石丸市長は「上告不受理」で敗訴確実~ポスター代金踏み倒し訴訟 @saktshare

要約

最高裁における「上告審」は、地裁・高裁と異なり、扱う争点に大きな制限がある。
最高裁は、上告が受理すらされず、門前払いがほとんどである。
石丸訴訟も同様に上告が受理されないのは確実である。

事案の概要

石丸伸二は「107万なんて知らん!34万円だけ払う!」と粋がった結果、
業者に残73万円を請求する売買代金請求訴訟を提起された。
その結果
2023年5月30日広島地裁で敗訴。
12月13日広島高裁でも敗訴し
12月15日に最高裁に対し上告受理申立てをした。

「下級審」と「上告審」の違い 

下級審は「事実審」に該当し、「事実認定」「法律適用」のどちらも争点にできる。
本訴訟での争点は「合意したポスター代金が107万円と34万円のどちらか」であるが、
これは「事実認定」つまり「何が事実なのか」に関する争点である。

一方、上告審では「法律適用」に関してのみ争点にできる。
例えば、「夫以外の男と性行為をした」ことは事実だが、それに「民法707条の不貞行為」が適用される/されない、といった争点である。
しかし、本訴訟において石丸はこのような法律適用に関する主張をしていない。それもそのはず、法律適用を争点にするのは極めて困難であり
特に、本訴訟のようなシンプルな売買代金請求訴訟では、ほとんど不可能である。

「上告」という狭き門

上告受理申立てをすると、最高裁の調査官が、本当に法律適用が上告理由となっているかを審査する。
この審査が極めて狭き門であり、これを突破しなければ、そもそも最高裁の裁判官の手元にすら事件が回付されることはなく、門前払い扱いされる。
上告に際し、一応「法律適用が争点です」という体裁で上告理由書を書くことになるのだが、実際には認められない場合がほとんどである。
事実、上告受理申し立て事件のうち、不受理決定(門前払い)が96.3%である(平成22年度)。

最高裁調査
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/20509011.pdf

石丸訴訟では、下級審では法律適用が争点になっていない以上、上告受理申立は必ず門前払い(上告不受理決定)で終わると断言できる。
石丸の弁護士も無理筋の屁理屈をひねり出して上告したと思われるが、仕事とは言え心から同情する。

上告はカネと時間のムダ

画像は行政事件のものだが、民事でも同じ

上告が不受理となると、画像のような決定調書が送付される。
下級審判決と異なり、理由はほとんど記載されない。2枚程度の紙切れがホチキス留めされて書留で送られてくるだけである。
なお、口頭弁論すら開かれないので和解の可能性もない。

当然石丸の弁護士は上告が無理筋であることを知っているはずであり、
普通なら上告自体を勧めない(それどころか控訴すら勧めないだろう)。
控訴・上告は石丸自身の強い希望(ゴリ押し)と考えるのが妥当だろう。
自己宣伝目的の政治パフォーマンス以外の何物でもない。

補論:石丸が業者とのメールを晒した件について

石丸は23年12月13日の高裁敗訴直後、唐突に印刷業者とのメールを公開して自らの正当性を喧伝した。

「107万円に同意していない!」と興奮する石丸
https://twitter.com/shinji_ishimaru/status/1734934269355844063

しかし公開に何の意味もない。
その理由は、民事裁判とは、
 ・原告の提出した全証拠+尋問結果の証拠価値の合計
 ・被告の提出した全証拠+尋問結果の証拠価値の合計
以上を比較し、より証拠価値合計が大きい方が勝訴するのである。
訴訟手続とは、いわば証拠価値の合計値を算出するための作業手続である。
すなわち、上記メールは、被告の提出した証拠のうち1つに過ぎず
これを持って双方の証拠価値の各合計を算出することはできないから、メール公開は無意味なのである。
まさに証拠の「切り取り」による「印象操作」以外の何物でもない。

さらに言えば、このような双方の認識の相違が問題となる訴訟の場合、
必ず「当事者尋問」が実施されるはずである。
石丸も平日の昼間に広島地裁に呼び出され、30分から90分程度尋問を受けたと思われる。

尋問は、主尋問(味方の弁護士)→反対尋問(敵の弁護士)→補充尋問(裁判官)の順序で行われる。
YouTubeで天才扱いされている石丸くんだが、敵の弁護士や裁判官からの質問に対し、メールの証拠価値を高めるような回答は出来なかったようだ。

※高裁敗訴判決の13日後には別の地裁判決でも敗訴しました
石丸伸二でもわかる「名誉毀損の判断枠組み」初級~控訴は税金のムダ @saktshare|珍獣観察日記 (note.com)

参考(併せてご確認ください)

「この民事訴訟の最大のポイントは、言うまでもなく、どのような契約が締結されていたのか、その際、公費負担額の上限で請け負うという約束は明確な合意内容であったのか、ということでしたが、一審も控訴審も、前述のとおり、証拠に基づいてこれを否定したのです。」

「本件上告の行方を占うと、数か月後に、紙切れ一枚に書かれた上告不受理の決定、或いは上告棄却決定が、市長のもとに届けられることでしょう。」

安芸高田市内在住の元検察官の方からの投稿~安芸高田市長石丸上告受理申立 | 安芸高田市政刷新ネットワーク通信 (ameblo.jp)

→本noteは上記市政刷新ネットワークの記事を読まずに執筆したものですが、概ね同様の結論となっています。

「論破力」も裁判所には通用しなかった模様


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