【参加レポート④】事業構想ツアー2020冬@亀岡 2日目:再燃焼と新規事業マインドセット
再燃焼とは、リサイクルでもアップサイクルでもない、と松井先生は語られた。再利用により同じものを復元するでも、全く別のものを作り出すわけでもない。それは、従来あった文脈に、他人の文脈が混ざり込むことにより新たに融合した価値が創出されることを意味している。この再燃焼を喚起するには、自分とは異なる文脈を共有してくれる第三者との出会いの機会が必要であろう。
亀岡市の市役所に設置された『開かれたアトリエ』での陶芸体験はまさしく、アートを通じた異なる文脈との出会いの機会創出の役割を強く感じることができた。このような文脈を只の知識、記号として表面的に理解するのではなく、『手触り感のある体験』を通じて五感で理解することで、一見意味の無いものの価値も自らの審美眼や体験を通じて理解することが可能になり、企業の経済活動においても論理的思考を超えたプロダクトを生み出す原動力になる可能性があるのではないか。
一方で通常企業内の新規事業では、企画の質や打率を上げる標準的手法としていわゆる『ステージゲート方式』が採用されるケースが多く見られ、その判断軸は市場予測や顧客提供価値など定量的かつ論理的であり、再現性のあるサイエンスに基づく判断軸が整備されることでマネジメント層が安心して意思決定できる仕組みとなっている。
ところがビジネスは常に再現性が約束されたものではなく、ステージゲートを通過したからといってうまく行く保証は必ずしも担保されないため、サイエンスとアートの部分をうまく融合した意思決定を引き出す必要がある。
今回の『再燃焼』による価値の再創出という視点で上記を考察すると、一見不備がありゲートを通過できないような事業企画においても、多様で異なる文脈をそこに与え、新たな価値を創出できる『開かれたアトリエ』のような社内の場作り、文化作りが重要であることが理解でき、そのため重要な要素は下記の2つに整理できる。
① ただの批判評論、KPIチェックに留まらないために、審議に参加するメンバーが多様な価値観と文脈の引き出しを持ち、一見不備がある企画を『再燃焼』させることができる素養を持つこと。
② 歪や皺、割れの生じた陶器を『失敗』と捉えるのではなく、『それも面白き味』として前向きに捉えるように、事業企画においても『失敗では無く、新たな文化構築のための創作品』として、新しき発見や学びにより職場に何がもたらされたのかを前向きに評価する
上記の取り組みにより、今後企業内でも『再燃焼』が活発に誘発されることを期待したい。
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