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「コマツ2年連続最高益 4~12月最終、来期も値上げ継続」に注目!

コマツ2年連続最高益 4〜12月最終、来期も値上げ継続 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

コマツが30日発表した2023年4〜12月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比31%増の3042億円でした。同期間として2年連続で過去最高を更新しました。北米や中南米などで建設機械の値上げが浸透したほか、円安も利益を押し上げました。足元で建機需要が頭打ちとなるなか、来期の増益確保のカギが収益構造の変革と値上げです。

売上高は10%増の2兆7949億円、営業利益は31%増の4534億円でした。増益の主因は値上げの浸透です。建機・車両部門の営業利益が1203億円増えました。値上げ効果だけで1015億円の増益要因になりました。

堀越健・最高財務責任者(CFO)は同日の決算説明会で「営業部門の意識が変わり、マネジメント層から強く言わなくても値上げを促すようになってきた」と話します。

コスト高を背景とした値上げはこれまで建機本体が先行しましたが、2023年10〜12月期は「本体よりも部品の値上げが強く影響した」(堀越CFO)。一般的に部品・サービスなどは本体より利益率が高いとされている。4〜12月期の連結ベースの売上高営業利益率は16.2%と、前年同期から2.6ポイント改善しました。

建機・車両部門では円安による増益効果も598億円ありました。2023年4〜12月期の平均為替レートは1ドル=143円台と、前年同期から約7円円安でした。原材料高が167億円、人件費など固定費増が301億円の減益要因になりましたが、値上げと円安効果で吸収しました。

2023年度の主要建機の需要見通しは前年度比10〜15%減とする従来予想を据え置きました。需要鈍化の見通しに変わりはありませんが、主力の北米では金利上昇が一服したことなどを背景に住宅建設向けで底打ちの兆しも見えるといいます。

米国で2021年にインフラ投資法が成立してから、コマツは代理店にレンタル用建機を積み増しています。不足気味だった北米代理店の在庫が適正水準に回復する時期について従来は今期末とみていましたが、代理店側の発注抑制があり「来期にずれ込む可能性が高い」(堀越CFO)。最終需要が仮に鈍化してもコマツへの影響は後ズレしそうです。

2024年3月期の業績予想は据え置きました。売上高は前期比3%増の3兆6600億円、純利益は4%増の3400億円を見込んでいます。QUICKコンセンサス(市場予想平均、29日時点)では純利益が3699億円と会社予想より約300億円多く、上振れ期待は大きいです。

コマツの建機・車両部門の売上高に占める一般建機本体の比率は今期予想で34%に低下します。代わりに利益率の高い部品・サービスは49%に高まり、安定的に稼げる収益構造に変化しつつあります。堀越CFOは販売価格について「今期ほどではないが来期も上がる」との見通しを示します。今後もコマツの不況耐性の強さが試されます。

コマツの利益率が高い部品・サービスについては伸びしろがなお大きいとのことです。コマツはエンジンなど基幹部品を補修して新品同様に再生する「リマン事業」に注力しており、顧客がどれだけ同社の再生部品を使ったかを示す補足率は約8〜9割と高いとのことです。特に部品製造の難易度が高い鉱山機械はコマツ製の純正品を使う割合が高く、アフターサービス需要を取り込みやすいそうです。

なお、小川社長は「部品は値上げを継続できる」と語っています。今後、建機需要が落ち込んだとしても、利益率の高い部品・サービスで顧客に価値を提供できるとのことで、今後のコマツに期待しています。