マンガの作り方初級編①「作りたいものと売れるもの」

「作りたいものが売れるとは限らない」
多くのマンガ家にとっても編集者にとっても耳が痛い言葉です。
たとえば多くの編集者は『攻殻機動隊』や『PSYCHO-PASS』や『東京喰種』が好きですが、2021年現在、日本においてSFは例外を除き売れないので、マンガ家に対してNGを出しがちです。
そもそもSFはここ20年メインジャンルとなりえませんでしたし、おそらく次の10年もメインジャンルになりませんが、多くのマンガ家と編集者はSFを作りたいと願っています。
このように作りたいものが売れるものとは限らないのがこのマンガ業界です。
なので、ネタ出しをするときに考えてほしいのは「読者が喜ぶモノ」です。
多くの読者が「読んでみたい」と思えるネタを探すためには、なるべく流行りのマンガのタイトルとあらすじを抑えておく必要があります。(単行本は買わなくていいです)
一番効率がいいのは「このマンガがすごい」に載ったマンガと「打ち切りになったマンガ」をリサーチしましょう。
実際「このマン」を使うのはやや不本意なのですが、「多くの読者」が注目するこのランキングを気にしてさえいれば、必然的に「多くの読者」と同じ視点に立てるので面白いマンガを苦労して探す必要はなくなりますし、いま必要なのは流行っているマンガの分析なので、これで事足ります。
次に打ち切りになったマンガについてですが、これは転じて己のネタ出しに使ってはいけないノウハウが身につけられます。
というのも、せっかく過酷な連載会議を通過したのに、2,3巻で終わっちゃったマンガというのはネタを見ると、多くのマンガ家や編集者に「イケるぞ!」と思わせますが、結果的にポシャってしまったので必然的に「このネタはイケそうでイケない」ということを体に覚え込ませることができます。
そうしてこの練習を続けていくと見えてくるものがあります。
それは「読者の多くは美味しければ二番煎じどころか百番煎じでも飲む」ことです。
オリジナル要素よりも味が確実なものに読者は飛びつきます。
あるいはあたかも「餃子にマヨネーズを掛けたら美味い」という「勝利を約束された新しい組み合わせ」にお金を払ってくれます。
加えて言うならすべてのマンガはなにかの模倣です。
ですがその組み合わせに妙があり、組み合わせのスパイラルの果てにまた新しい組み合わせを作っていきます。
たとえば『ダンジョン飯』は異世界ファンタジーに架空のグルメを取り入れた新しいマンガでした。
ですが舞台設定はどこかゲームで見た感じの世界観ですし、グルメマンガもそんなに真新しさはないはずです。
このようにして組み合わせがネタ出しの基本です。
まずマンガ業界で食っていくにはネタ出しで差をつけましょう。

次回は組み合わせの話をします

うひゃ

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