エネルギー安全保障と原子力


はじめに

 2022年のロシアのウクライナ侵攻、2023年のアゼルバイジャンによるナゴルノ=カラバフ侵攻など世界情勢の不安定化が進行する中、石油価格は上昇し、電気代やガソリン代が高騰するなど庶民の生活に影響が及んでいます。
 一方で東日本大震災以来、日本のエネルギー安全保障政策は遅れをとっていると言わざるを得ません。
 左派勢力によって難しい課題を突きつけられ、原子力産業は風前の灯とも言える状況に陥っています。
 そこで私は日本における原子力の必要性を議論すべきだと思い、右派・保守派のための導入的なテキストを書くことにいたしました。

エネルギー安全保障は何を保障するのか?

エネルギー安全保障と言った時に多くの人はシーレーン防衛や輸入などを考えますが、実際何を保障するのか?考えた事はあるでしょうか?
個人的な意見ではありますがエネルギー安全保障は「日本国民及び法人ならびに外国人居留者が日本国内で必要な時に必要な量のエネルギー資源(燃料・電気)を自由に購入し使用する権利」を保障する日本政府の施策です。
簡単に言えば、我々が普通に生活するために必要なエネルギーを国が責任を持って供給するために様々な施策を行いますと言う日本政府の政策です

例えば
・暑ければ冷房を動かして涼しく
・寒ければストーブを焚いて暖をとる
・1日の疲れを癒すために風呂を沸かす
・暇な時にテレビを見る
・スマートフォンの充電
・電車や自動車を用いて通勤する
など、我々が普段の生活を行う中で無意識のうちに用いているエネルギーですが、現在もその多くを外国からの輸入に頼っている事はご存知のことでしょう。

エネルギー安全保障の施策

エネルギー安全保障の施策としては
・購買能力(価格交渉力)の維持向上
・加工生産能力の維持管理
・販売網の維持管理
・備蓄
・代替エネルギーの確保
・シーレーンの維持
が挙げられます。
これらは相互に補完しあっており、エネルギー安全保障を語る上で頭に入れておきたい項目と言えます。

日本のエネルギー安全保障の課題

・日本国内には需要を満たすだけのエネルギー資源が存在しない
・採掘可能な資源も存在するが他国と比べ採掘コストが高く競争力が低い
・国際情勢の不安定化による化石燃料の価格高騰に弱い
・中国の海洋進出や台湾有事の可能性などによるシーレーンの安全が脅かされている
・電力自由化による再エネ業者の乱立と強制買取制度により電力の不安定化が進行しつつある
・地球温暖化により化石燃料の使用による二酸化炭素排出をなるべく抑える必要がある

日本のエネルギー問題は輸入に依存し切っている状態です。商社による海外での資源開発や海運業による船舶による輸送によってエネルギー資源の調達を続けていますが、台湾有事などによりシーレーンが遮断された場合、ルート変更を余儀なくされたりすることで価格が上昇、我々の財布を直撃する可能性があることは確かだと思います。

日本の電力エネルギー構成の問題点と解決策

・火力発電依存度が高い
・地球温暖化ーー二酸化炭素排出問題
・再エネ自体が持つ不安定性

火力ーー輸入の安定と汚染物質の排出をどう抑えるか

輸入の安定には調達先との関係維持(外交)と備蓄が基本となります。このためシーレーンの安定と地域リスク分散のために様々な国と通商交渉が必須となります。
また火力の逃れることのできない宿命として、燃焼に際して起きる排気や灰などの処理を如何に行うかが課題と言えます。
排気処理に関しては、現在行われている脱硫、脱硝、集塵などの機器によって、一定の効果を上げており、回収した物質の適切な処理が行われれば環境問題はクリアできます。

エネルギー安全保障における原子力の役割

エネルギー安全保障の施策の中で原子力に求められている役割はシンプルです。
・安価で大容量のベースロード電源として電力の安定供給
・原子力発電による石油や天然ガスなどの化石燃料の依存度を下げる
・地球温暖化防止への寄与

原子力利用のメリットデメリット

メリット

・他のエネルギー資源の価格交渉力向上
・化石燃料への依存度低下、それに伴う二酸化炭素排出量の低減
・電気料金の低減
・地元企業ならびに原子力関連企業における雇用の創出による失業率の低下
・原子力、放射線関連産業の隆盛による研究開発の活発化

デメリット

・事故・災害に対する安全性への懸念
・事故等による放射性物質の漏出、汚染
・放射性廃棄物の取り扱いに対する懸念
・核兵器転用

左翼が原子力施設の建設や運用に反対する理由

 個人的な考えとして、左翼が原子力施設の建設や運用に反対する目的は「日本における資本主義、自由主義社会の発展の阻害」と考えられます。
 左翼勢力はこれまで彼らが権力を奪取したい国家の不安定化を狙い、支持を拡大し、体制を転覆させて、権力を奪取してきたことを考えると、原子力施設の建設や運用によるメリットは左翼勢力にとって都合の悪いものがほとんどです。
 そこで原子力施設の建設や運用を阻害するため、デメリットを利用して不安を煽ったり、風評加害を行ったり、環境活動や平和運動に擬態して反対運動を行ってきました。
「原子力は危険で恐ろしい」と言うイメージを植え付けることで、広島、長崎の原爆、チョルノービリ(チェルノブイリ)、福島第一原発の事故などを想起させ、嫌悪感を増幅させてきたことは明らかです。

まとめ

ここまで日本におけるエネルギー安全保障と原子力について述べてきました。
・日本のエネルギー安全保障には原子力が必須
・将来のエネルギー産業を担う人材育成の必要性
・他分野との協業(水素利用、人工燃料のエネルギー源)
・地球温暖化による影響の軽減
日本の原子力産業を復興させ、研究開発投資を加速すべきだと私は考えます。

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