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「アリエルじゃない」ってじゃあ何がアリエルか?

実写版アリエル、批判多すぎん?の話

実写版 『リトル・マーメイド』でアリエルをアフリカ系アメリカ人のハリー・ベイリーが演じることに批判が殺到している。悲しい。
ポリコレだ、私の知ってるアリエルじゃない、アニメと違いすぎる、かわいくない、アリエルのイメージじゃない…みんな思うことは自由だしべつにそれでいいんだけどね。

差別意識がないことはわかるけど、受け入れられないことを、差別ではないと主張して、好き勝手いうのは危なくて怖いなあと思う。差別じゃないと思っても、差別ととらえられかねない発言であることは確かだから。

もともと日本は人種差別には疎い国柄というか、アメリカの白人と黒人の関係のような深い歴史があるわけでもないし、その辺の「差別である」という感覚があんまりないんだろうなというのはある。それに、何より「見た目」にこだわる人がたくさんいる印象もあるから、今回のアリエルにネガティブな感情をもつ日本人がたくさんいるのもわかる。

ただ、それにしても、そんなにハリーのアリエルはそんなにもダメなものなのか。。。
なんでみんなそんなにダメっていうの、、、なんか悲しい、、、
ちなみに、私は今回のリトル・マーメイドはとっても楽しみなの✌
最初は私も、黒人俳優と聞いて色々大丈夫そ?とは思ったけどね

「アリエルじゃないからいやだ」?

ツイッターみてると見かける「差別してるんじゃない、アリエルじゃないからいやだ」っていうのが、わかるようでなんだかわからない。
あなたにとっての「アリエル」って何?
肌が白いこと?赤毛?人魚?歌がうまい?末っ子?美しいこと?

私が思うアリエルは、好奇心旺盛で何かに夢中になるとそれしか見えなくて、素晴らしい歌声の持ち主で、陸の世界に憧れていて、家族思いで、恋に夢中な人魚の女の子だ。

だから、私はハリーの、黒人のアリエルを受け入れられたのかもしれない。
だって、あの予告映像みた?パート・オブ・ユアワールドをうたう眼差しもあの素敵な歌声も、魚と戯れる元気さも「アリエルだ…!」って思ったの。感動した。まじ鳥肌。

確かに声の雰囲気は完全一致ではないけど、それでも私の知ってるアリエルと同じ瞳だと思ったの。声と性格で選ばれたっていうのも納得。

『美女と野獣』のエマ・ワトソンも、活動家をしていたり、そういう彼女の内にあるものが、ベルの強くて素敵な女性像に重なって、感動したのを覚えている。それと同じ感じだった。

だから、ここまで論争が起きるなんて、みんなの「アリエル」の定義はだいぶ見た目に重きが置かれているのかもなと思った。それはそれでルッキズムが根強いしようにも思うし、人種差別ほど問題視されていないから、今回みたいなことが起きてるんだろうなと思う。
ルッキズムがベースの人種差別というか。難しくてよくわからんけど。ね。

だから、なんかもう、かわいくないからいやだ!ブスだ!みたいなのはもはや素直でいいなと思ってしまう。「アリエル」じゃない!とかいうより、結局見た目がその人の好みじゃないならそれでいいと思うし、それこそ個人の感じ方だなーって。
(どっちにしろルッキズムを表明していることになるかもだけどしょうがない)

「ジャスミンが白人でも、白雪姫が黒人でもいやだ!」のやつ。


これはこれでまた違う話かなあと思う。

『アラジン』は明らかに地域性が重要な作品だし、白雪姫は「雪のように白い肌」って言われているくらいだから、彼女たちのアイデンティティというかそのキャラクターを定義するうえで、人種や肌の色は大きな点だと思う。(白雪姫に関しては、ラテン系俳優が起用されたと聞いてどう解釈されるのか実際疑問ではある。でもアリエルほど批判されてなくない?)
たしかにそんなキャラクターがわけわからん人種でキャスティングされたら、うそでしょ!?ってなるけど、アリエルを定義するうえで人種は大きなものじゃないってだけだと思う。何よりも歌声!って考えるのは当たり前のことで。

そもそもディズニーの実写版全然アニメ版と違うじゃん。の話

これめっちゃ思うの。『アリス・イン・ワンダーランド』とかまるっきり何!?だし(これは見てない)、『アラジン』もジャスミンが現代女性すぎて最初はびっくりだし、ダリアとかいう知らんオリキャラいるし、『シンデレラ』もドレス着た後の髪型ふわっふわすぎてアニメ版と違うの最初はなんかなあと思ったし、やっぱりそもそも違うものなんだ。ストーリーだって色んなところが変わってるし、「本家による二次創作」と言われるけど、ほんとにそうだと思う。
でも観たらみたでいつもよかったなあと思うし(単純すぎるけど)、やっぱりそもそもアニメ版と比べるものじゃないなって感じる。別作品!
だから、特に人魚の世界なんてなんでもありっぽそうな今回の『リトル・マーメイド』にアニメ版を求めるのは特に違う気もする。自由度が高いもん。

それに、ディズニー作品も古いものは、価値観が古かったり、今見ると違和感を感じる部分は多い。実写化には、それをディズニー自ら考え直すことも多く含まれていると思うから、本当に別の作品だよ。
アニメ版の『リトル・マーメイド』もだいぶ1989年という時代が感じられる。アリエルがエリックに一目ぼれするのも、声を失ったアリエルがエリックにアプローチするのも、アースラが美女に変身するのも、それこそルッキズム満載だし、結婚してハッピーエンド!は2023年の現代ではなかなか通用するものではないから、そこをどう乗り越えるか、乗り越えたうえでどう『リトル・マーメイド』とするのか私はほんとうに楽しみ~♪
まあ、何があっても曲がアラン・メンケンである以上、信頼はあるし価値がある。

結局、多くの日本人の美意識というか美への感覚は幅の狭い固有のものであって、ただそれに反するから黒人起用がとくに受け入れられないんだろうなと思う。それは仕方のないことだけど、でもそれにそれっぽい理由を付けて差別じゃないと唱えても意味がない。

シンデレラだってアニメ版と比べたらかわいらしい顔すぎてなんか幼い気がしたし、ドレスも違うし、蝶々つきすぎだし、髪の毛ふわふわすぎるし、イメージ通りだった!っていうより、ただみんなの頭の中にあるイメージ(主に見た目)からかけ離れすぎず、かつ日本人の美しさの基準の規範内だからよかっただけなんじゃ?とは思ってしまう。

アリエルが日本人だったとしてもいやだ!っていう人もいるけど、たぶんそうだったとしても、なんだかんだ違う、コレジャナイ!とは思いつつ、喜ぶし、かわいい!とか言う気がする。たぶんね。
そうだとしたら今回の黒人起用ほど批判しなさそうだから、結局のところ今回のは人種差別の一部だろうし、やっぱルッキズムつよいな~って思う。


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