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「日立製作所、役員報酬1億円以上が34人 国内で歴代最多」に注目!

日立製作所、役員報酬1億円以上が34人 国内で歴代最多 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日立製作所は2024年3月期に1億円以上の報酬を得た役員が前の期から7割増え、34人でした。1億円以上の報酬開示が義務づけられた2010年3月期以降、国内企業では最多となります。日立は株主目線の経営を徹底するため役員報酬を株価に連動しやすくしており、好調な株価が反映されました。25日には時価総額が終値で初めて16兆円を超えました。

2024年3月期の有価証券報告書で開示しました。東京商工リサーチによると、これまで報酬1億円以上の役員が最も多かった国内企業は三菱電機で、2015年3月期と2016年3月期がそれぞれ23人でした。日立は今回、これを大幅に上回りました。2023年3月期に1億円以上の役員が最多だったのは日立で20人でした。

1億円以上の役員が増えた要因の一つは、財務指標の改善や株価の好調で変動報酬が増えたことです。1株利益や現金収支などが目標を上回ったほか、株価上昇率は2024年3月末までの3年間で2.8倍となりました。2024年3月期の役員報酬総額は約63億円と前の期比18%増え、そのうち変動報酬は約40億円(28%増)と6割強を占めました。

もう一つは、2024年3月期から執行役の報酬体系を改定したことです。役職が上位になるほど変動報酬の割合が大きくなるようにしました。例えば社長の場合は固定報酬と変動報酬の構成比を「1対2」から「1対3.2」に変えました。3年間の株主総利回り(TSR)成長率など中長期の成果反映の比重を大きくしました。株式報酬も増やしました。

制度改定の狙いは業績や株価と報酬の連動性を高め、中長期の企業価値向上につなげるためです。TSRの評価では、独シーメンスなど海外競合との比較を新たに始めました。優秀な経営人材を確保するため、グローバルで競争力のある報酬水準も意識しました。

取締役、執行役46人のうち、報酬が最も多かったのは送配電事業を担当するクラウディオ・ファキン執行役専務で9億円でした。日本人の役員では小島啓二社長の6億円がトップで、全体では3番目でした。

上場企業の役員報酬は増加傾向にあります。三井住友フィナンシャルグループは1億円以上の報酬を得た役員数が2024年3月期に17人と前の期の2.8倍に増えました。

背景にあるのは、成果に連動する欧米型報酬体系への移行です。東京証券取引所が旗振り役となって企業統治改革が進むなか、企業の役員は株主目線の経営が一段と求められています。人材の獲得競争が激化していることも高額報酬につながっています。

なお、トヨタ自動車の豊田章男会長の2024年3月期の役員報酬が16億2200万円で、トヨタ歴代の役員として最高額となったとの記事もありました。こちらは、2023年3月期の9億9900万円から62%増えたとのことです。

日立の日本人の執行役および理事(執行役に準ずる幹部層)ならびに一部のグループ会社の役員に対して、譲渡制限付株式を付与することや、日立の外国人の執行役および理事に対して、譲渡制限付株式報酬ユニットを付与しています。

これらは、記事にもある通り、在任時から株式保有を通じで経営陣の株主との価値共有を一層高めることで中長期視点に基づく経営を推進し、企業価値の持続的な向上に対するインセンティブとすることを目的としています。

なお、今回は2024年4月25日の東京証券取引所プライム市場における普通株式の終値の13,235円が発行価格となります。

経営陣がしっかりと成果を出せるような報酬体系で、株式価値を高められる取り組みを行っている日立に、今後も期待しています。

※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。