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「日立・ソニー、副業人材を相互受け入れ AIなど先端分野」に注目!

日立・ソニーグループ、副業人材を相互受け入れ AIなど先端分野 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日立製作所とソニーグループが2024年から相互に社員の副業を受け入れます。若手・中堅社員を相手先企業の先端部門に派遣します。人工知能(AI)や半導体などが対象となる。働き手が副業先での成果を持ち帰れば、企業も人材価値の向上や技術革新につなげられます。人材の多様性や企業の競争力を高める手法として相互副業は新たな選択肢となります。

日立とソニーGはまず3カ月間、それぞれ数人程度を受け入れます。両社は通常の就労時間外に週数時間分、副業者を受け入れます。受け入れ先として「象徴的なとがったポジションを相互副業の対象にする」(日立)といいます。

ソニーGはエレクトロニクスや半導体などの新規事業分野で、技術者や事業企画系の日立社員を受け入れます。メタバース(仮想空間)を使ったサービスのほか、AIと画像センサーを組み合わせた製品の事業化を議論する考えです。

日立はソニー社員に研究開発職務を用意します。AIや仮想空間の技術を産業分野にどう生かすか検討してもらいます。

両社は受け入れる副業者と業務請負契約を結び、給与を支払います。勤務先の業務を従業員に継続してもらいつつ、時間外の3時間程度を副業に充ててもらいます。受け入れ先での仕事の成果は自社での人事や処遇とは関連付かないとのことです。効果を見極めて2024年4月以降も続けるかを検討します。

両社が相互副業を始めるのは、従業員に自社が手掛けていない分野の仕事を経験する「他流試合」をこなすことで技能や視野を広げてもらうためです。「外部人材に活躍してもらい自社のイノベーション創出につなげたい」(ソニーG)との期待もあります。

伝統的に日本企業の人材育成は研修や職場内訓練(OJT)が中心でした。デジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの普及で、産業の構造転換が進むなか、既存のOJTだけで必要な人材を育てるのは難しくなっています。

相互副業では実践的な体験を通じて、働き手が自社の研修では得がたい新たな知見やノウハウを学べます。従業員にリスキリング(学び直し)を促すきっかけにもなります。

人材交流を目的とする他社への出向と比べると、副業は本業を継続できる点が異なります。副業は働き手にとって挑戦のハードルが低く、企業にとっては代替人材を確保する負担を減らせます。

さらに送り出す企業と受け入れ企業が、副業者の就業状況について密に情報共有できるため、労務管理も容易になります。送り出す人材と受け入れ部署を調整すれば、情報漏洩リスクも小さくできます。

働き手にも相互副業の利点はあります。働き手は企業が認めた受け入れ先で副業するため、副業先でのトラブルを避けられます。配置転換や出向などと異なり、受け入れ先の企業が提示する仕事に応募する形を取るため、働き手は自分が希望する仕事に挑戦できます。

これまで副業を巡っては従業員のスキルアップや働く意欲の向上を期待する企業と、収入を上げたい従業員の間で目的のずれがありました。副業の受け皿となる案件が限られ、副業を認めても従業員に広がらないのが実情です。

若手・中堅社員は、特に転職や副業に前向きな方が多い印象があります。日立とソニーGがお互いに「象徴的なとがったポジション」を受け入れ先として提供することで、そういった社員の満足度の向上と知見やスキルの獲得につながり、自社にも良い影響を与えそうだと感じました。また、人材交流が行われることで、横のつながりができることもプラスになると思います。

今後も日立やソニーGのビジネス環境は変化が大きく、速くなっていくなか、他社で得た経験を活かして成長していくことに期待しています。