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スポーツをもっと身近に

オリンピック・パラリンピック、ワールドカップ、世界選手権。世界のトップアスリートがしのぎを削って頂点を目指す。そのための準備期間は、想像を絶する努力がある。そこに我々は感動を覚えて応援し、勇気をもらう。これがスポーツの魅力である。やる方のアスリートはもちろん、達成感という言葉では片づけられない世界があり、そこを感じることができるのはほんの一握りだと思う。多くの方はそれを観る側に回り、少しでも自分と重ね合わせてその後の人生の後押しになったり、夢の実現へのきっかけになったりしている。そこまでならなくても日々の自分へのちょっとした元気の足しになる。

スポーツの力はこれだけではない。どんな力があるのか?勝ち負けの世界でもなければ、自分を追い込むストイックな世界でもなく、人々に感動を与えるものでもない。スポーツは身近な部分にその力がある。スポーツはアスリートのためだけにあるわけではなく、我々にも多大な力を発揮してくれる。スポーツをアスリートたちのような価値観で考えることは野暮であり、そんな壁は乗り越える必要もない。日常生活にスポーツを採り入れることでものすごいパワーを発揮する。どのような効果があるのか?キーワードで言うと「笑顔」「元気」「活力」「浄化」「前進」「仲間」「相互理解」といった感じだ。会社の人間関係やストレスが少なくなり、逆に同じスポーツを志す仲間ができる。自然と笑顔が増え、元気になる。人とのコミュニケーション能力が高まる。前に進めるのだ。どんなスポーツでもいい。仲間と笑いながらできるスポーツに出会えれば上記のキーワードを感じる毎日になる。

課題はある。そういうスポーツの現場を提供しているところが少ないということだ。例えばフットサルを例に挙げてみる。フットサルは都内の色んな場所にフットサルコートがあり、個人でも参加できるところがほとんどだ。参加のハードルは低いように感じるが、経験者でないと厳しい。初心者参加歓迎と書いてあっても実際は経験者で埋め尽くされているので、初心者がボールを持つ瞬間だけ空気が変わるという違和感が発生する。アスリートに憧れるフットサル経験者の集まりにすぎない。上記のキーワードを感じ取るところまではいかない。上記のキーワードを感じるためには年齢・性別を超えて同じスポーツに取り組むという場が必要になる。経験者であろうが、未経験者であろうが、瞬時にして場が和らぎ、スポーツを心から楽しむ時間を共有する。これを経験することができればスポーツは日常に入り込み、身近な存在になることで、その人の人生の手助けをするコンテンツになる。健康的にも良い効果をもたらす。スポーツの概念をアスリートがストイックに自分を追い込み、勝つことを目指す競技性の高いものとするのではなく、もっとシンプルに、仲間と楽しむレクリエーション性の高いコミュニケーションツールとして考えればその世界は見違えるほど変わってくる。もう一つ課題がある。この新しいスポーツの世界を成立するためには、それを演出するアクターが必要となる。「スポーツファシリテーター」と呼ばれるそのアクターの活躍によって、新しいスポーツの概念が成立する。私が運営するNPO法人スポコレはたくさんの「スポーツファシリテーター」が新しいスポーツの現場をプロデュースしている。この世界がもっと広がれば、人間関係に苦しみ、ストレスを抱える世界からの脱出を目指すことができる。この世界こそスポーツ本来の力を発揮できる場であると確信している。スポーツは勝ち負けではない。笑顔を共有するコンテンツである。



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