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【参加レポート②】事業構想ツアー2022冬@亀岡 1日目:手触り感のある知識

野菜の型を使った器づくり

今回の事業構想ツアーの1日目の午後に体験した「型抜き陶芸」は、かめおか霧の芸術祭が企画した子供による器づくりプロジェクト 「こどもみんげいプロジェクト2022」 で実施しているものだ。

このプロジェクトは、亀岡市で取れる大根や白菜、しいたけなどの石膏型を元に、野菜の型を写し取って器を作っていくワークショップを開催している。型を使用する器づくりは、ろくろや手びねりによる器づくりと比較して簡単なため、小さい子供でも楽しんで参加できる。

亀岡で採れた野菜の型

参加者は亀岡や京都、大阪、兵庫などの亀岡近辺に住んでいる子供たちで、ワークショップでは複数の器を作成し、窯で焼いた後のお披露目会で1人一点持ち帰ることができる。

賢い消費者になってもらう

製作した器のうち、参加者が持ち帰らなかった分はECサイトで販売することになっているが、このECサイトの販売は収益を上げることは目指していないという。

ワークショップを主催する一般社団法人きりぶえの代表理事である京都芸術大学の松井利夫教授 (以下、松井先生) は、ワークショップの狙いを"賢い消費者を作ること"だと説明する。器を製作した子供たちに"自分が作った作品に値段がついて売れる"という体験をしてもらうために、ECサイトでの販売という手段を取っているのだ。

できあがった作品たち

作品を制作し、それが誰かの目に留まり、値段がついて売れる、という一連のプロセスを子供の時に体験することで、芸術作品や工芸品の真の価値を理解し、その価値が分かる賢い消費者になって欲しいというのが真の狙いである。

手触り感のある知識

松井先生は「賢い消費者になるには、実際の手作業を通じた"手触り感のある知識"が必要"だ」と考えている。個性のない画一的・平均的な知識ではなく、手触り感に基づいた具体的な知識こそが、賢い消費者に必要な判断基準になるということだ。

手の感触を頼りに作り上げる

手触り感のある知識の対局に位置するのは、具体性のない机上の知識である。例えば、AI言語モデル「ChatGPT」はテキストで質問を投げかけることでAIがその回答を作成することができるが、それらは教科書的な回答であり、個別の具体的な回答は得られない。

我々は陶芸は今回初めてだったが、土の柔らかさや粘っこさ、型に詰めた時の感触は、まさに実際に体験してみないと分からないことだったと思う。これは、事業構想ネットワークで実施しているプロジェクトでも、実際にイベントをやってみて気づきを得ることと同じであり、今後の事業構想ネットワークの活動において大事な視点だと感じた。



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