、すごく保守的なところもあればすぐ流行りに乗っかるところもあるんですが、いずれにしても、主体性がなくて、場当たり的なところがやっぱり多いと思うんですよね。

自分と違う意見や世の中と違う意見みたいなものが出てきたときに、それを受け入れるには勇気がいるじゃないですか。異なる意見をもつ人を許すには、リーダーの器みたいなものが必要じゃないですか。昔はそういう器がリーダーの必須条件みたいに言われてた時代もあったと思うんですよ。

それこそ西郷隆盛とか、昼行灯と言われてですね、なんかでも部下に任せて権限委譲してみたり、そういうリーダー像が日本の中でちょっと迷走しているなっていう気がして、今確固たるリーダー像であんまりないんですよ。

どうですかね、孫さんとかユニクロ柳井さんとか、自分で決めてパッとやっていくみたいなリーダーはいるのかもしれないですけど、器の大きさみたいなことを言う経営者っていなくなっちゃったなぁと思ってるんですよね。そのあたりが大きな構想が生まれにくい部分なのかなという、そんな感じもしました。

事業構想ネットワークでは、そうした構想力を持った人材を育てていこうという
ちょっと壮大な構想がありまして、今やっているところです。

加藤 これは大事ですよね。今回聞いてもらってる人たちは OB とかOG だったりするわけすが、それに限らずね、学位取得をひとつのステップにしてより羽ばたいていただきたい、ぜひ構想力を鍛えていただきたいと私も強く思っています。

人類史的な構想

小山 今話していて思ったのが、人類史的な観点です。ちょうど『サピエンス全史』といった歴史もののノンフィクション読んでいる関係もあって、人類史の中で Google を捉えるってことは重要だなって思っているんです。

Google という会社は、確実にいつかは滅びます。ただ我々は Google の滅び方をイメージできてないですよね。それでも人類史という歴史観があるとGoogle の滅び方がイメージできるはずなんですよ。

Facebook の滅び方とか、こう滅ぶんだろうなって言って、その滅びた後に残る次のサービスというか、Google を倒すであろう次のサービスを考えていくっていう
そういう発想が必要なのに、今の議論は、Google があまりに強いから従おうなのか、グーグルは何か気に食わねなってくらいの話しかない。

そこはこう人類史的なパースペクティブで物事を考えて、次のプラットフォームを
構想していくようなことをやっていくと面白いのかなと思いますね。

加藤 チャットに「Appleが開発する個人データブロックシステムは、Apple自身はとれなくなんですか」という質問が来ていますね。僕は詳細は理解してないんだけれども取らないというふうに言うんだけども取ってるんじゃないかと思いますね。

小山 今度のWWDCで発表されたものは、原理的にとれないです。それでびっくりしたんです。原理的に取れない仕組みを導入したんです。彼らは本気で取らないつもりなんですよ。僕はその人類史に掛けているんです 

加藤 英断ですね、そういう意味では。ソーシャルレスポンシビリティ(企業の社会的責任)じゃないけども、GAFAの中でうちの会社だけはちゃんと個人情報を本当に顧客のために気にしてますっていう姿勢も見せなきゃいけない。

その部分を全面に出して、実際にそれに誠実に対応してくれるということはありがたいですよね。

小山 そうですね、もちろんいまさら Google みたいに情報で勝っていくことができそうないっていう戦略上のものもあるんだと思うんですけど、逆張りっていう意味では、本当に面白いし、実はこれから5年後のインターネットの世界って結構変わっていると思うんです。

それをみんなイメージできてないんですけども、シナリオを考えておいたほうがいいと思うんですよね。

ということで時間もまいりましたので、ここで終了としたいと思うんですけど。

加藤 用意した絵の30%くらいしか話せなくてすみませんでした

小山 ご覧のみなさんにご説明しますと、ほぼストーリーない中で即興でやっていたので、かなり広いプラットフォームで話の中で、一部突っ込んだ話をしましたけれども、ぜひまたちょっと時期を変えて別の話題もしたいです。ぜひ宜しくお願いします。

加藤 ありがとうございました。


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