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ことのはいけばな 大雪 第62候『熊蟄穴』

睡眠の計画
空間の眠り

*冷え屈む コンクリートの 角質層 打ち寄せ削る 音の波かも
*頑なに 屈む体を 突き崩し 現れ消ゆる 花の景色か
*レクイエム 夜の帳の 白シーツ かすかな音に 漏れる幻燈
*レクイエム 地層かさなる 音曲の さらさら砂の こぼれて寄せる
*まぼろしの まばゆさばかり まなかいに 消え失せてまた 真砂のように

*ぼんやりと 揺蕩うのには 冷たすぎ あっちの壁に こっちの柱
*あくがれの 離れぬように どこかから 壁塗りこめて しーっという声

睡眠の計画
セラピー

*翳す手に 触れる背中に 音の波 安らかなれば 優しくなれよう
*目を閉じて 軽く揺らいで 羊水の 冬至の祭 光とどけば
*身を起こし ふわふわのまま 目を開けて みどりなす世に 生まれ出たり

月の記憶
*銀月の 記憶の地平に 昇る頃 音の渚で 素足の無限
*砂を盛り トンネルをほり 川つくり 無限の音の 包むすべてを
*すべすべの 手を思い出し 切なくて 光零れる 眩しさはもう
   

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