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愛知リコールの諸問題まとめ その2 何故烏合の衆はバラバラになったのか?――愛知リコール運動へのレクイエム

はじめに

愛知県知事リコール運動は失敗に終わりました。
ただし、運動に関わった人々からまともな反省が為されておらず、お互いに糾弾しあう状況が続いています。

「自分たちは正しい」

「お前の方が間違っている」

「自分はお前を誹謗中傷するけど、お前は自分に対して誹謗中傷するな」

一年経ってもこの状況です。

件のトップは病気の治療と言ってリコールの話を全くしなくなりましたし、No.2だった事務局長は現在偽造署名の首謀者田中被告として裁判中。請求代表者は調査すると言っていましたが全然音沙汰無しです。

ボランティアを名乗っていた人々はほぼほぼばらけて、大村知事糾弾の意欲があっても効果的な成果を出せる状況ではなくなったと思います。
最盛期には数百人規模だったと思いますが、現状は十数人程度のクラスタだったり、孤立したり、緩いつながりで繋がっているような状況だと思います。

なぜそうなったのか? きちんと反省して、教訓(戦訓)として記録を残しておきたいと思います。

0. そもそもボランティアって何?

ボランティアの語源は、「志願した人」なんですが、王様や諸侯が持ってる常設軍(プロフェッショナルで給与が支払われる)とは違い、自分たちで武器屋装備を揃えて参加した志願兵と言われています。
ここで大事なことは志願兵も王様や諸侯の指揮下に入って、戦場で活動したわけでして、指揮官の命令に従わない場合、殲滅される可能性があったことは間違いないと思います。
実際、武装勢力なわけで、戦場に近い住民からすれば脅威であり、指揮官の許可なく町や村を占拠したり、物資や食料を強奪したりした時点で、反乱と見做されてもおかしくはないでしょう。

時は変わって現在、被災地における野良ボランティアが住民を巻き込んでカルト化すると言う問題が出てきます。
被災地支援のボランティアと言うのは本来、被災者が自立できるように様々な面での人手として、自力で生活できる体制を整えた上で被災地に入り、自治体に迷惑をかけないように被災者を支援、慰問したり、自治体の指揮下で支持された作業を請け負ってくれる人の事を指します。
被災した自治体にとっては、行政職員ではカバーしきれない細々とした作業を手伝ってくれる非常にありがたい存在です。
特に医療機関などが有志を集めてキャラバンを組んで被災地を回り、医療ボランティアとして無料での診察治療などを行う事で被災者のQOLを高め、自立につなげると言う活動はもっと知られるべきだと考えています。

こうして被災地からありがたがられるボランティアですが、中には被災者に寄生して支援物資や食料、寄付金を奪いながら被災者の自立を妨げる存在が野良ボランティアです。
ここでいう野良ボランティアは指揮命令系統のトップである自治体(市町村)の指示に従わず、勝手に寄付を募ったり物資を要求したりする上、被災者と共依存の関係を築き、被災者が自立できない状態を作り出して、被災者を被災者のままにしてしまうような存在です。
野良ボランティア、コミュニティを丸々のみ込んで、カルト化し、内内の論理で内部を統制し、外に向けては攻撃的な発信を続けることから非常に迷惑な存在であることはあまり知られていません。

具体的な事例は以下のまとめサイトでご確認ください

つまり何が言いたいのかと言うと、どんな愚鈍な指揮官であっても、指揮官の指示命令に従っている間はボランティアを名乗ることができ、指揮官の指示命令を受け入れない野良のボランティアは叛徒で反逆者で野盗や詐欺師とそう変わらない存在であると言う事です。

1. 元はと言えば

私たちは元はと言えば大村知事に対して反感を持つ人々の集まりであったことは確かで、ただただTwitterで意見交換をしていた間柄の人がほとんどで、積極的な右翼側の人もいれば、消極的な中道左派の人まで内包していたはずでした。
当時はクラスタ(集団)であって、組織ではなかったないと思います。
それに方向性を与えたのは、高須院長であることは間違いないし、直接請求自体も高須院長を中心とする請求代表者であったことは間違いないはずです。

