H28(2016)_Ⅱ_2_3(管理用供試体の圧縮強度不足)

注意事項

・答案例の文字数は技術士解答用紙の文字制限を満足しています。
・答案例は,既往の技術図書等や過去に私自身がA判定を頂いた記載例を参考に記載していますが,仮に同じ問題が出た場合に,本答案例をそのまま記載した場合においても、A判定を確約するものではありません。あくまで参考としてください。本コンテンツ使用に伴い損害が発生した場合においても,一切の責任は負いかねます。
・可能な限り公表されている技術図書や記載している参考文献先を確認しながら書いていますが,記載の内容に技術的観点からの誤り等がありましたらご連絡下さい。事実確認後,必要に応じて返金対応等致します。
・より優れた記載内容等がありましたら,補足等に追記していきたいので,有意義なご連絡お待ちしています。
・無断での複写、転載を禁じます。


問題

Ⅱ-2-3 コンクリート工事におけるリスク管理を行う上で,想定されるリスクに対するリスク分析や危機回避シナリオの作成など,事前の活動が危機回避の上で有効な手段である。今回あなたが関係する建設現場において,管理用供試体の圧縮強度に強度不足が発生したことを想定して,下記の内容について記述せよ。
(1)対象となるコンクリート構造物を仮定し,想定した強度不足の発生状況とその原因や問題点
(2)自分の立場と業務を明確にし,発生原因を回避するための再発防止策とその内容
(3)再発防止策を進めるに当たり留意すべき事項

参考文献

・土木学会:コンクリート標準示方書「施工編」P161 12章 寒中コンクリート


ポイント!

 強度不足の原因としては,
・製造時の不具合や,現場での加水(最近はもう無いと思いますが、、、)により水セメント比が大きくなってしまい強度不足が発生
・混合セメントを使った場合の養生期間不足(高炉やフライアッシュは初期強度が小さい)
・初期凍害を受けたため,強度増進不足
等が考えられますが,ここでは情報量が多い初期凍害をケースとして挙げることとしました。初期凍害であれば,コンクリート標準示方書「施工編」の寒中コンクリートの箇所を見れば,再発防止策も,防止策における留意点も問題なく挙げることができます。ぜひ下記骨子をご確認頂ければと思います。文章化が手間な方,下記骨子に納得頂ければご購入ご検討頂ければと思います。(このような問題は中々再出題されないと思いますが)

骨子


(1)構造物の仮定,強度不足の発生状況と原因等
構造物:断面の薄いRC高らん
発生状況:打設時期が冬季,寒中コンとして取り扱い,養生方法を水和熱を利用した保温養生としたが,管理用供試体の28日強度で圧縮強度不足が発生※管理用供試体の養生は,対象構造物と同条件
強度不足の原因:寒中コンとして扱い,打設時のコン温度を5℃以上,養生温度を5℃以上としたが,断面が薄いため,水和熱が小さく,保温養生では夜間に5℃以上確保できず初期凍害を受けた
問題点:断面寸法を考慮していないコン温度設定,養生方法
(2)立場と業務,再発防止策
立場:施工管理者
業務:配合計画,コンクリート工(運搬,打込み,締固め,仕上げ,養)の立案,施工管理
再発防止策①:断面寸法に配慮したコン温度設定,断面が薄い場合は打込み温度を10℃以上確保
再発防止策②:断面寸法に配慮した養生方法,断面が薄いと水和熱が小さく保温養生では不可,給熱養生とする
(3)再発防止策を進める際の留意事項
防止策①:打ち込み温度確保時に材料を温めるが,セメントは加熱しない(急結防止),運搬1時間あたり外気温との差に対し15%程度低下することに配慮して計画
防止策②:給熱養生時は,局所的な加熱を避ける(ひび割れ防止),乾燥防止のための湿潤養生併用


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