「もっと思い通りに動いてほしい!」と思ったそこのあなたへ

誰かに「もっと思い通りに動いてほしい」と思うことがあったとする。
そのときの自分はたいていの場合において非常に欲張りである。それも一方的に。

自分がこれまでに経験してきたことや自分の志向性についてきちんと共有しないうちから、「なぜわかってくれないんだ」なんて気持ちがむくむくと膨れ上がってくる。 説明していないのだから、分かってもらえなくて普通だというのに。あるいは、自分が逆の立場だったとき一度聞いただけですべて理解し、いついかなるときもそれを忘れないことなど不可能であることを知っているというのに。

では、「思い通りに動いてほしい」と感じたときどうすればいいのか。

まず、最初は自分が相手に求める行動をとらえるところから始めるのがいいと思う。 そして、それが発生する確率を上げるための自らの振る舞いとは何か、を考えるのだ。

例えば、部下にもっと主体性をもった行動をしてもらいたかったとする。 その場合、起こってほしい最初の行動はどんなものかを私なりにとらえてみると、 「こういうのを試してみるのはどうですか?」 「これをやってみたいんですけど、いいですか?」 と相談をされることだったりする。

では、これが起きるためにどんな行動が必要か考えてみると、 「去年よりも商品Aの売れ行きがよくない。競合の商品Bは去年よりもむしろ好調らしい。原因はなんだろう?」 と問いかけてみること、なんかが思い浮かんでくる。

情報を与え、自分もわからずに困っていることを打ち明け、一緒に原因を探してみよう、と互いに協力する姿勢をもつことが大事かな、と思える。そのとき自分はとても冷静な気持ちでそれを言える。 決して「商品Aの昨対比を見たら売上の調子が悪いことは明白なんだから、指示待ちになるんじゃなくて、自分たちでも対策考えてよ」と叱るのが一番よい、とはまったく思わない。

だがしかし。現実にはこれをやってしまう場合がしばしばある。 自分はこれだけ危機感を感じて「何かしないといけない・・!」と焦っているのに、部下はその感情をわかっていないと(決めつけて)腹が立ち、怒りのままに「それくらいわかるだろう!」というテンションでギャンギャンと吠える始末。

そうならないための処方箋が、「起こってほしい最初の行動をとらえる」である。 ポイントは「最初の行動」であり、「最終系の行動」ではないところだ。理想が高いことはけっこうだが、それが高ければ高いほど現実とのギャップは大きい。素直に考えれば、それが埋まるまでの時間と労力は大きいのが当然のことだ。高い理想を掲げてよいのは、時間や労力にも高いコストが発生することを覚悟できる人間だけである。安易に安く高いものを手に入れようとしてはいけない。高価なものを手に入れるためには、それ相応の対価を支払わなければいけないのが摂理だったはずだ。

しかしながら、常にその高い対価を用意できるわけではない。というするならば、まずは「起こってほしい最初の行動をとらえ」て、それが発生するところから小さく始めてみることが、大切だったりするのである。

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