H29(2017)_Ⅱ_2_3(表層品質確保と表層品質の劣る構造物の維持管理)

注意事項


・答案例の文字数は技術士解答用紙の文字制限を満足しています。
・答案例は,既往の技術図書等や過去に私自身がA判定を頂いた記載例を参考に記載していますが,仮に同じ問題が出た場合に,本答案例をそのまま記載した場合においても、A判定を確約するものではありません。あくまで参考としてください。本コンテンツ使用に伴い損害が発生した場合においても,一切の責任は負いかねます。
・可能な限り公表されている技術図書や記載している参考文献先を確認しながら書いていますが,記載の内容に技術的観点からの誤り等がありましたらご連絡下さい。事実確認後,必要に応じて返金対応等致します。
・より優れた記載内容等がありましたら,補足等に追記していきたいので,有意義なご連絡お待ちしています。
・無断での複写、転載を禁じます。

問題

Ⅱ-2-3 温暖地域の内陸部にある新設コンクリート構造物において,コンクリートの表層品質の確保に関する業務を進める場合,以下の問いに答えよ。
(1)設計および施工の各段階で表層品質を確保するための方策をそれぞれ1つずつ挙げ,適用に当たっての留意点を説明せよ。
(2)表層品質を確認するための方法を1つ提案し,その方法の概要と留意点を説明せよ。
(3)当初の目標に対して表層品質が不足した新設構造物を仮定し,コンクリートの中性化による劣化を想定した維持管理計画を立てるに当たり,その手順と留意点を説明せよ。

参考文献

「設計時の表層品質確保方策」
・土木学会:コンクリートライブラリー148 コンクリート構造物における品質を確保した生産性向上に関する提案 P65 軸方向鉄筋への高強度鉄筋を活用するための~
「設計時の表層品質確保方策の留意点」
・鉄道構造物等設計標準・同解説コンクリート構造編 付属資料P527~高強  度鉄筋を使用する場合の留意点
「施工時の表層品質確保方策,留意点」
・土木学会:コンクリート標準示方書「施工編」2017年制定 P231~3章高流動コンクリート
「表層品質の確認方法,留意点」
土木学会:コンクリート技術シリーズ97:構造物表層のコンクリート品質と耐久性能検証システム研究小委員会(JSCE335委員会)第二期成果報告書およびシンポジウム公園概要集P136等
「中性化劣化の維持管理計画」
・土木学会:コンクリート標準示方書「維持管理編」 P107 2章 中性化

ポイント!

 技術士頻出の維持管理の問題です。維持管理の業務手順については,別記事答案作成分析③コンクリート標準示方書「維持管理編」に基づく維持管理の手順にもポイントを記載していますので確認頂ければと思います。
 維持管理の問題のポイントは,近年土木学会では「水」の処理について特に注視しています。(2018年制定のコンクリート標準示方書「維持管理編」にも水がかりの区分が新設されていますね。)そのため,水がかりに関するコメントは記載したほうがよいかと思います。
 ここでは,劣化要因として中性化が取り上げられていますが,劣化要因に応じた調査項目や,維持管理の手順は,上記参考文献に細かく記載されていますので是非ご確認下さい。参考文献を基にした骨子も記載してみましたので是非確認頂ければと思います。文章化が手間な方は,下記骨子に納得頂ければご購入ご検討頂ければと思います。


骨子


(1)設計,施工時の表層品質確保の方策
表層品質確保のため,初期欠陥(コールドジョイントやジャンカ)を防止する
設計時の方策:高強度鉄筋使用による鉄筋本数削減,鉄筋のあきの確保で過密配筋防止
留意点:高強度鉄筋の定着長算定や,加熱冷却による機械的性質の変化があるため品質確保に留意
施工時の方策:高流動コンクリートで充填不良防止
留意点:移動距離が大きい場合の材料分離防止,自己充填性能レベルの適切な設定
(2)表層品質確認方法,留意点
方法:表層吸水試験
留意点:コンクリート表面の含水状態に影響される
(3)表層品質が劣る新設構造物の中性化による劣化を想定した維持管理計画
手順:①劣化予測,②性能評価,③対策要否判定,④定期的な点検,⑤予測の修正,①からの繰り返し
留意点:①√t則で予測する際,表層品質が劣ることを材料係数で考慮
②①に基づき中性化残りを設定し,設計耐用期間にどの程度中性化が進むか確認し性能を評価する
③②で中性化が鋼材腐食発生限界深さに到達する場合は,表面含浸等で新設時に対策を施す
④点検時に中性化深さを計測し,①の材料係数の妥当性や,③の効果を確認し,劣化予測を修正する。点検時には水がかりの程度で中性化の進行程度が異なることに留意する

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