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松岡修造とすゑひろがりず

松岡修造という人がいる。言わずとしれたテニスプレーヤーだが、近年ではスポーツ中継のキャスターとしての印象がすこぶる強い。例えばフィギュアスケート。浅田真央選手の活躍を思い起こすとき、誰よりも力強く、大きな声援を送っていた氏の姿が同時に浮かぶ。あれは2010年、バンクーバーオリンピックの頃だっただろうか。「絶対できる、自分を信じろ」と言っていたロッテのCMを今も覚えている。十年も前のことだとはにわかに驚きを禁じ得ないが、オリンピック中継といえばというこの感じ、もはや風物詩といってもいい存在なのだと思う。

「海外に出ると日本の気温が下がり、帰国すると気温が上がる」と言われるほどの熱いキャラクター。思い切りよく発せられるメッセージにはファンも多い。職場の先輩もそのうちの一人だ。その人のデスクには氏の言葉を集めた日めくりが置かれている。不思議なもので、そのセクションを訪ねたときのふとした待ち時間、なんとなく眺めずにはいられない。幾度となく目にするものだから、自分のものでもないにも関わらず、気に留めている言葉がいくつかある。

「後ろを見るな!前も見るな!今を見ろ!」「次に叩く一回で、その壁は破れるかもしれない」――多彩な叱咤激励の言葉。文章だけでなく、ガッツポーズをとる姿や屈託のない笑顔の写真が添えられているのが良い。テレビで見かける氏の人柄もあいまって、そのメッセージに説得性が増す。聞くところによれば、氏の言葉を収めた日めくりは数種類出版されているらしい。自分のデスクを装飾するのはあまり好みではないのだが、その日めくりたちを何度となく周回させている先輩を見ていると、そのルーティーンに幾ばくかの羨ましさを感じてやまないのだ。


ご存じすゑひろがりずも10月16日に日めくりを発売するという。「すゑひろがりずのまいにち寿!!」(リベラル社)。一ヶ月前に発表されてからというもの、待ち遠しくてたまらない。

扇子と鼓を携えた和の装いで、狂言風の漫才やコントを繰り広げるお笑いコンビ・すゑひろがりず。2019年の「M-1グランプリ」の決勝に初進出して注目を集めたかと思えば、YouTubeチャンネルでの狂言風ゲーム実況が大ヒット。テレビ出演も増え、ますます目が離せません。そんなすゑひろがりずの「日めくりカレンダー」が誕生!めくればめくるほど運が舞い込んでくるような、縁起のいい一品です。
■おめでたきことやんごとなし!お祝い気分になれる言葉が満載
「お見事!」「あっぱれ!」「ほめてつかわす!」など、すゑひろがりずならではのおめでたい言葉を集めました。パラパラめくってお気に入りの言葉を見つけるもよし、声に出して気合を入れるもよし。毎日をお祝い気分でハッピーに。

どこに置くかはさておいて、明るくめでたいすゑひろがりずの世界が31枚もの紙面に展開されると思うとワクワクする。ついに私にも日めくりのある生活がくるのだ。

ネタをやっているとき、トークをしているとき、音と動きをふんだんに使って楽しませてくれている二人の味が、文字へと昇華することの妙。私は活字の文化が好きなので、楽しみが大いに増している。題字を目で追いかけながらもきっと、頭の中では二人の狂言風の発声でしかと再生されていくのだろうなという期待。狂言風とはいいながら、求めているのはすゑひろがりず流の言葉遊びだ。ただ古風なだけでなく、めでたくて愉快にひろがる芸の世界。

すゑひろがりずが我が家の出窓にやって来るまであと2週間。物言わぬだるまたちが喧し(やかまし)がるぐらい、やんややんやと騒がしくなればいい。


あとがき

すゑひろがりずと文字の世界でいうと、南條さんのツイッターがまず浮かびます。ちょっとした告知にもキャラクターを乗せておられます。筆まめな方だなあと思います。

あと、大喜利やってるときの三島さん。芸人さんに限らず、特長のある文字を書く人が好きで、良い意味で気になってしまうのですが、すごく味のある文字を書かれるなあと。まっすぐだけど丸い、サイズの安定した字。ホワイトボードを使うときのネタの字は、三島さんの手蹟のような気がしています。

背をわずかに後ろに反らし、ペンがさらさらと走っていく。答えを出すとき、中の3本の指でボードを掲げ持つ、その手が高くあがる。ときどき、顔が隠れるぐらいその位置が高い。ボードを裏返す瞬間には、ちょっとだけ力のこもった動作が入る。所作といってもいいのかもしれない、三島さんのこの一連の大喜利の仕草。どうしてだか私はとても好きです。


さて、本日10月2日、すゑひろがりず三島さんお誕生日おめでとうございます!

6月の南條さんの誕生日のときにも記事を投稿していて、「社会の状況が一変して、悔しいことも多くあったのではないかと思いますが、お二人に最高にめでたい正月が来るといいなあ、これからそういう下半期になってほしいなあと願うばかりです。」と結んでいました。

あれから4カ月、夏もすっかり終わりましたが、テレビや配信ですゑひろがりずを追いかけたこの夏は、これまでとは確かに違うものなんだけれど、心はすごく平穏でした。昨日発表になった「秋ひろがりず」も楽しみ。

何の力もありませんが、折にふれるように三島さんが「お正月に呼ばれるようなめでたい芸人になりたい」という話をされるたび、すゑひろがりずを応援していきたい気持ちが大きくなります。私はたぶん、同世代のなかでは新年への思い入れが比較的強いほうの人間で、だからこそすゑひろがりずの感じに引き寄せられているところもあるのかなと思っています。年末年始のスケジュールもそろそろ進行している頃でしょうか。お二人が望む、最高にめでたい正月がくるといいなあ。いいお正月を過ごされる、お二人の様子が拝見できたら幸せだなあと思います。


出典

[1] amazon 松岡修造「[日めくり] まいにち、修造! 心を元気にする本気の応援メッセージ」(2014)
https://www.amazon.co.jp/dp/4569820786

[2] amazon すゑひろがりず「【日めくり】すゑひろがりずのまいにち寿!!」(2020)
https://www.amazon.co.jp/dp/4434279319

[3] リベラル社 10月新刊 プレスリリース「『すゑひろがりずのまいにち寿!!』発刊のお知らせ」(2020.9.1)
http://4294d36a58a15c9d.lolipop.jp/img/blog_staff/staff_pdf/200901_liberal_kotobuki_release.pdf


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