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情報社会における分断と行動の重要性:大伴さんからの学び

こんにちは、コンパス通信スタッフです。
先日開催された「多様性を味方にする ~ 共感する力 ~」イベントで元公安捜査官の大伴さんから、SNSが社会に与える影響や、選挙・メディアの事例を通じて分断の要因を考察する機会がありました。また、未来をより良くするためのヒントがたくさん散りばめられた内容でした。今回はそのポイントを整理してお届けします。

大伴さんのプロフィール
警視庁公安部、内閣官房内閣情報調査室などでの重要な責務を歴任し、今も日本の安全保障を支え続ける。


SNSが生む分断とその背景

2023年は「選挙イヤー」と呼ばれ、多くの国で重要な選挙が行われました。特筆すべきは、SNSが選挙結果に大きな影響を与えた初めての年であったことです。SNSでは短文や刺激的な表現が拡散されやすく、分かりやすい二項対立の構図が形成されがちです。

たとえば、兵庫県知事選では、SNS上で拡散された情報によって、それまで勝利が難しいとされていた候補が当選するという現象が起きました。これは既得権益を改革するストーリーが多くの支持を集めた結果でもあります。こうした事例はSNSの影響力を再認識させるとともに、情報の取り扱い方におけるリテラシーの重要性を示しています。

ディープステートと情報リテラシー

イベントでは、「ディープステート」という言葉についても触れられました。この言葉は、アメリカ政治で頻繁に議論される用語で、目に見えない勢力や既得権益を指します。これは社会や政府の構造を理解する上での重要なテーマでもあります。

私たちが日々目にするSNSや既存メディアには、それぞれ偏りがあります。SNSには嘘や誇張された情報が混ざりやすく、既存メディアも完全に中立ではありません。新聞によっては左寄り、右寄りといった論調の違いがあるように、メディアというものは人が介するため、それぞれの情報には何らかの意図が含まれています。

たとえば、同じ事象を報じる場合でも、書き方ひとつで読者の印象は大きく変わります。

  • 「落ちる可能性があります」

  • 「限りなく落ちる可能性は低いです」

1つ目の表現は刺激的で不安を煽りやすく、注目を集めやすい傾向があります。このように情報が発信される際の意図や背景を理解することが、情報リテラシーの第一歩です。

重要なのは、「情報が真実かどうか」を判断するだけで終わらず、「なぜその現象が起きたのか」を深く考えることです。たとえば、トランプ元大統領が「ディープステート」に繰り返し言及する背景には、既得権益への批判や、それを変革しようとする動きがあります。こうした視点を持つことで、情報の裏にある構造や文脈を理解する力が育まれます。

行動することの価値

写真: canva.com/gettysignature


分断や誤情報が広がる現代において、「行動すること」の重要性がイベントで繰り返し語られました。情報が溢れる中、ただ考え続けるだけで終わらせるのではなく、小さな一歩を踏み出すことが、分断を乗り越え未来を切り開く鍵となります。

たとえば、地域社会で助け合えるコミュニティを作ることや、家庭や学校で情報リテラシー教育を進めることが挙げられます。こうした具体的な行動が、社会の改善につながる大きな力を生み出します。また、陰謀論やデマに惑わされるのではなく、「どのような社会を目指したいのか」を考え、そのビジョンに向けた行動を積み重ねることが求められています。

情報の海に飲み込まれるのではなく、自らの意志で舵を取り、「自分に何ができるのか」を考え、行動する。その積み重ねこそが、分断を乗り越え、共に歩む未来を築く力となるのではないでしょうか。

Q&Aセッションからの学び

イベント後半のQ&Aセッションでは、参加者からの多くの問いが寄せられました。その中で特に印象的だった質問と回答をいくつかご紹介します。

格差社会への対応

「格差社会が広がらないために個人にできることは?」という問いが挙がりました。この問いに対し、日本では寄付文化があまり根付いていない背景や、「行政が解決すべき問題」と捉えられがちな風潮が指摘されました。

しかし、ただ行政に頼るだけではなく、地域社会での助け合いが格差問題への重要なアプローチであるという意見が共有されました。特に、お金を与えるだけでは根本的な解決にはならず、自立を支援できる環境づくりが鍵であるとされています。

さらに、人と人がつながり、助け合えるコミュニティの形成が、真の「幸せ」を生み出す基盤になるという視点が示されました。経済的豊かさだけでなく、他者とのつながりや相互支援の中に幸せを感じる人も多いのではないでしょうか。そういった価値観の転換と同時に社会の仕組みを作りが必要ではないでしょうか。

SNS利用の規制

「オーストラリアでは16歳以下のSNS利用規制をするそうですが、日本ではSNSの規制や教育をどのように進めていけばよいでしょうか?」という質問がありました。この背景には、人間が苦痛に対する耐性を持つ一方で、快楽に対する耐性が未発達であることがあります。特に若年層は、快楽を制御するための理性が十分に育っておらず、自らブレーキをかけることが難しいとされています。年齢を重ねるごとに理性は発達するため、この規制には一定の効果が期待されます。

一方で、日本ではSNSの利便性が非常に高く、生活に密着しているため、オーストラリアのような利用規制を実現するのは難しいという指摘がありました。また、日本は海外から導入された技術や文化を発展させるのが得意な国でもあるため、SNSについても完全な規制は行われず、一部規制にとどめ、むしろ活用の方向に進む可能性が高いと言えます。

最善策として、SNS運営会社が自主的に規制を設けることが望まれますが、それが難しい場合は、家庭や教育現場での情報リテラシー教育を強化することが現実的な解決策として提案されました。これにより、若年層がSNSを正しく理解し、健全に利用できる環境を整えることが求められています。

余談ですが、国によって人の精神的成熟度には違いがあると言われています。オーストラリアでは16歳で一定の判断力を持つと考えられる一方、他の国では18歳を基準とする場合もあります。驚くべきことに、日本では精神的成熟度が30歳を超えてから完成するとされることもあり、「日本人は幼稚性がある」と指摘されることがあります。この点を踏まえると、日本では特に慎重かつ柔軟な取り組みが必要になるかもしれません。

次回以降のイベント予定

次回のイベントでは、皆さんお待ちかねの「インテリジェンスの真価」に焦点を当て、社会との関わりや「見抜く力」について掘り下げていきます。ぜひ、次回もご参加ください!

12月のイベント「社会との関わり / インテリジェンスの真価 ~ 見抜く力」
日時:12月17日(火) 20:00 - 21:00
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今後の開催予定

  • 12月17日(火) 社会との関わり / インテリジェンスの真価 ~ 見抜く力

< 2025年 >

  • 1月21日(火) リーダーシップとマネジメント ~ 任せる力 ~

  • 2月28日(金) リーダーの役割 ~ 理解する力 ~

  • 3月18日(火) 先人たちの智慧 ~ 知る力 ~

  • 4月15日(火) 自己成長の鍵 ~ 話す力 ~

  • 5月20日(火) 存在価値とは ~ 感謝する力 ~

  • 6月17日(火) 判断基準と思考 ~ 考える力 ~

  • 7月15日(火) 日本文化・精神文化 ~ 感じる力 ~

  • 8月19日(火) 未来を創る ~ 行動する力 ~


このイベントレポートは、イベントに参加できなかった方にも届けたい!という想いで書いています。皆さんからのスキ、コメントが大きな励みになっています。
いつもありがとうございます!

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