読書ノート「説教したがる男たち」レベッカ・ソルニット著

 言葉の力がすごい本。
「マンスプレイニング」という言葉に興味を持って、それを作った人、というのを聞いて本屋で見つけて買った本。そんな微妙な概念、よく言葉にしてくれたなあという尊敬もあった。文章はかっこよくて、さばさばしてて、統計的なものをたくさん提示してて、潔い。こういうひとの力強いことばが人の心動かして革命とか運動につながっていくんだなあと感じた本。
 
 読んでみるとどうやらその言葉自体を作ったのは彼女ではないとのこと。そのもとになるエピソードがこの本の中に書かれていた。

 前半は少しユーモアがあって皮肉っぽい彼女のエピソードから始まり、そういう女性蔑視のような、女性の地位を落とすような考え方が、女性への暴行事件、レイプ、セクハラ、殺人事件ともつながるのだということを統計をもって示している。アメリカをはじめ世界では驚くくらいにレイプやドメスティックバイオレンスが今も起こっている。そこでもやっぱり傍観者、既得権益がそれに加担していることがわかる。

 中盤はヴァージニアウルフについての論考がかっこいい。特にスーザンソンタグとウルフとのかんがえをからめて書いている内容がかっこいい。ソンタグは「洪水のようなイメージを浴びて理解していると思い込み、苦痛に対して無感覚になるのではなくて、闇や未知のものや知ることの不可能性を受け入れるべきだと訴えているのだ。」だって。

 後半は「言葉は武器になる」ということ。概念に名前がつくことで力が付き抵抗する武器になっていくということ。ドメスティックバイオレンス、フェミニズム、ミソジニー、レイプカルチャー、マンスプレイニング。
 「猫は袋から出て、精霊はランプの中には戻らず、パンドラの箱は開いたままだ。後戻りはでいないのだ。」

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