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鮮やかなイメージ: Latesummer Sunset

視覚的なイメージに基づいて曲を作ることがけっこうあります。今日紹介する2014年8月12日生まれのLatesummer Sunset(CNo4)は、そんな曲のひとつです。

DTMを開始して初めての夏に作りました。夏休み、遊び疲れて気だるい、でも高揚感の残ったまま海辺を車で走っている、といったイメージです。夕焼けであたり一面オレンジ色に染まっていて、ちょうどSoundCloudの写真のような鮮やかなイメージです。特定のシーンではなく、10代の頃の、ちょっと大人に憧れていた頃を思い出して作りました。

私はわりとよく夢を見る方ですが、夢は自分で見ようとして見るわけではなく、脳内または外から何らかの刺激を受けて生じる、いわば受動的なイメージです。それに対して「想像する」は、自ら見ようとして積極的に思い起こす能動的なイメージです。

最近、目の前にないものの視覚的なイメージを想起することのできない、「アファンタジア」と呼ばれる人々がいることを知りました。目を閉じて、今ここにいない恋人の笑顔を思い浮かべようとしても、目を閉じたら真っ暗なだけ、といいます。夢を見ない人や鮮やかではない人が多いようですが、夢なら見ることができる、という人もいます。ということは、アファンタジアとは「能動的にイメージすること」の障害が基本なのでしょう。

イメージすることの得意な人とそうでない人がいるだろうというのは漠然と想像していましたが、生まれつき極端にイメージできない人がけっこういるということが分かってきました。Zemanら(2015)がアファンタジアと命名してから、私もそうです、と名乗り出る人が増えたのです。日本ではそれほど知られていないようですが、このnoteでも当事者の方がいらっしゃるようです。勉強させていただきます。

学校教育でも社会生活でも、当然視覚的イメージをみんなができるものとして組み立てられているものが多く、さぞかし大変だったのではないかと想像します。私も学生にイメージするよう促してきたので、つらい思いをした人もいたかなと少し反省しています。ただ当事者の話では、視覚イメージ以外の方法(言語など?)で認識しているのでそれほど困っていない、という方も比較的多いようです。また、聴覚や触覚など他の感覚イメージもできない人、視覚イメージだけができない人、と様々なようです。考えてみたら、ある曲を思い出して歌う、というのも聴覚の能動的イメージですね(^^)

当事者の話は翻訳された本で詳しく知ることができます。

学術的に勉強したい人のために論文も紹介しておきます。

Zeman A, Dewar M, Della Sala S. Lives without imagery -Congenital aphantasia. Cortex 2015; 73:378-380.

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