答案作成分析④コンクリート標準示方書「設計編」に基づく初期ひび割れへの対応

 Ⅱ-1問題では,初期ひび割れに関する問題をよく問われます。
・H26(2014)_Ⅱ_1_7(乾燥収縮ひび割れ,対策)
・H27(2015)_Ⅱ_1_7(外部拘束ひび割れ,対策)
・H30(2018)_Ⅱ_1_6(体積変化を伴う初期ひび割れ,対策)
 ここ8年の間でも3回出題されています。初期ひび割れにはいくつか種類があります。また,ひび割れの種類に応じて講じるべき対策は異なりますので,これらは体系的に理解する必要があります。

 ここでは,コンクリート標準示方書「設計編」2017年制定,およびマスコンクリートのひび割れ制御指針 2016年制定を参考にそれらについて簡単にまとめたいと思います。

初期ひび割れ

 上図のように,初期ひび割れは以下のように分類されます。
 硬化前に発生する材料分離や急激な乾燥が主たる要因となるひび割れ
⇨沈みひび割れ,プラスティックひび割れ
 水和や乾燥に伴うコンクリートの体積変化に起因するひび割れ
⇨乾燥収縮ひび割れ,温度ひび割れ(内部拘束,外部拘束)
温度ひび割れの中に,外部拘束が卓越する場合と,内部拘束が卓越する場合とでひび割れの入り方が異なります。

また,以上のうち,
沈みひび割れ・・・骨材の沈下や材料分離によって鉄筋上面や変断面部に発生するが,適切な時期にタンピングを施すことで防止可能
プラスティックひび割れ・・・ブリーディング水の上昇速度に比べ,表面からの水分の蒸発量が大きい場合に生じるが,表面からの急速な乾燥を防止すれば防止可能
と考えられており,コンクリート標準示方書「施工編」に基づくことで,防止可能で,照査不要との位置づけが成されています。

乾燥収縮ひび割れ,温度ひび割れは照査を要する対象となっており,ひび割れ抑制の対策項目はひび割れ制御指針にまとめられており,図中の計11項目あることになります。

実際には,これらの対策を複合的に活用して対策することとなりますが,
H27(2015)_Ⅱ_1_7(外部拘束ひび割れ,対策)のように外部拘束が問われたときは,外部拘束度を低減する対策を,H26(2014)_Ⅱ_1_7(乾燥収縮ひび割れ,対策)のように乾燥収縮ひび割れが問われたときは,収縮ひずみを低減する対策を挙げるとよいかと考えています。

また,H30(2018)_Ⅱ_1_6(体積変化を伴う初期ひび割れ,対策)を問われたときは,ひび割れの定義上,沈みひび割れ,プラスティックひび割れは取り上げないよう注意する必要がありますね。

以上,初期ひび割れについて簡単にまとめてみました。参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?