ブックパッケージャーって?

 羅針舎の主体業務はブックパッケージャーです。

日本の出版業界で働く人でも、正確な定義をちゃんと知っている人は少ないんじゃないかと思われるのが、このブックパッケージャーという職種です。簡単にいうと出版企画営業+版権エージェント+編集製作をワンストップで行う人。出来上がった商品(完成書籍)は、すべて発注先の出版社に全数買取で納品され、私は自分の在庫を保有しません。事典、アート・カルチャー・歴史・自然科学・地理など、ノンフィクションのビジュアル書分野の書籍を製作するケースが多いです。そして、私の場合は、仕事の8割が欧米出版社への企画営業・制作です。

 米国で活動している出版関連団体にInternational Association of Professional Writers & Editors(略称IAPWE)というところがあり、このサイトにブックパッケージャーとは何者なのかを解説している記事(An Introduction to Book Packagers)が出ています。とてもよくまとまっているので、日本語訳をご紹介しますね。

原文リンク
https://iapwe.org/an-introduction-to-book-packagers/
(以下訳文)

 ブックパッケージャーは、出版業界で働くライターや編集者にとって、自分が温めている企画を実際に出版物として世の中に出すための新しい方法を提案してくれる存在です。商業出版社は一般読者が書店で購入する本を発行し、販売します。ブックパッケージャーは独立した法人で、商業出版社のために発行書籍を現物として作り上げ、納品するのが主な仕事になります。現在では大小様々の規模の商業出版社が、自社ブランド商品拡充のために、パッケージャーが提供するサービスを利用しています。

ブックパッケージャーの始まりは英国から
 Chanticleer Press社のPaul Steiner(1913-1996)という人が成果物として完成書籍をアメリカの出版業界に提供したのが「ブックパッケージ」の始まりと言われています。Chanticleer Pressは英国の出版社の子会社としてスタートし、1952年に独立しました。代表のSteinerは、それまでの出版社が自前ですべての製造過程を管轄していく方法に、新たな道を切り開いた出版人として知られています。

ブックパッケージャーの仕事
 制作のプロセスをどこまで担当するかは、クライアントとなる出版社の関係性によっても変わりますが、多くは出版社の名前が入り、印刷・製本が完了した書籍を出版社指定の倉庫に納品することを主業務としています。レイアウトまですべて出来上がった状態で印刷ファイルを担当編集に納品し、出版社が印刷・製本を手掛ける場合もあります。

出版社がブックパッケージャーと協働する理由
 ブックパッケージャーが提供するサービスの恩恵を受けている出版社の数は増えています。大手出版社は彼らが編成する制作チーム(社外)に制作を委託できるので、自社スタッフのリソースを利用しなくても、アートなど大型企画を出版ラインに取り入れることができます。スタッフの数が限られている小規模出版社はブックパッケージャーの開発する商品を取り込めるので、出版点数を増やすことができます。前述のChanticleer Pressがこの出版メソッドを開発したおかげで、ビジュアル実用書の出版点数が飛躍的に伸びました。

ブックパッケージャーが輝く分野
 ブックパッケージャーが開発した書籍の中でも、National Audubon Society著のField Guideシリーズ、Andrew Greeley著のThe Cardinal Sins、ニューヨーク公共図書館著のDesk Referenceシリーズなど、図版が豊富で情報がふんだんに入っている決定版資料書として版を重ねています。現在では様々な分野の出版物がブックパッケージャーによって制作されていますが、中心となるのは、ノンフィクションの実用書。アート、デザイン、ポップカルチャー、クッキング、ライフスタイル、ダイエット、育児などテーマは多岐に渡ります。

どんな仕事なのか、イメージできたでしょうか?私は出版社在籍当時からこの業種に携わっており、多くのプロジェクトを創出してきました。これからも、国籍・知名度を問わず多くの著者候補者と巡り合い、1冊の本を共に作り上げていきたいと考えています。

現在私のWebサイトを制作中です。出来上がったらこのnoteでもお知らせしますので、是非見てみてください。上で説明していることが、具体的な形になったものをご覧いただけます。

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