愛しき2年間のまわり道
誕生日の時期になると、2年前のデンマークの思い出話に花が咲く。
はたから見れば、「フォルケホイスコーレを日本につくりたい!」と言いながら2年間もよくやってるなあと思われるかもしれないけど、
ゆとりでちきんなわたしたちにとっては、大事な、じんわりと覚悟を決めるための時間だった。改めて2年間の過ごした時間を愛おしく思う。
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2年前の今日、かおるよりも数日前にオランダ入りしてふらふらと、本当に文字通りふらふらとしていた。オランダの学校見学をしようにもちょうど休日で(どおりで学校アポがとれないわけだ)、目的がなくなった私は、とりあえずアムステルダム駅でもらった赤いマップを握りしめて、近くの観光スポットを回り切ったが、なんだかしっくりこなかった。
思えば、まだ東京のせわしなさと自分を切り離し切れていなかったんだと思う。アムステルダムの明るくて穏やかな街並みに、頭は仕事モードの私は全然馴染んでいなくって、むりやり観光写真に合成されたような違和感がどこに行ってもあった。
次の日は「なんとなくよさそう」で適当に選んだ、水車がたくさん見える気持ちの良い草原についた。ちょっとした観光名所だったようで、家族連れの多国籍な人たちが建物の前で立ち止まったり流れたりしていた。
その流れになんとなく沿っている自分に気づいて、人の流れを逆流してみたくなって土手からすとんと降りた途端、しっくりくる感覚がつちふまずにじーんとやってきた。
不思議だけれどその瞬間から、草の匂いや家族の会話、歩くときに感じる土の感覚と空の色がぶわっと私の中に流れ込んできて、
「忙しいからあとでね」としばらく自分が知らず知らずのうちにシャットダウンしていた感情や情景が、コトリ、コトリ、と落ちてきた。
そこからひたすらそのコトリと落ちてきたものたちをほどいて、紡ぐ作業。
あれは辛かったなあ、とか、本当はこういうことを伝えたかったんだよね、とか、自分ってこういうときに哀しくなるのはなんでだろう、とか、嬉しくてたまらなかった瞬間とか。歩きながら、ぼーっとしながら。
そんでもって、誰かにこの気持ちを聞いてほしくなって、デンマークから合流した香にすぐにまくしたてるように話したっけ。笑
ゴロゴロ重いスーツケースを転がしながら、デンマークの茶色くておしゃれな街並みをそっちのけでひたすら話していたことを覚えてる。
そこから2人で旅して、
フォルケホイスコーレやデンマークの人々に会って、
衝動が生まれて。
**********************************この2年間は、オランダでの草原の時間に似ている。
はたから見たら、草原を歩いたり、湖面をぼーっと見つめていたり、何をしているんだろう?と思われるかもしれないけど、
じっくり二人で大事な価値観を熟成してきた愛しきまわりみち。
8月末に北海道の東川町で自分たちなりの勝負の企画を実行してみて、
衝動が強くなって、あらためてたくさんの学びと決意が心の中に。
(この詳細はまた今度!)
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こんな感じでまわり道を最高に楽しめる相方がいる限りは大丈夫だなあと思った29歳の誕生日でした。(saki)
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