R1(2019)_Ⅱ_2_4(震災後の機能確保の観点からの耐震補強)

注意事項


・答案例の文字数は技術士解答用紙の文字制限を満足しています。
・答案例は,既往の技術図書等や過去に私自身がA判定を頂いた記載例を参考に記載していますが,仮に同じ問題が出た場合に,本答案例をそのまま記載した場合においても、A判定を確約するものではありません。あくまで参考としてください。本コンテンツ使用に伴い損害が発生した場合においても,一切の責任は負いかねます。
・可能な限り公表されている技術図書や記載している参考文献先を確認しながら書いていますが,記載の内容に技術的観点からの誤り等がありましたらご連絡下さい。事実確認後,必要に応じて返金対応等致します。
・より優れた記載内容等がありましたら,補足等に追記していきたいので,有意義なご連絡お待ちしています。
・無断での複写、転載を禁じます。

問題

Ⅱ-2-4 大規模地震への震災対策として,重要構造物(道路・鉄道等の基幹的交通インフラ及び基幹施設)に対する耐震補強を行うこととなった。あなたが担当責任者として業務を進めるに当たり,震災後の機能確保の観点から下記の内容について記述せよ。
(1)重要構造物のうち対象とする既設コンクリート構造物を1つ挙げ,その震災後に求める機能と要求性能のレベルを簡潔に述べた上で,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

参考資料

今回の問題に対しては,鉄道ラーメン高架橋を取り上げることとしましたので,参考文献は以下の通りとなります。(公益)プレストレストコンクリート工学会(以下、PC工学会)出版のコンクリート診断技術には,補修補強設計例として耐震補強業務の流れ,がまとまっていますので,一度目を通されると理解が深まります。

「大規模地震後に求める性能と要求性能のレベル」
土木学会:コンクリート標準示方書「設計編」2017年制定, P262~3.3 耐震性の水準
「調査,検討すべき事項とその内容,業務手順」
(公益)PC工学会:コンクリート診断技術(2016.4),P361 鉄道構造物における鋼板巻き立てによるラーメン高架橋の耐震診断と耐震補強
「設計,施工上の留意点や業務を効率的・効果的に進めるための調整方策」
(公益)鉄道総合技術研究所:既存鉄道コンクリート高架橋柱の耐震補強設計指針


ポイント!


 技術士頻出の耐震補強の問題です。本問題は,【震災後の機能確保】という点がポイントかと思いますので,震災後の要求性能を適切に設定し,それに向けた手順を述べる必要があります。
 H29(2017)_Ⅱ_2_4(基礎対象外の耐震補強)のように基礎は対象外となっていませんので,曲げ補強を行うことを要求性能に設定しつつ,曲げ補強時の基礎への負担についても触れました。また,図面や計算書の有無も指定がありませんので,基本的にはそれらがある想定で記載しました。
 H29(2017)_Ⅱ_2_4(基礎対象外の耐震補強)では簡便法で記載しましたので,本問題では,詳細法(プッシュオーバー解析および非線形スペクトル法)による答案例を記載しました。
 参考文献先を見れば回答できるかと思います。文章化が手間な方は,下記骨子にご納得頂ければご購入ご検討頂ければと思います。

骨子

(1)震災後の要求性能,調査,検討すべき事項
対象とする既設構造物:鉄道RCラーメン高架橋
大規模地震後に求める機能と要求性能のレベル
機能:レベル2地震動で,地震後に構造物全体系が崩壊しない
要求性能:高架橋の柱がせん断破壊せず,曲げ耐力以内
調査,検討すべき事項とその内容
机上調査:設計図書から,部材の形状寸法,かぶり,配筋,設計基準強度,鉄筋の強度等の使用材料,地盤条件
現地調査:非破壊検査による机上調査との整合性確認,考慮すべき構造物の劣化状況把握,施工時の制約等の周辺環境把握
(2)業務を進める手順と留意点,工夫を要する点
業務手順
:①机上調査,②現地調査,③耐震診断,④補強工法の選定,補強設計⑤施工
業務を進める際に留意すべき点や工夫を要する点
① 机上調査,②現地調査
・柱の軸方向鉄筋の強度→はつり法で鉄筋を採取,引張試験で実強度を確認,鉄筋採取位置は,塑性ヒンジを避け,柱中央部
② 耐震診断
・①②で得られた諸元を基にプッシュオーバー解析,非線形スペクトル法を実施,軸方向鉄筋の現地採取が困難な場合の,鉄筋強度に対する材料修正係数の取扱いに対する留意
④ 補強工法の選定,補強設計
・耐震診断の結果からせん断,曲げ,じん性の補強量を決定
・曲げ破壊先行型の損傷形態となるように留意
・曲げ補強を行う場合,基礎の負担が増加するため,補強設計時に基礎構造へ及ぼす影響へ配慮
⑤施工
・既設柱と補強部材が一体化するよう留意
(3)業務を効率的・効果的に進めるための調整方策
施工者との調整方策
:施工時の制約を満足できる補強工法を選定し施工時の設計変更が起きないよう調整
設備管理者との調整方策:高架下に店舗がある等の制約への対応→一面せん断補強やRB工法等代替え案の提示

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