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『ドS執事に花嫁調教されてます』原作者・大松雪草さんインタビュー

comico編集部noteの人気企画である作家インタビュー!
今回は、『鬼神課長は甘さでできている。』や『ドS執事に花嫁調教されてます』などのヒット作を生み出している原作者・大松雪草さんがご登場です。comico編集部noteでは、初の原作者インタビューとなります!

ただいまcomicoでは、

  1. エブリスタとの共同コンテストであるWEBTOON原作大賞

  2. 小説家になろう上で行われている「第12回ネット小説大賞

の2つの原作コンテストを開催中です(どちらも応募締切は2024年7月31日)。今回のインタビューでは、WEBTOON原作制作のコツや裏話をたくさん教えていただいたので、原作者を目指す方は必見です!

大松雪草さんインタビュー


――自己紹介をお願いいたします。

大松雪草 はじめまして。大松雪草と申します。『鬼神課長は甘さでできている。』でデビューし、今は小説や漫画原作を書いています。よろしくお願いします。

――comicoでWEBTOONの原作を担当することになったきっかけを教えてください。

大松雪草 数年前、仕事を辞めた時に「人生一度きりだからやりたいことをやろう!」と思い、comicoノベルのチャレンジ(※編集部注:2021年にサービス終了)に投稿したところ、comico編集部から声をかけていただいてcomicoノベルの公式作家になりました。その後、デビュー作である『鬼神課長は甘さでできている。』のコミカライズが決まり、そこから「別の原作も書いてみないか」と言われたのがきっかけでWEBTOON原作者になりました。

――デビューはcomicoノベルなんですね。元々は小説を書いていたのですか?

大松雪草 実は、小説はほとんど書いたことがなかったんです。ただ、前職が保育士だったのですが、子供に読ませたい題材の本が見つからない時は自分で絵本を作って読み聞かせをしていました。その時に他の先生方から文章を褒められたことと、子供たちが喜んでくれたことが嬉しくて。その経験が「書く」仕事に繋がったのかなと思います。

――心温まるエピソードですね! さまざまな執筆に挑戦してきた大松さんですが、WEBTOON原作を作るときに意識しているポイントを教えてください。

大松雪草 まず構成ですが、comicoの場合、冒頭の2~3話が無料で読めるので、その範囲内で「舞台はどこで」「主人公がどんな人で」「主人公を取り巻くキャラにはどんな特徴があるか」がわかるように書いています。さらに無料話の最後には強い「ヒキ」を作り、「続きはどうなるの!?」と思わせることを意識しています。
1話ごとの作り方としては、期待感、ハラハラ感を持たせる「山場」を2つくらい用意し、最後はやはり必ずヒキを作って終わるようにしています。1話につき、だいたい1800~2000文字程度に収まるように意識していますが、まぁオーバーしてしまいますね(笑)。

――なるほど、一番意識しているのは「ヒキ」ですか?

大松雪草 はい! 絶対に「ヒキ」が重要です。読者さんに「読みたい」という気持ちを次週まで持ち続けてほしいので「ぬるいヒキなんてダメだ!」と自分を奮い立たせながら作っています。

――週刊連載では特に大事な部分ですね。大松さんが書かれる作品ではSっ気のあるヒーローが多いように思いますが、キャラクターはどのようにして作っていますか?

大松雪草 私の場合、物語はあらすじから作ることが多いのですが、ある程度まとまると「このお話に合った主人公はこうだな」とキャラクターが自然と浮かび上がってくるんです。その後はその子たちと面談をしていくんですよ。「あなたの性格は? 家族構成は? どんなことが好き?」って。そうすることでキャラクターの深堀りができるので、物語が進むとキャラクターたちが自然と動いてくれます。
ちなみにSっ気ヒーローが多いのは、ヒロインを翻弄させたい私の欲望からです(笑)。

――キャラクターと面談、というのが面白い手法ですね。

大松雪草 そうですね。なので私が「こういう風に動いてほしい」と思って書くことはほんの少しで、頭の中のキャラクターが動くのを私が追いかけているイメージです。

――大松さんは「キャラが動いてくれる」タイプの作家さんなんですね!  では、セリフもキャラクターが自然と話すのですか?

大松雪草 そうですね、「この子は必然的にこう言うだろうな」というのがわかるのでそのまま書くこともありますが、特にWEBTOONなので、説明口調にならないよう、セリフは短くまとめることを意識しています。

――なるほど。やはりWEBTOON原作は、小説の書き方とは異なる部分が多そうですね。

大松雪草 そう思います。小説は背景や状況を説明する地の文が多いですが、WEBTOONはテンポ重視なので、なるべく地の文をモノローグやセリフに落とすようにしています。
その感覚を掴むために、他のWEBTOON作品や週刊連載の漫画をたくさん読んで日々研究しています。スクロールの長さや、指が自然と止まるタイミング、見せゴマのセリフなどなど…。あとは読者コメントを読んで「この話のどこで皆は盛り上がっているんだろう?」「このヒロインは自分勝手なのになぜ受け入れられているんだろう?」といったことを分析したりとか。
とにかく他作品の良い部分をインプットして、自分の作品でアウトプットしています。

『鬼神課長は甘さでできている。』14話より
密室で半泣き状態のヒロイン…?一体どうしたの!?と
思わせるヒキはさすが!

――話のアイデアはどんな時に浮かんできますか?

