答案作成分析②コンクリートライブラリー158に基づくプレキャストコンクリート採用時の検討項目

 令和3年3月1日に土木学会から,コンクリートライブラリー158 プレキャストコンクリートを用いた構造物の構造計画・設計・製造・施工・維持管理指針(案)が発刊されました。

 近年の生産性向上の高まりを受け,土木学会としてプレキャストコンクリートについて体系的に整備された初の指針となります。

 技術士でもプレキャストコンクリートの問題は頻出となっていますので,上記文献は非常に勉強になる内容となっています。対象の問題は,H30_Ⅱ_2_3(現場打ちorプレキャストによる工程短縮)や,H26_Ⅱ_2_3(プレキャスト化の検討)が挙げられますね。

 文献中に,プレキャストコンクリート(Pca)工法の採用にあたって検討すべき事項がまとめられていますので,ここでは,それを参考に,技術士でプレキャストの問題が出た際に,答案に盛り込むべき内容を検討したいと思います。検討すべき事項は以下となります。

①要求性能,設計耐用期間
②コスト検討(プレキャスト化による増分と,現場作業減等の縮減分)
③使用材料(Pcaへの品質の影響,セメント量が多くなるためアルコツ等)
④Pca部材形状,寸法(工場の製造,保管,運搬等の制約を満足させる)
⑤接合部の照査(接合部に求める性能,接合部を一般部と一体とするか,接合部を適切にモデル化するか,接合部の耐久性確保等)
⑥工程(Pca製造工程に合わせた現場工程設定)
⑦Pca工場の選定(サイトプレキャストも検討)

 いずれもプレキャスト特有の事項であることが確認できます。この中でも個人的には,②,④,⑤,⑥,⑦あたりは確実に盛り込みたい内容かなと思っています。

 また,検討すべき事項としてのまとめには記載されていませんでしたが,設計時の留意点として,設計時には,Pca部材は架設時の吊り上げや,組み立ての過程によって完成時と異なる応力状態となることがあるため,完成時だけでなく施工時の過程を踏まえた部材設計をすることも重要となるかと思います。この点は,まとめではなく,同参考書の設計編P68 3.11 施工に関する設計として記載があります。
 
 以上,簡単にまとめてみましたが文献中には,構造計画・設計・製造・施工・維持管理それぞれのタイミングにおける留意点も多く掲載されていますので是非確認下さい。また,H30_Ⅱ_2_1(現場打ちorプレキャストによる工程短縮)や,H26_Ⅱ_2_1(プレキャスト化の検討)の答案例も挙げますので,骨子等見て頂き,勉強時の参考にして頂ければ幸いです。

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