そこに考え方に共鳴する人々が自然と集まってきて大きな集団になったとは思います。

2. 事務局側の問題

そもそもの発端は、どのような経緯か不明なところが多いですが田中被告が高須院長にうまく取り入り、事務局長に選任されたことです。これによって通常ならあり得ない、様々な問題が引き起こされたと言うのが私の見方です。
ようやく最近になって理解できるようになってきましたが、元から田中事務局長がリコールを利用して何かを企んでいたと思われます。
推測ですが、彼はリコールを利用して名声を上げ衆議院選挙での当選を狙っていたと思っていますし、リコールに失敗したとしても名簿さえ手元に残れば、選挙運動がやりやすくなったと思います。

通常なら、行政に提出する書類を作成するときに誤りや記載漏れが無いようにするはずです。
しかしながら彼らは「記載内容や押印の間違いなどを気にせずに署名用紙を発行する」「署名用紙が届かない」「署名用紙の発送が遅れる」「きちんとマニュアルを作らない」「署名の取り扱いについてきちんと調べない」「きちんとナンバリングしたものを提出しない」など、リコール活動に対するサボタージュ行為を行い、高須院長の意を受けて行動しているように見せかけて、実際は邪魔をしていました。

署名選管仮提出時に発覚し一部の急進的なボランティアが追求した偽造署名もまた問題ですが、既に司法が動いており、田中被告の裁判の動向を見守る必要があります。

高須院長自身の熱意は本物だったと思いますが、リコールの事務関係を田中被告に丸投げした結果がこれです。
それを実現すべき立ち位置の人間に裏切られていたことを鑑みると、高須院長の逮捕や収監は無いと考えていますが、リコールに尽力した人々に対してきちんとした謝罪がなされるべきだと考えています。

3. 署名期間終了後の混乱

高須院長の休戦宣言以前から保守系の活動家が水面下で何やら行っていたことは確かで、それがはっきりと動き出したのが岡崎での動きだと認識しています。岡崎に集まったボランティアとその支持者を急進派と呼称します。

高須院長が「休戦――これ以上署名を集めない」と宣言した後に署名を集めることを続行した人々――野良のボランティアの中心にはリコール活動以前から活動している急進派の人々がおり、複数人の請求代表者を巻き込むことで合法性をうたっていました。

私の個人的な意見としては、愛知リコールの会のトップは高須院長で、そのトップやHQの指示に従わない時点で反乱と見做すべきですし、少なくとも反乱に加担した請求代表者を除名すべきだったと今でも考えています。

「署名を法定数集められなかった」という事実に対して、「活動を続けて何とかやり抜くぞ」と言う自己満足的な思考が急進的リコール支持者の中で広まっていく中で、冷静に判断できる人は排除されていくことになります。

今までリコールを支持していた人々の中には「岡崎を中心とする署名活動を中止すべきだ」という声もありましたが、無視するどころか積極的に抗議していたように感じます。

一方で急進派の内部でも、それぞれの考え方の違いで摩擦が生じ、後々ネットでの中傷合戦の原因になったと見ています。

署名提出された後に、岡崎事務室の中心にいた人物がリコールのサボタージュ行為に関わっているのではないかと私がツイートしたらその周辺の人々からものすごい攻撃を受けたことを忘れてはいません。
また、最近の事になりますが、岡崎の人々を問題のある集団と表現したらかなりのバッシングを受けました。どんなに立派な人がリーダー格にいても、他人に対して誹謗中傷を加え、急進派内部の論理がまかり通るとばかりに攻撃を加えてくる状況では怖い集団だと見られてもおかしくはないと感じています。

急進派の中では未だに「急進派の私たちこそがリコール運動の主流派であった」「私たちの主張こそが正しい」「私たちはいわれのない攻撃を受けていた」という彼らの主観に基づく主張を続けていて、客観性を欠いており、人としてのモラルを失った行動さえ肯定している人も未だにいます。

4. 事務局側のボランティアと急進派ボランティアの対立

事務局内での作業に従事していたボランティアに対して、署名偽造に関わっていたのではないかと言う疑いをかけて糾弾していた急進派の人たちもいました。
警察等の捜査によって事務局で作業をしていたボランティアの人たちのほとんどは犯罪に加担していなかったわけですが、様々な噓の情報が流され、特定の個人を狙い撃ちした誹謗中傷が繰り返されたことは悲しむべき出来事です。そのほとんどがデマであり、一部の急進派の個人的な感情のもつれから為されたものがほとんどです。