大松雪草 私の場合、挫折した時や何かを失った時など、大きな壁にぶつかったときに降ってくることが多いんです。辛いときは「同じ思いをしている人の気持ちに寄り添えたらいいな」と思うので、そこからアイデアが浮かんでくるんですよね。その思いが執筆の力になり、自分が立ち上がる原動力でもあるんだと思います。
実は昔、ストレスで一時的に声が出なくなってしまったことがあるんですよ。塞ぎ込んで辛かった日々が元になって、新作(※記事内最後に紹介あり)のヒロイン像ができました。
あ、今はもう元気なのでご心配なく!(笑)

――辛さや苦しみからアイデアが生まれる、というのは、他の作家さんも共感できるポイントかもしれませんね。では、そうしてアイデアを思いついた後、実際にWEBTOON原作にするまでの制作の流れを教えていただけますか?

大松雪草 アイデアが見つかったら、担当編集さんに今のトレンドなどを聞きつつまとめていきます。何度かやりとりした後、キャラ設定、プロット、3話までくらいのシナリオ等を用意し、連載会議に上げていただきます。

――制作途中で悩むことはありますか?

大松雪草 ありますあります。「自分としてはこう書きたいけど、商業的にはこう書いたほうがいいのでは……」と悩むことが多いですね。そんなときは作品を読んでくれる読者さんがどう思うかを視野に入れ、いくつか案を用意し、担当編集さんに相談します。一人で悩むこともありますが、結局は担当編集さんと話したほうが早いし、良いアイデアが出るので、お忙しい中ごめんなさい! と思いつつも連絡しちゃいます(笑)。
また、作画の方に「この文章で伝わるのか?」と悩むことも多いです。不安なときはコメントで補足したり、イメージ資料をつけて視覚的にわかりやすくしたりと工夫しています。週刊連載なので、作画の方が絵を起こす際に迷って筆を止まらせてしまうことのないよう意識しています。

――これから原作者を目指す方も、悩んだら人に聞くのがいいでしょうか?

大松雪草 人からアドバイスをもらえる環境があるなら、ぜひ利用したほうがいいと思います。ただ、不特定多数が見られる場所で公開すると攻撃的なコメントが来ることもあるので……その場合は「こういう意見もあるんだな」程度の受け止め方でいいと思います。せっかく素敵な原作になるかもしれないのに、本人の心が折れてしまうのはもったいないですから。
もしくは信頼している身近な人に読んでもらい、感想をもらうのもおすすめです。

――受け止め方はとても大事ですね。では、WEBTOONの原作者になって良かったなと思うところを教えてください!

大松雪草 何といっても、自分が書いたものが漫画になるところです。頭の中で動いていたキャラクターが絵になって、自分でも知らなかった表情や行動を発見できると嬉しいです。またcomicoは海外展開もしているので、海外の方からの反応をSNSで見つけたときはとても嬉しかったです。

――大松さんが原作を担当された作品で、お気に入りシーンはありますか?

大松雪草 本当にたくさんあるんですが……『ドS執事に花嫁調教されてます』(作画:九条みに 原作:大松雪草)の24話で、ヒーローがヒロインにときめいた時の「キュン」を床にぶん投げるシーンはお気に入りです(笑)。まだ彼が恋心を受け入れられていない段階だったので投げたんでしょうね(笑)。読者コメントでも「キュンを投げるシーンは初めて見た」と言ってもらえて、私も楽しく読ませていただきました。

上記が『ドS執事に花嫁調教されてます』
「Lesson24.抵抗」の原作原稿です。
「キュンを床に叩きつける」を漫画にするとこうなります…!
キュンーーーー!!

――では、ご自身の作品以外で好きなcomico作品はありますか?

大松雪草 九条みにさんの『ヨミガエリコン』が大好きです! comicoでは珍しい「冥婚」というテーマが面白かったです。ヒーローがすごいツンデレなんですが、切ない横顔を見るとご飯三杯はいけちゃいます(笑)。

あとはヲネさんの『ボーイミーツガール』も好きです。絵がふんわりしててかわいいですよね。

――そんな大松さん、実は新作を準備中なんですよね?

大松雪草 そうなんです。次回作は初めて挑戦する和風ファンタジーになります。義理の家族に虐げられたことで声が出なくなったヒロインが、黒龍に嫁いでさまざまな困難を乗り越えていくお話になります。

――ご自身の経験から生まれたとおっしゃっていたヒロインですね。読むのが楽しみです。
最後にファンの方と、原作者志望の方に向けて一言お願いします。

大松雪草 ファンの方へ。いつも応援していただきありがとうございます!次回作はずっと書きたいと思っていた和風ファンタジーになるので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
これから原作者を目指す方へ。応募に際して悩むこともあると思いますが、まずはチャレンジすることをおすすめしたいです。日本のみならず海外にも作品を届けることができたりと、漫画原作者には自分の夢や可能性を広げるチャンスがいっぱいあるので、是非いろいろなコンテストに挑戦していただきたいです!

――大松さん、ありがとうございました!

comicoでは2つの原作コンテストを開催中!!

テーマは「裏切り」!「WEBTOON原作大賞」

小説投稿サイト・エブリスタが開催している「エブリスタ小説大賞2024」の中で、comicoは「WEBTOON原作大賞」として参加中。女性読者がドキドキワクワクする、「裏切り」をテーマにした原作を募集中。
ジャンルは不問! 現代ドラマもロマンスファンタジー(異世界恋愛)も歓迎です。

  • 応募期間:2024年5月1日(水)12:00~7月31日(水)27:59

  • 中間発表:2024年10月予定

  • 最終結果発表:2024年11~12月予定

WEBTOON部門を新設!「第12回ネット小説大賞」

小説投稿サイト「小説家になろう」にて開催されている日本最大級の小説コンテスト「第12回ネット小説大賞」。
今年からはWEBTOON部門が新設され、comicoも協賛企業として参加しています。応募作品に求める要素など、詳しくは下記の記事をご確認ください。

  • 応募期間:2024年5月1日(水)~7月31日(水)

  • 結果発表:2024年12月下旬