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俳句はじめました

 「冷やし中華はじめました」みたいなノリですみません。実は最近「俳句」をはじめました。
そのきっかけが実に面白くて。
 1月のある日、いつものように近くの用水路を散歩しながら、柾の実を見つけて写真を撮っていた。すると後で立ち止まってじーっと人のこと見てる初老の男性が。(わ~めっちゃ写真撮りにくい)と思ってたら、「これは何という木ですか?」と訊かれたので、これは柾だと教えました。そうしたら、いきなり「あなた、俳句をやってみませんか」と。
 はい?っと驚いていると、「実は私、俳句をやっていまして…」と、俳句を始めて人生観が変わったこと。入っている句会の結社も高齢化でこのままでは消滅をしてしまう恐れがあること。自分も俳句と出会って幸せになったので、あなたにも是非俳句をやって幸せになってほしい云々と熱く熱く語られ。
 まぁ普通の人なら、ここで「ゴメンなさい」と立ち去るんだろうけど、元々頼まれるとイヤと言えない性分の私。まぁ、断れないというよりは、「え?何それ?面白そう」という謎の好奇心に突き動かされて引き受けてしまうのですが。今回も「俳句」に過剰反応した好奇心が顔を出し、連絡先を交換し、句会に参加する約束をしてしまった。
 とは言っても俳句なんて小学校の国語の授業以来。最初はただの見学とはいえ、ちょっとは勉強しといた方がいいだろうと、知りたがりな好奇心の赴くままに、本屋へ行き、歳時記と夏井いつき先生の初心者向けの本を購入し、あらあら俳句の基礎の基礎ぐらいはわかった。

 でも実は俳句にまったく興味がなかったわけではない。ここ1~2年のことだが、散歩が趣味になり、名前も知らなかった道端の草花に虫や鳥たちが愛おしくて仕方がなくなった。そんなふとした瞬間を詠めたら楽しかろうとうっすら思っていた。
 また、たまたまネフリで見つけて観た『サイダーのように言葉が沸き上がる』というアニメで主人公の男の子が詠む俳句がカッコいいなと思っていた。
 そんなことを考えていたら、俳句オジサンとの出会いも実は自分が引き寄せてしまったのではないかと思えてきた。

以下、俳句オジサンをKさんと呼ぶ。

 その後、Kさんから句会に参加する前に一度散歩をしませんかと誘われ、お付き合いした。
 身の上話をお聞ききし、帰り際に自分の生い立ちを書いたというエッセイまで頂戴した。
 Kさんについて、かなり色々なことがわかった。自分からはめちゃ話してくるけど、こちらから話したことに対しては恐ろしいほど興味を持たないということも…。
 訊けなかったけど、血液型、間違いなく●型が入っていると思う。対応としてはKさんの話は一生懸命聞いてあげるけど、こちらからは何か訊かれた時だけ答える方向で。

 そしてはじめての句会。少し遠方だったので、Kさんについて行く感じだったのだが、まんまと乗る電車を間違えられ、危うく熱海まで行くとこだった。少し早目に出たので遅刻にはならなかったが。
 間違えた言い訳に軽い認知症を感じた…何か違う駅にいると勘違いしていたらしい。不安だ。

 参加した句会は12名ほどだったが、「ただ見ているだけではつまらないでしょう」と、ガッツリ参加させられた。お陰で句会というものの流れがよくわかったし、3時間半の長丁場だったので、見学だけだったら死んでいたかもしれないから、結果良かった。
 その場で一句出せと言われ、五七五の練習で作ったふざけた句を季語だけ変えて出した。
 花水木あの人の名を重ねたる
 最後の講師の方の講評で「これはどなたか花水木に名前の似た方がいたのかしら?」と言われたので、実は元々は花水木ではなく石蕗(ツワブキ)だったこと、石蕗は冬の季語なので、春の季語を即席でくっつけたこと、いつも石蕗の花の名前を忘れるので「妻夫木聡」と覚えていたことを明かして、ちょっと場を笑わせた。
 講師もいて大変勉強になる句会だったが、ずぶの素人にはハードルが高すぎる気がしたので、徒歩で行ける施設でやっている高齢者向けの句会に入れてもらい、始めることにした。
 そこは7名ほどのこじんまりとした句会だったが、何せ高齢者向けの句会なので、耳が遠い方もいて選句発表も大変だったが、初心者も安心レベル。Kさんはこの句会に物足りなさを感じて辞めていたらしいが、私のために戻ってくれたそうだ。

 まだ始めたばかりだが、面白くなってきた。

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