さらに酷い事は事務局側のボランティアの個人情報がマスコミに流されたことです。取材と称して家に押し掛けたり、職場(飲食店)に居座ったりするなどモラルの低いマスコミによる迷惑行為を受けた人たちも複数人存在します。

5. モラルの低い愛国者たち

お隣の韓国では「愛国無罪」と言われ、愛国的な行為であれば何をしても許されるみたいな風潮があるようですが、日本の愛国者たちも「愛国者に非ずんば人に非ず」「愛国者なら許されるが、それ以外の人は朝鮮人のスパイなので許さない」と言った感じの差別的な言動やモラルの低い行動が散見されており、海外でも通用する日本人を目指していた私としては、非常に見苦しいなと感じていました。

いくつか例があるので挙げておきます。

1. 北名古屋高跳び事件

Yさんというチラシを作った人がいますが、その方が北名古屋に住む女性受任者Xさんとの署名集めのために北名古屋市の名古屋芸術大学アートスクエア(文化勤労会館)での署名会を複数の日にわたって企画をしました。
しかしながら、Yさん、Xさんの父親からXさんとの交際を認めてもらうために「政治活動を止める」こととなり、私の知人のAさんにすべてを放り投げて、どこかに逃げてしまいました。
まあ、このくらいならまだいいでしょう。
更に続きがあって、署名集めにおいて心強い味方であった請求代表者が北名古屋に来る予定が入っていたはずだったはずがYさんが勝手にキャンセルをして、Aさんにまったく連絡を入れなかったことがありました。
Yさん、署名活動が一段落したころにXさんのお父様には内緒で政治活動を再開、私が当時いたグループチャットからAさんを追放して勝利宣言をするなど、かなり自分勝手な行いをしました。

2. ストーカー行為に走る人

恫喝したかったのでしょうか、受任者やボランティアの個人宅を突き止めて、郵便物を抜いたりした人がいた模様。

3. マスコミに個人情報を流す人

被害者が複数人いて、マスコミから電話がかかってきただけではなく、自宅に押し掛けられたり、勤め先に居座られるなど、日常生活に支障をきたすような取材を受けた方もおりました。
ほとんどの人たちがマスコミに連絡先を教えたわけではなく、漏れたとなると受任者の個人情報に接することができる人だと思われます。

4. 他人の食事を貶める人

ある政党支持者たちが集団で、元受任者がTwitterにアップした、飯テロ画像をくさしてたこともありますが、立候補していた候補者から注意されるなどしても嫌がらせを止めないなど、どんどんエスカレートしている気がします。

5. 手柄を横取りする人

署名期間中に西三河のある街にて開催された事務局公式の署名会、準備をしていた人たちが準備を終えた所に、ある愛国者さんが来ていきなり、いきなり仕切り始めて……と言う事があったと聞いていて、それやっちゃいかんやつやと頭が抱えた記憶があります。
どうも下働きする人たちへの敬意ってのが無い人が存在するのではないかと思った事例です。

集団にしろ個人にしろ愛国者と名乗っているがモラルは低かったと言うのが私個人の印象です。排他的で、同じ日本人でさえ敵と見做せば(ネット上ですが)集団で襲い掛かってくるような人たちでした。
愛国者以前に日本人として人間としての何かを置き忘れているとしか思えません。
私個人の意見ですが「皇室への敬意を忘れず、国の行き先を憂い、為すべき事を為し、人の和を尊び、誠実に人に接し、寛容と忍耐、そして優しさと強さを併せ持った人間」という理想とする日本人像からはかなりかけ離れていると思います。

このままでは「愛国者=モラルの低い野蛮な差別主義者」と言うレッテルが貼られる日もそう遠くないと感じています。

6. そしてバラバラになる

停戦宣言以降、呉越同舟は終了になり、それまで目立っていなかった派閥が立ち上がってはどんどん細分化していったと思います。

そんな中で、岡崎の急進派もどんどん考え方の違いで分裂していきました。積極的に攻撃を仕掛ける人、ふざけて他人をもてあそぼうとする人、他人の発言の上げ足を取って批判する人、シューティングゲームのオプションの如く誰かの後ろから援護射撃どころか殴ってくる人。

たぶん今は十人以下のグループが何個もあってと言った感じでしょう。

7. 考え方の違う人間を如何にまとめ上げるか?

私はリコール後にとある請求代表者さんに向けて問題点を列挙した報告書を書いていたのですが、その中でリコールを成功させるためには「署名希望者のための道をきちんと整備する事こそ肝要」だと考えていました。
その実現のためには多くの受任者や県外からのボランティアが、一つの目的(リコールの成功)のために協力する大きな組織が必要だと考えました。

なぜ自分が大きくまとまった組織にこだわるか? 
→多くの支持者を集めることが必要だったこと、次のステップでの住民投票(信任投票)で過半数を超える賛成が必要だったことを考えると、街宣やポスティングで協力してくれる人が一人でも多く必要だったからです。

そのためには、やはり規律が必要だったと思っています。
軍事で言うモラル――士気を一定以上に保つと規律ある行動を遵守するための心の余裕ができて、兵士や士官による犯罪で戦地が必要以上に荒れることが少なくなるのはよく知られています。
そのためにはある程度の報酬と娯楽(慰問など)を用意するのが重要だったりするわけです。(この話はまた別の所で書いた方が良い気がしてます)

規律と言っても、だいたいこんな基本的な事です。
・上位者の指示命令に従う※1
・各階層の役割をきちんと果たす※2
・誰に対しても、攻撃や誹謗中傷を行わない※3
・売名目的での活動は控える※4
・署名は集めるものではなく、書いていただくものだという意識の徹底

※1 合理的な指示である限りはと言う但し書きは必要で、不必要な独断専行を許してはならない
※2 受任者の役割は署名を集めることなので、署名を集めるため以外の行動は慎むべき
※3 リコール対象であった大村知事やリコール反対派に対する攻撃を慎むとともに、賛成派内部での権力争いで他人を貶めるようなことをしない
※4 売名者の利益誘導行為が散見されていて、後々まで響く禍根となったので、絶対にやめた方が良い。あと活動を一生懸命やった人は自然と評価されるし、ダメなことやれば批判されるのは当たり前です

個人的には、
支持者を増やす
→その中から熱心に受任者として働いてくれる人が出てくる
→受任者が署名を集めたり、さらに受任者を増やす

という流れを作り上げるべきだったのではないかと思っています。
そのためには幅広い考え方を受容できる人が必要で、排他的な考え方をする人たちを除外した方がよかったのではないかと感じています。

まあ、事務局にボランティアをまとめる気が無かったこと自体も問題ですし、高須先生や田中被告以下事務局がボランティアを信用していなかったとも感じていました。
正直これに関してはどうしようもないというか、意図的と言う話もあるので、今回は割愛します。

また、広報の弱さが目立ったことから、広報戦略を立てて動ける人確保しておくことも必要だと感じました。
具体的には責任者を一人置いて、動画での発信、リコールの意義や背景問題等を説明する有志によるブログやウェブサイトを整備することも必要かと思います。

まとめ

津軽衆の自分としては「リコールに参加した愛知県民は利己的な人が多い」印象です。その上、「自分がどうしたいこうしたいが先で、他人のために何かをやると言う人は少ない」と感じています。
そう言った中でリコール活動では多種多様な人々をまとめ上げて、一つの勢力に整える必要がありました。
高須氏の強力なカリスマ性は署名期間の二カ月を何とか皆の協力で乗り越えるには足りましたが、田中被告らに上手く利用された感があります。

リコール活動で私が感じたのは、リーダシップを発揮できる人が少ないのと同時に、フォロワーシップ(追従する人の心得)が無いように感じています。
また、気になったのは、奉仕者としての意識の薄さです。
ボランティアとは一体何なのかの項で書いたように、自分勝手に戦いに参加して、気に入らない人を攻撃するのは、まっとうなボランティアとは言えないでしょう。そんなのはただの利己的な人間の取る行動です。
ボランティアとして活動するなら、他人のために働くという意識無しで働くことはできません。誰かを助けようとか、困っている人に手を差し伸べようとか普通はそちらの方が先に来るはずです。
自己主張を抑えて、誰かのために働くのが本来のボランティアの在り方のはずなのに、それができない人が多かったと思ってます。

今後このような活動を行う場合、どうすればいいか、終わってから対策考えてます。この話についてはまた後日、noteに書きたいと考えています。


有料部分ですが、私個人の反省文です。

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